「U. S. A. 」(ユーエスエー)は、イタリア 人歌手ジョー・イエロー [ 注釈 1] のシングル。
2018年 に日本の音楽グループであるDA PUMP にカバーされた(後述)。
原曲
1992年 、イタリアのディスコマジック・レコード (イタリア語版 ) のレーベル 、ユーロビート・レコーズ (Eurobeat Records) からアナログ盤(12インチ・シングル)として発売された[ 1] 。
日本ではavex trax から1997年 11月27日 に発売された『MAHARAJA NIGHT Vol.FINAL』にノンストップミックス盤として初収録されたのを皮切りにいくつかのコンピレーション・アルバム に収録され、2007年 4月25日 にはオリジナルバージョンが『SUPER EUROBEAT Vol.177』に収録された[ 注釈 2] 。
オリジナルバージョンは、SEB177以外ではアルバム『YELLOWGRAPHY』に収録、および音楽配信サイトにて単体販売されている。
2019年 度の日本音楽著作権協会 (JASRAC)発表による楽曲別の著作権使用料分配額(外国作品)では年間1位にランクインされ[ 2] 、2020年 のJASRAC賞 (外国作品賞)を受賞した[ 3] 。
DA PUMPによるカバー
DA PUMPの「U. S. A. 」は、2018年 6月6日 にエイベックス・エンタテインメント (SONIC GROOVE )から29枚目のシングル として発売された[ 5] 。
前作「New Position 」から約3年半ぶりのシングルである本楽曲は[ 6] 、1992年にジョー・イエローから発表された「U.S.A.」のカバー である[ 7] [ 8] 。本グループがユーロビート に挑戦するのは初の試みである[ 6] 。
カップリングの「Take it Easy」は、m.c.A・T がDA PUMPの結成20周年を記念して作詞・作曲した。
TBS 系『王様のブランチ 』2018年6月期エンディング・テーマ。
カバーの背景
DA PUMPが所属するライジングプロダクション の荻野目洋子 による1985年のヒット曲「ダンシング・ヒーロー 」は、岐阜県 や愛知県 の一部地域の盆踊り では30年以上も前の曲ながら使われており、また前年の2017年に、akane の振付けした、YouTube での登美丘高校 のパフォーマンスが話題となり、ブームが再来していた。ユーロビート とダンスの相性のよさに、改めて気づいたという、社長の平哲夫 は、DA PUMPのパフォーマンスとISSAの歌声に合うメロディーを持つ楽曲を探し、何十曲の候補の中からジョー・イエローの『U.S.A.』を見つけ出した[ 9] 。
平から本楽曲のカバーを提案された際の気持ちについて、ISSAは「正直、最初は『おい、まじか。これかよ』という思いもありました(笑)。でも、僕らにできることは“完璧に仕上げること”なので。そこでスイッチも入りましたし、“U.S.A.という場”で、“しっかり遊ぶ”“真剣にふざける”などの方向性が見えた時点で、違うものに見えました。自分たちのものとして、きちんと落とし込めているし、しっくりきている。だんだん自分たちの曲に育っていった感じですね。今ではメンバー全員が“すごくいい曲だ”と思っているし、そういう自分たちの中の変化も、おもしろかったです。かけ離れていると思っていたものと自分たちの心が、近づいていく感じ。今は、僕らのところに舞い降りてきてくれてよかったなって思っています」と、オリコン とのインタビューの中で振り返っている[ 7] 。
日本語歌詞はDA PUMPと同じ事務所に所属するshungo. が担当した[ 10] 。原曲の歌詞は「アメリカ」を恋人に見立てて性的に誘う内容だったのに対し、DA PUMPによるカバー版は原曲の歌詞の韻を踏みつつも、異なる意味の単語に置き換えられた[ 11] 。朝日新聞 の「ひと」によると、shungo.は1960年代 から1970年代 のアメリカに憧れる少年をイメージして詞を書いたとされている[ 12] 。
ミュージック・ビデオ
ミュージック・ビデオ の監督は MAX の『Tacata' 』やモーニング娘。'18 の『フラリ銀座 』などで知られる多田卓也 が担当し、「アメリカ」といったカタカナ語のテロップを表示させるなど、視覚面を強調した演出がとられた[ 13] 。
振り付けはKENZO とTOMO がメインで担当した[ 7] 。久々の新曲であり、メロディーも覚えやすいものであったことから、振り付けもわかりやすいものにするという方針が立てられた[ 7] 。
5月16日 、YouTube にミュージック・ビデオ が公開されると3日間で再生数が50万回を突破[ 5] 、9月には7000万回再生[ 14] 、10月には1億回、[ 15] 2019年10月には2億回再生を突破した[ 16] 。往年のユーロビートによる曲調や歌詞の内容、メンバーの衣装などから「ダサかっこいい」とSNS を中心に話題となっていった[ 7] 。
いいねダンス
インベーダー・ダンス
2017年に発表されたブロックボーイJB (英語版 ) の曲「Shoot」の振り付けとしてアメリカで流行した「シュートダンス」[ 17] を元にした片足で跳ねながら親指を立てて腕を振る「いいね ダンス 」や、間奏での「インベーダー ダンス 」も受けており[ 7] 、有名人を始めとしてそのダンス動画をSNS上に公開する人も出てきている[ 18] 。8月18日、在日米海兵隊 (司令部・沖縄)は、隊員らがこの曲を踊っている動画を公式Twitterに公開し、8月18日10時時点で1万リツイートを超えた[ 19] 。
反響
2018年5月7日 にジャケット写真が公開されると、DA PUMPファンを中心に「ダサい」とSNS上で話題となった[ 7] 。5月31日に横浜アリーナ で開催されたテレビ東京 の『ゴッドタン 』のイベント『マジ歌ライブ2018 in 横浜アリーナ~今夜一発いくかい?~』にDA PUMPがゲスト出演し本曲を披露。6月24日(25日未明)に中継録画がOAされた。
曲調に関して、過去に発売されたハロー!プロジェクト の楽曲群に似ていたこともあり、ハロプロファンが反応し独自にコールを作ったり、更に(尾形春水 を除く)モーニング娘。'18 の全メンバーが出演する舞台『演劇女子部「ファラオの墓〜蛇王・スネフェル〜」 』の演技のリハーサル中に彼らのリリースイベントにも出向く現象が起きている[ 20] [ 21] [ 22] 。その後この現象を受け、2018年7月25日 に放送された『2018 FNSうたの夏まつり 』(フジテレビ )ではモーニング娘。'18とのコラボレーション が実現。共に「U.S.A.」を歌唱し、さらに2018年8月5日に中野サンプラザ で行われたハロプロのグループ合同コンサート『Hello! Project 20th Anniversary!! Hello! Project 2018 SUMMER 〜ALL FOR ONE〜』では一岡伶奈 がリーダーを務める新グループ(のちのBEYOOOOONDS CHICA#TETSU )と高瀬くるみ や清野桃々姫 が在籍する新グループ(のちのBEYOOOOONDS 雨ノ森 川海 )のメンバーによるMCにメンバー5人がサプライズ出演し共に「U.S.A.」を歌唱した[ 23] 。
また、仙台 を中心に活動するエンターテインメントグループ・パンダライオン が、宮城県 栗原市 をテーマにした替え歌『I.N.K(田舎)』として8月6日にYouTubeに公開し、8月10日現在で約40万再生されている[ 24] 。その他にも、甲子園野球場 でのブラスバンドVer.や地方の替え歌Ver.、ポセイドン・石川 による山下達郎 風アレンジなど、様々なバージョンが生まれている[ 25] 。
上記の反響を受け、2018年6月28日 にはTBS 『CDTV'18上半期SPエンタメまとめ総決算 』でこの曲を披露、その後も『THE MUSIC DAY 伝えたい歌 』(日本テレビ 、2018年7月7日 放送)、『音楽の日 2018 』(TBS、2018年7月14日 放送)、『2018 FNSうたの夏まつり』(フジテレビ、2018年7月25日放送)、『SONGS 』(NHK 、2018年7月28日 放送)など、各局の音楽番組 へ出演した。そして9月17日には、21年ぶりに『ミュージックステーション 』(『ミュージックステーション ウルトラFES 2018 』、テレビ朝日 )に出演した[ 26] [ 27] 。
2018年11月14日時点で、YouTubeでの再生回数は1億1000万回 、音楽配信では67万ダウンロード、シングルCDの出荷枚数は13万枚を突破している[ 28] 。
このほか、2018年12月15日よりDA PUMP自らが出演しているSoftBank 『Google Pixel 3/3XL 』のテレビCM「訂正する少女」篇[ 29] で、shungo.監修による同曲の替え歌「U.S.A. Google Pixel ver」が使用された[ 30] [ 31] 。Web限定動画[ 32] でも替え歌が使用されている。
以後、『ベストヒット歌謡祭2018 』(読売テレビ 、2018年11月15日 放送)、『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2018 』(日本テレビ、2018年11月28日 放送)、『2018 FNS歌謡祭 第1夜 』(フジテレビ、2018年12月5日 放送)、『ミュージックステーション スーパーライブ2018 』(テレビ朝日、2018年12月21日 放送)、『CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2018 』(TBS、2018年12月24日 放送)、『MelodiX!スペシャル2018 』(テレビ東京 、2018年12月27日 放送)など、夏の音楽特番に引き続き、各局の年末 音楽特番 へ出演した。また、年末の音楽特番では同曲と過去のヒット曲を含めたメドレーで披露されることが多かった。さらに、『2018 FNS歌謡祭 第1夜』(フジテレビ)では氣志團 とのコラボレーションで同曲と「One Night Carnival 」がマッシュアップ された「O.N.C. 〜One Night Carnival 2018〜」が特別に披露された[ 33] 。
2018年最大のヒット曲として大賞受賞が本命視されていた[ 34] 『第60回輝く!日本レコード大賞 』(TBS、2018年12月30日 放送)では、優秀作品賞にとどまった[ 35] 。
『第69回NHK紅白歌合戦 』(NHK、2018年12月31日 放送)では、同曲の大ヒットにより『第53回NHK紅白歌合戦 』以来、16年ぶりに出場を果たした[ 36] [ 注釈 3] 。
2020年 には「コレナンデ商会 」でも歌われた。
評価
歌手の近田春夫 は朝日新聞に寄せた記事の中で、DA PUMPによるカバー版における振り付けについて「テレビの音を消しても面白い」と評し、もし曲だけだったらここまで売れなかったのではないかと推測している[ 37] 。
大阪市立大学 教授の増田聡 は朝日新聞の夕刊のコラムの中で、DA PUMPによるカバー版を「かつてのアメリカを取り戻すべく呼びかけるリトルネロ といえよう」とし、チャイルディッシュ・ガンビーノ の『ディス・イズ・アメリカ 』と比較して、互いに表裏をなす存在だと述べた[ 11] 。
ライターの古知屋ジュン はリアルサウンドに寄せた記事の中で、DA PUMPによるカバー版をライジングプロダクション の遊び心を集結したコンテンツと呼んだ[ 13] 。また、古知屋は歌詞について、カタカナの多用によるレトロ感に加え、原曲における"cheek to cheek"のフレーズを「地球人」に置き換えるなど、元来のDA PUMPの持ち味である言葉遊びを踏襲している感じがすると述べている[ 10] 。
替え歌の一つである「湯ですぜ!」をプロデュースした小出一之 は、サビの四文字を変えるだけで「ここにおいでよ」という意味になるので、替え歌が作りやすかったことと、「いいねダンス」をはじめとする印象的なダンスがヒットの要因になったのではないかと推測している[ 37] 。
収録曲
CD # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間 1. 「U.S.A.」 Donatella Cirelli Severo Lombardoni (英語版 ) [ 1] 日本語詞: shungo. Claudio Accatino Donatella Cirelli[ 4] Anna Maria Gioco[ 1] KAZ 3:58 2. 「All 2 You」 shungo. 小高光太郎 、早川博隆 、UiNA 早川博隆、小高光太郎、Belex 4:30 3. 「Take it Easy」 m.c.A・T m.c.A・T 富樫明生 4. 「U.S.A.」(Instrumental) 5. 「All 2 You」(Instrumental) 6. 「Take it Easy」(Instrumental)
DVD(初回限定盤A) # タイトル 作詞 作曲・編曲 監督 1. 「U.S.A.」(Music Video ) 2. 「U.S.A.」(making)
DVD(初回限定盤B) # タイトル 作詞 作曲・編曲 監督 1. 「U.S.A.」(Music Video) 2. 「U.S.A.」(Music Video: ANOTHER VERSION)
リリースイベント
ヒットチャート
受賞歴
カバー(DA PUMP版)
脚注
注釈
^ 実際のボーカルを担当したのはジーノ・カリア であった。
^ 2019年2月現在、音楽配信サイトで購入できるSEB177には収録されていない。
^ リーダーのISSA以外は実質初出場。
ユニットメンバー
出典
^ a b c d e Joe Yellow – U.S.A. (Vinyl, 12, 45 RPM) Discogs - 2018年11月17日閲覧。
^ 分配額ベスト10 、日本音楽著作権協会、2020年。 (PDF )
^ 2020年JASRAC賞「Lemon」が金賞を受賞 、日本音楽著作権協会、2020年。
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^ DA PUMP、ソフトバンク新CMでオリジナル「U.S.A.」を披露 、BARKS、2018年12月14日 4時。
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外部リンク
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
1977年から2001年は「総合」部門、2002年以降は「J-POP」部門の年間1位。