DOS版の WordStar 3.0 は1982年4月にリリースされた[3]。DOS版はCP/M版とほぼ同じである。IBM PC には方向キーやファンクションキーが追加されているが、いわゆるダイヤモンドカーソルなどのコントロールキーを使った操作がそのまま採用されており、CP/M版のユーザーにとって使いやすくなっていた。WordStarにはフォーマット情報を組み込まない non-document モードがあり、プログラムなどを書くのに使われた。CP/M版と同様DOS版も IBM PC 専用として設計されておらず、任意のx86マシンで使用可能である(当時、PC/AT互換機ではないx86マシンが多数存在した)。そのため、DOSのOSコールしか使っておらず、BIOSやハードウェアに直接アクセスしないようになっている。
NewWord 以前のコードベースを保守していたプログラマチームは MS Word に似た WordStar 6.5 の開発を行っていたが、WordStar 7.0 を開発中のNewWord側のプログラマチームと内輪もめを起こし、結局 6.5 はリリースされないことになった。最後のDOS版は 7.0 Revision D で、当初の計画より数年早く 1992年12月にリリースされた。
Windows 対応
他のMS-DOSアプリケーション開発企業と同じように、ワードスター・インターナショナルも Windows 3.0 への対応を決断するのが遅れてしまった[8]。そこで、ワードスターは Legacy という Windows向けワープロソフトを他から買い取って1991年に WordStar for Windows としてリリースした。この製品はよく練られていて、もっと高価なDTPソフトにしかないような機能を持っていた[9]。しかし、2年の遅れは致命的であり、市場はすでに Microsoft Word が独占していた[10]。
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の原作者であるアン・ライスもWordStarの熱心なユーザーだった。彼女はFacebookにて「WordStar は素晴らしかった。大好きだった。論理的で美しく、完璧だった」と述べるとともに「それに比べると、私が現在使用している Microsoft Word はまったくの狂気だ」と付け加え、批判した[17]。
コントロールキーが "A" の左から遠い左下の端に移されたため、これをWordStar的な直感的インターフェイスを妨害するものと感じるユーザもいて、彼らはソフト的にそれらのキーを入れ替えて使ったりしている。また、別のユーザはスペースバーの左右にコントロールキーを配置して親指を使うことでタッチタイプを快適にしようとする。
WordStar はテキスト入力中に自動的に行末を整えることができなかったため、後からコマンドをつかって編集しなければならなかった。ただし、そのコマンドは文書全体を一括してフォーマットする強力なものであった。WordStar 2000 ではそのような弱点が改善されていた。パラグラフの行揃えは自動化されている。コマンドのキーストロークも従来より単純化され、直観的に理解できるものになっていた。例えば、Ctrl-RW は "Remove Word"、Ctrl-RR は "Remove Right side of a line" といったものである。また、テキストのブロックをマークしておいて、別位置にカーソルを移動してブロックコピーを実行するといった機能もある。しかし、従来のバージョンと互換性がなかったため、熟練ユーザーからは不評だった。
WordStarのインタフェースは大きな遺産である。多くのワープロソフトやテキストエディタで WordStar のコントロールキーを使ったキーボードコマンドがエミュレートされている。例えば、Turbo Pascal のIDEエディタはWordStarのコマンド体系を採用していた。日本製の MIFES は WordMaster 互換の操作を提供していた。DOS版の一太郎や松でも Ctrl-E/S/D/X によるカーソル移動が可能であった。WordStarのキーボードコマンドのエミュレータは最新版の Microsoft Word 用にも存在している。WordStarのファイルフォーマットは StarOffice などの最近のワープロソフトでもサポートされている。
^“WordPerfect Corporation”. 2012年3月31日閲覧。 “By 1983, MicroPro International's WordStar was the leading word processing system.”
^John C. Dvorak. “Whatever Happened to Wordstar?”. 2012年3月31日閲覧。 “In 1984 ... the sales were up to $70 million. At the time it [Micropro] was the biggest software company in the country.”
^“Osborne I”. 2012年3月31日閲覧。 “The Osborne 1 came with a bundle of application software, including WordStar.”
Microsoft Help & Support — Microsoft's Office File Converter Pack installs additional text converters and graphics (image) filters. WordStarのファイルをインポート/エクスポートできる。