MITSUI OCEAN FUJI(ミツイ・オーシャン・フジ)は、商船三井クルーズが運航しているクルーズ客船。運航会社名の漢字表記を用いた「三井オーシャンフジ」とも表記される[5]。
概要
シーボーン・クルーズ・ラインの「シーボーン・オデッセイ(Seabourn Odyssey)」として、2009年6月、イタリアのT.マリオッティ造船所で竣工[2]。船価は2億5千万ドル[6][4]。6月24日にヴェネツィアで行われた命名式ではデビュークルーズの乗船客全員が命名者(ゴッドペアレント)となり、就航した[2]。
ラグジュアリークラス[7]のクルーズ船である。スペースレシオ約71t/人、パセンジャークルーレシオは約1.4。客室数は229室でオールスイート、うち89%はベランダ付き[4][3]、全客室28平方メートル以上[7]。2019年5月にイタリア ジェノバで改修が行われ、内装・什器等の更新が行われている[8]。
ディーゼルエンジン4基、電動機2基、2軸のディーゼル・エレクトリック方式を採用。各軸7.5 MW、合計15 MWのバルチラ製推進ドライブで駆動する。これはシンクロ変換器と同期モーターによる、正・逆両回転方向での加速・減速が可能なシステムである[9]。バウスラスターは2軸。
同型の2番船が2010年[10]、3番船が2011年[11]に建造された。
2023年2月には商船三井がクルーズ事業拡大策の一環として購入、1年半程度シーボーン・クルーズでの運航を継続し[12]、2024年末を目処に改装の上で商船三井客船(現・商船三井クルーズ)に移籍し日本近海を中心とした運航を行う計画とした[13]。2023年10月に商船三井クルーズの新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」と合わせて新船名「MITSUI OCEAN FUJI」を発表[14][15]。富士山や1989年に就航した日本の近代的なクルーズ客船の先駆けとなった「ふじ丸」を意識したものとした[16]。2024年9月2日から25日のシアトル発横浜行きのクルーズを最後にシーボーンでの運航を終了[17]。25日に横浜港にて商船三井クルーズへの引渡式を実施、シーボーン時代の15年間で総航行距離859,554海里(約1,591,894 km)・乗客数180,454人・寄港地数426港を数えた[5]。
2024年12月1日より「MITSUI OCEAN FUJI」として就航し横浜港新港ふ頭を起点に別府・釜山・下関を経由し東京港までの7日間のデビュークルーズを行い[18]、12月7日には東京国際クルーズターミナルでの就航記念イベントにて命名式を行い、四代目池坊専好が命名を行った[19]。従来の「にっぽん丸」によるショートクルーズや日本国内での運航と差別化し本船はバハマ船籍で海外寄港を含む5-10泊程度の運航を中心とし[20]、就航後1年半程を目処に日本船籍に移行する計画としている[15]。商船三井のファンネルデザインはオレンジ一色[21]であるが、2024年12月就航に際して色の変更は行われていない。
船内
旧はシーボーン・オデッセイ時代の名称。
- 11階
- サンライズデッキ - 旧サンテラス
- アクティビティエリア「来光」 - 旧サンデッキ「ザ・リトリート」
- 10階
- ペントハウススイート(10室)
- オーシャンビュースイート(4室)
- ベランダスイート(1室)
- オブザベーションバー「36」
- 9階
- ペントハウススイート(12室)
- ベランダスイート(2室)
- バー「スカイバー」
- フィットネスセンター
- モーションスタジオ(ヨガ、エアロビクス、ピラティス、太極拳プログラムに使用)
- スパ&ウェルネス「木霊 KODAMA」
- ヘアサロン
- トリートメントルーム
- 8階
- オーナーズスイート(2室)
- ベランダスイート(30室)
- プールサイドレストラン&バー「湖畔」 - 旧カジュアルレストラン「ザ・パティオ」・バー「パティオバー」
- プール「湖畔」
- ダイニング「北斎FINE DINING」 - 旧グリルレストラン「ザ・グリルbyトーマス・ケラー」 三國清三が監修[20]。
- ビュッフェレストラン「テラスレストラン 八葉」 - 旧「ザ・コロナード」
- 7階
- MITSUI OCEAN スイート - 旧シグネチャースイート(2室、隣接のベランダスイートと合わせ「グランドシグネチャースイート」として利用可)
- ウィンターガーデンスイート(2室、隣接のベランダスイートと合わせ「グランドウィンタースイート」として利用可)
- オーナーズスイート(1室)
- ベランダスイート(44室)
- 宝石・時計店「ザ・コレクション」
- ショップ
- コーヒーバー
- ラウンジ・レセプション・ライブラリー・ワークスペース「MITSUI OCEANスクエア」[20] - 旧「シーボーンスクエア」
- カードルーム
- 6階
- オーナーズスイート(2室)
- ベランダスイート(57室)
- 劇場・ラウンジ「オーシャンステージ」 - 旧「グランドサロン」
- 5階
- ベランダスイート(35室)
- 会議室
- ゲームルーム「オーシャンカジノ」 - 旧カジノ
- オーシャンクラブ&バー - 旧ラウンジ「ザ・クラブ」・クラブバー
- プール
- 4階
- オーシャンビュースイート(26室)
- メインレストラン「ザ・レストラン富士」(452席[20]) - 旧「ザ・レストラン」
- 3階
- 2階
同型船
- 2番船 「シーボーン・ソジャーン(Seabourn Sojourn)」
- 2010年5月26日竣工[10]。
- 3番船 「シーボーン・クエスト(Seabourn Quest)」
- 2011年5月31日竣工[11]。
脚注
参考文献
- 海人社『世界の艦船』2007年10月号 No.680
- 海人社『世界の艦船』2009年7月号 No.708
- 海人社『世界の艦船』2009年9月号 No.711
- 海人社『世界の艦船』2010年8月号 No.728
- 海人社『世界の艦船』2011年8月号 No.745
- 海人社『世界の艦船』2025年2月号 No.1034
- 海事プレス社『クルーズ客船データブック 2022・2023』CRUISE 2022年5月臨時増刊
外部リンク
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