アプティブ (Aptiv PLC) は、アメリカ合衆国の自動車部品メガサプライヤーである。旧称はデルファイ・コーポレーション (Delphi Corporation) 。元々はゼネラルモーターズ (GM) から分社化されたことで設立された。本社はミシガン州トロイにある。
日本には、日本法人として日本アプティブ・モビリティサービシス株式会社 がある。
概要
アプティブは以下の部門からなる。
- "Signal and Power Solutions (旧Electrical/Electronic Architecture)" は、電装全般、電子部品、配線ケーブルの開発・製造を行う。
- "Advanced Safety and User Experience (旧Electronics & Safety)" は、ソフトウェアやセンシング・システム、コンピュータ・プラットフォーム、セキュリティ・システム、自動運転システム、ユーザーエクスペリエンス、インフォテイメントシステムや電子制御システムの開発・製造を行う。
歴史
1994年にGM内に設立された自動車部品グループ (Automotive Components Group, ACG/部品事業部) を母体とする。ACGは1995年にデルファイ・オートモーティブ・システムズ (Delphi Automotive Systems) に社名を変更し、1999年に完全な公開会社として分社化された。さらに、2002年にデルファイ・コーポレーションに社名を変更している。
2005年10月中旬に経営破綻し、親会社GMの支援のもとに経営立て直しが進められた。
デルファイの中核資産は投資会社に売却され、2009年10月に新生デルファイ・コーポレーションが設立された。また、非中核資産の一部はGMへと売却された。資産売却後、元のデルファイ・コーポレーションはDPH Holdings Corporationと改称された[3]。新生デルファイの本社はイギリスへ移された[4]。
2015年7月、デルファイは熱システム(Thermal Business)部門をMahle-Behr GmbH(マーレベーア)へ売却した。Mahle-Behrはデルファイの熱システム部門を統合したことで、世界で二番手の自動車用熱管理システム(エアコンやパワートレイン冷却システム、コンプレッサーなど)のサプライヤーとなった[5]。2015年12月、自動運転システムの開発を本格化することを発表した[6]。また、同月にen:HellermannTytonを17億ドルで買収した[7]。
2016年6月、デルファイは3Dプリンター会社のCarbon(カーボン)とパートナーシップを結んだ。これによってCarbon社の連続液界面製造(Continuous Liquid Interface Production)技術を製造に活用する権利を得た[8]。また、2017年10月には自動運転のスタートアップNuTonomy(ニュートノミー)を4億5000万ドルで買収した[9]。
2017年12月、パワートレイン事業とアフターマーケット製品事業を
Delphi Technologies(デルファイ・テクノロジーズ)としてスピンオフし、デルファイ・コーポレーションはAptiv PLCへと改称した[10]。
製品
アメリカのGMは元々部品の内製率が高く、70%ほどを社内で生産していた。タイヤと窓ガラスを除いては、1990年の初め頃までほぼ全ての主要部品が内製されており、下記の各部品事業部の出先機関が日本GM内に存在していた。
- AC Rochester(ACロチェスター):エンジン部品、スパークプラグなど
- Delco Remy(デルコ・レミー):バッテリー、オルタネーター、スターターモーターなど
- Delco Moraine LHD(デルコ・モレーンLHD):ブレーキ、ABSなど
- Delco Products(デルコ・プロダクツ):サスペンション、ワイパーなど
- Delco Electronics(デルコ・エレクトロニクス):ECU、ラジオ、カーステレオ、スピードメーターなど
- Harrison(ハリソン):ラジエター、エアコン
- Packard Electric(パッカード・エレクトリック):ワイヤハーネス、水温センサー、フューズボックスなど
- Saginaw(サギノー):ステアリング、ドライブシャフトなど
- Inland Fisher Guide(インランド・フィッシャー・ガイド):ライト類、ドアラッチ、ウィンドリフターなど
- GM Powertrain(GMパワートレイン):乗用車用のトランスミッション
- GM Alison(GMアリソン):大型車用のトランスミッション
AC Rochesterは、AC Spark plug(ACスパークプラグ)と、エンジン関係部品を作っていたRochesterが合併してできた事業である。Delcoの名前の付いた4つの事業部は、いずれもDayton Engineering Laboratories Company (デイトナ・エンジニアリング・ラボラトリーズ・カンパニー)が起源である。現在はDelco Electronics のみが残っており、他の3事業部は統廃合された。Inland Fisher Guideはライト部門を1990年中ごろに売却後、Harrison と合併統合されDelphi Interior(デルファイ・インテリア) となっている。GM PowertrainとGM AlisonはDelphiがGMから分社後もGM内に留まり、独自の営業活動を行っている。
脚注
出典
外部リンク