『Someday Somewhere』(サムデイ・サムホエア)は、チューリップの10枚目のスタジオ・アルバム。1979年7月20日発売。
解説
チューリップが1979年に発売した、初の2枚組アルバム(他には2007年の現時点での最新アルバム『run』がある)。
また、本作を最後に吉田彰と上田雅利が脱退したため、チューリップ第一期メンバーによる最後の作品になった(上田は1997年の再結成で復帰)。全編オリジナルで、シングルカットは一曲もない。また、本作の『まだ闇の内』が、安部俊幸が生前ボーカルを取った最後の曲となった(本作以降は作詞・作曲とコーラスのみ)。
ビートルズなどのブリティッシュロックの影響下からスタートしたチューリップだったが、本作ではシンセサイザーやサウンドエフェクト(「サーカスは青い空」)を使用するなど、1980年代のチューリップサウンドの原型が出来上がっている。アルバム全体では、失恋を歌った曲が多い。
本作では、5枚目のアルバム『無限軌道』以来5作ぶりに、青木望がストリングスアレンジで参加している(「愛の窓辺」、「8億光年の彼方へ」の2曲)。
ジャケット写真は両面共にメンバー5人が横並びで写っており、表面の吉田と裏面の吉田が手を繋いでいる。
2005年には限定で紙ジャケット版が発売された。
逸話
本作には「わがまま」という曲が収録される予定だったが、急遽シングル曲候補となったため、歌詞の一部と曲のAメロ部分を大幅にアレンジしたのち、「虹とスニーカーの頃」と曲名を改めて7月5日に発売された[1]。この「わがまま」は「虹とスニーカーの頃(メロ違いバージョン)」として、1970年代から1980年代に録音された未発表音源を集めた企画アルバム『TULIP Anthology 1〜Rare Tracks〜』(2000年発売)に収録されている。
収録曲
[2]
Disc.1
Morning Side
- 愛の窓辺
- 作詞/作曲:財津和夫 編曲:チューリップ・青木望 ボーカル:財津和夫
- 財津は「レコーディング当時もっと自分の歌が上手ければ、とてもいい曲になったはず」と語っている。
- 今日と明日の間に
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- Silent Love
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- Blue Eyes(この小さな星のうえで)
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- 当時のライブでは、3曲目と4曲目は続けて演奏されることが多かった。
- いま、友へ
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
Moon Side
- まだ闇の内
- 作詞:財津和夫 作曲:安部俊幸 編曲:チューリップ ボーカル:安部俊幸
- 安部がチューリップでボーカルを担当した最後の楽曲である。
- Give me a chance
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- サーカスは青い空
- 作詞:財津和夫 作曲:安部俊幸 編曲:チューリップ ボーカル:姫野達也
- 思い出のフリスビー
- 作詞:上田雅利 作曲:安部俊幸 編曲:チューリップ ボーカル:上田雅利
- 8億光年の彼方へ
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ・青木望 ボーカル:財津和夫
Disc.2
Twilight-time Side
- 悲しみに挨拶を
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- 2022年のデビュー50周年ライブの冒頭で披露されている。
- I Love You
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- ムトウス
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- タイトルの意味は「ライチョウ(正確には旧学名のLagopus "mutus")」。
- 2018年のツアーでは、鳥に関するエピソードを交えたMCからこの曲の演奏に入った。
- 哀別の日
- 作詞:財津和夫 作曲:姫野達也 編曲:チューリップ ボーカル:姫野達也・財津和夫。
- 神様に感謝をしなければ
- 作詞:安部俊幸 作曲:姫野達也 編曲:チューリップ ボーカル:姫野達也
- 当初はシングルの候補とされていた。
- ビートルズ的なアコースティック・ギターによる綺麗なメロディを意識して作られた。
- また、「神様」は宗教のいう「神様」としてではなく、「物理」の代語として用いられている。
- 愛の窓辺
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
Night Side
- 刹那居季節
- 作詞/作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:姫野達也
- 雨が降る
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- あなたのなかへ
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- 居留守番電話
- 作詞:財津和夫 作曲:吉田彰 編曲:チューリップ ボーカル:吉田彰
- 吉田がチューリップでボーカルを担当した最後の楽曲である。
- Someday Somewhere
- 作詞・作曲:財津和夫 編曲:チューリップ ボーカル:財津和夫
- ライブでは安部のギターソロやコーラスワークなど、聴き所に溢れていた。失恋した幼なじみの友人の話を聞くという、異色のクリスマスソングである。
クレジット
SHOO KUSANO- SHINKO PRODUCTIONS
SUPERVISION- SHIRO NISHIDA
ALL SONGS COMPOSED, ARRANGED, PLAYED BY TULIP
RECORDING PRODUCER- KAZUNAGA NITTA
RECORDING DIRECTOR- KEIICHI YONEDA
RECORDING ENGINEER- TAKESHI ITOH
ASSISTANT- KOUSEI FUJITA, KOUJI NODA
INSTRUMENTS ENGINEER- SHINICHI ABE, AKIHIKO FURUTA, MASAHIRO SATOH
ALBUM ART DIRECTION- TAKUYA ONO
ALBUM DESIGN- TOSHIO MATSUMOTO, NORIO MATSUSHITA
PHOTOGRAPHY- KENJI TAGUCHI
ASSISTANT- SEIJI OTSUKA, SHINJI TAGUCHI
STRINGS ARRANGE (Moring Side- 1, Noon Side- 5)- NOZOMI AOKI
MANAGEMENT- SHUNJI UENO
Recorded at Toshiba EMI, ROCKWELL Studio, ONKIO HAUS, MEDIA Studio
I dedicate this record to the Marine Corps.
脚注
註釈
出典