X-6 (航空機)

コンベア X-6

原子力飛行機用原子炉のテストベッドとして使用されたコンベアNB-36H

原子力飛行機用原子炉のテストベッドとして使用されたコンベアNB-36H

X-6Convair X-6)は、1950年代にアメリカ合衆国のコンソリデーテッド・ヴァルティー社(コンベア社)が開発していた原子力飛行機の実験機である。1953年に開発中止となり、実機はない[1]

概要

飛行中のコンベアNB-36H。原子力飛行機用原子炉のテストベッド。
X-6計画の一環で製造されたNB-36Hの機首部分

1951年より、コンベア社とアメリカ空軍が中心になり、原子力推進機の開発が開始された。この計画にはNACAアメリカ原子力委員会、原子炉メーカーのGE社も加わっていた。原子力推進機の利点は、燃料補給の必要が無く、人員の疲労を除けば、ほぼ無限の航続距離が得られることにある。

開発にあたっては、原子炉の放射線遮蔽試験用にB-36Hを改造したNB-36Hを1機開発し、原子力推進機であるX-6を2機製作することとなった。

X-6はB-36を改造した機体であり、機内に原子炉P-1を搭載、その熱をジェットエンジンまで導き、推力とするものである。原子炉からの熱移動にあたっては、開発当初は溶融ナトリウムを用いた間接冷却法が検討されたが、技術・重量の問題により、空気を冷却材とする直接冷却法を用いることとなった。吸入された空気は、炉心と直接接触し、その熱によって膨張する。この膨張した空気を推進力とする。なお、直接冷却式では、排気は放射能を帯びる。

冷却の問題もあることから原子炉は、空中でのみ用いるようになっており、離陸時には通常のジェットエンジンを用いることとなっていた。つまり、X-6のエンジンは主翼下に8基のターボジェットエンジンを搭載し、胴体下にJ47ジェットエンジンを改造したX39原子力ターボジェットエンジン4基を装備する。X39エンジンは空中でのみ使用する。X39エンジンは1952年9月より、原子力を用いない試験運転を開始している。

技術面・コスト面の問題により、1953年にX-6および原子力エンジンの開発は中止された。結局原子力飛行機が実現する可能性はなくなったが、技術試験の為にNB-36Hのみは1957年まで続行されている。なお、一時YB-60を改装母機とする案も出たが、この案は採用されなかった。

諸元

下記はNB-36のもの

出典: ジム・ウィンチェスター著、松崎豊一監訳『図説世界の「最悪」航空機大全』 原書房 2009年、98-99頁

諸元

  • 乗員: 5人
  • 全長: 49.38 m (162 ft)
  • 全高: 14.26 m (46 ft 9 in)

性能

  • 最大速度: 47,000 ft (420 mph)
  • 巡航速度: 47,000 ft (235 mph)


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関連

競合機

脚注

  1. ^ 航空ファン別冊 No.32 アメリカ軍用機1945~1986 空軍編 文林堂 雑誌コード 03344-8 1986年

参考文献

外部リンク