『変身物語』で有翼のサンダルをはいて空を飛行したと歌われているペルセウスに対して、ウテワールはより実用的で高速な移動を可能とする有翼の馬ペガサスを与えている。これはオウィディウスのテキストの変更とも受け取られるが、実際は14世紀のジョヴァンニ・ボッカチオの『異邦人の神々の系譜について』(Genealogia Deorum Gentilium)に由来している[4][5]。ウテワールは幻想的で恐ろしい姿の海の怪物とは対照的に、ペガサスを非常に小さく目立たない翼を持った栗毛の馬として描いている[6]。ウテワール以前にペルセウスをペガサスに乗せた作例としては、イタリアのマニエリスムの画家ジュゼッペ・チェーザリが1592年に描いた『ペルセウスとアンドロメダ』(Perseo e Andromeda)がある。ただしチェーザリはペガサスに翼を与えていない[5]。
画家の死後に遺産の中から発見された『アンドロメダを救うペルセウス』はウテワールの孫娘アレッタ・パーテル(Aletta Pater)とその夫ヤーコブ・マーティン(Jacob Martens)のコレクションとして18世紀までユトレヒトにあり、その後、フランクフルトの画家ヨハン・マテウス・フォン・メーリアン(Johann Matthäus von Merian)のコレクションとなった[6]。その後、ロンドンのマティーセン・ギャラリー(英語版)を経由してルーアンのパレ・デ・コングレ(palais des congrès)に売却された絵画は[7]、1982年にルーヴル友の会(フランス語版)の寄贈により、ルーヴル美術館に収蔵された。現在はリシュリュー翼3階の展示室806にて展示されている[4]。