S/2003 J 2

S/2003 J 2
見かけの等級 (mv) 23.2[1]
分類 木星の衛星 (不規則衛星)
発見
発見日 2003年2月5日[2]
発見者 スコット・S・シェパード
軌道要素と性質
木星からの平均距離 28,347,000 km[3]
離心率 (e) 0.4100[3]
公転周期 (P) 980.53 (2.685 年)[3]
軌道傾斜角 (i) 157.291°[3]
近点引数 (ω) 165.201°[3]
昇交点黄経 (Ω) 344.782°[3]
平均近点角 (M) 237.932°[3]
木星の衛星
物理的性質
直径 ~2 km[4]
質量 ~1.5 ×1013 kg[4]
平均密度 2.6 g/cm3 (仮定値)[4]
アルベド(反射能) 0.04 (仮定値)[4]
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S/2003 J 2 は、木星衛星の一つ。スコット・S・シェパードが率いるハワイ大学の観測チームによって2003年2月5日に発見された[2][5]。観測にはすばる望遠鏡カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡とハワイ大学の望遠鏡が使用された[2]

天体のアルベドを0.04と仮定した場合、この天体の直径はおよそ 2 km と推定される[4]。また平均密度を2.6 g/cm3 と仮定すると、質量はおよそ 1.5 ×1013 kg と推定される[4]

軌道傾斜角は 157.291° であり、木星の自転とは逆向きに公転する逆行衛星である。軌道長半径はおよそ2835万km とその他の衛星よりも大きく、軌道離心率も大きい。発見されている木星の衛星のほとんどは似た軌道要素を持ついくつかのグループに分類されるが、この衛星は似た軌道要素を持つものが発見されておらず、分類は未定であった[1][6]。2020年の再発見により、アナンケ群に含まれることが判明した[7]

2018年時点で、発見が報告されている木星の衛星の中では最も大きな軌道長半径を持つ。天体の重力が支配的である領域を示す概念としてヒル球があり、木星のヒル球の半径はおよそ5200万km である。衛星の軌道は、惑星の自転と同じ向きに公転する順行軌道よりも逆行軌道のほうが一般に安定である。解析的な研究によると、順行軌道の場合は軌道が長期的に安定を保てる範囲はヒル球半径の0.5倍程度だが、逆行軌道の場合は0.7倍程度の距離まで安定を保つことが出来る[8][9]。そのため、原理的には S/2003 J 2 よりも遠方にも衛星は存在できる。

S/2003 J 2 は継続して観測された期間が1年未満と短く、その特徴や軌道要素は不確実であった[10]。また2003年の発見報告以降は長く検出されず、見失われた状態にあった[10][11][12]。しかし、2020年になってシェパードとアマチュア天文家のKennethによって再発見された[7]。再発見については、2021年1月26日小天体センターにより公表された[13]

出典

  1. ^ a b Scott S. Sheppard. “Moons of Jupiter”. Carnegie Science. 2018年11月20日閲覧。
  2. ^ a b c Brian G. Marsden (2003年3月4日). “MPEC 2003-E11 : S/2003 J 1, 2003 J 2, 2003 J 3, 2003 J 4, 2003 J 5, 2003 J 6, 2003 J 7”. 小惑星センター. 2018年11月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年11月20日閲覧。
  4. ^ a b c d e f Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年11月20日閲覧。
  5. ^ Daniel W. E. Green (2003年3月4日). “IAUC 8087: Sats OF JUPITER; 2003bg; GRB 030227”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年11月20日閲覧。
  6. ^ NASA (2017年12月5日). “In Depth | S/2003 J2 – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局. 2018年11月20日閲覧。
  7. ^ a b Hecht, Jeff (2021年1月11日). “Amateur Astronomer Finds "Lost" Moons of Jupiter”. www.skyandtelescope.com. Sky & Telescope. 2021年3月28日閲覧。
  8. ^ Sheppard, Scott S. (2006). “Outer irregular satellites of the planets and their relationship with asteroids, comets and Kuiper Belt objects”. Proceedings of the International Astronomical Union 1 (S229): 319–334. doi:10.1017/S1743921305006824. ISSN 1743-9213. 
  9. ^ Hamilton, Douglas P.; Krivov, Alexander V. (1997). “Dynamics of Distant Moons of Asteroids”. Icarus 128 (1): 241–249. doi:10.1006/icar.1997.5738. ISSN 00191035. 
  10. ^ a b Jacobson, B.; Brozović, M.; Gladman, B.; Alexandersen, M.; Nicholson, P. D.; Veillet, C. (2012-09-28). “Irregular Satellites of the Outer Planets: Orbital Uncertainties and Astrometric Recoveries in 2009–2011”. The Astronomical Journal 144 (5). Bibcode2012AJ....144..132J. doi:10.1088/0004-6256/144/5/132. https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0004-6256/144/5/132/meta 2018年11月20日閲覧。. 
  11. ^ Beatty, Kelly (2012年4月4日). “Outer-Planet Moons Found — and Lost”. Sky & Telescope. 2017年6月27日閲覧。
  12. ^ Brozović, Marina; Jacobson, Robert A. (2017-03-09). “The Orbits of Jupiter's Irregular Satellites”. The Astronomical Journal 153 (4). Bibcode2017AJ....153..147B. doi:10.3847/1538-3881/aa5e4d. 
  13. ^ MPEC 2021-B134 : S/2003 J 2”. Minor Planet Electronic Circular. Minor Planet Center (26 January 2021). 2021年3月28日閲覧。