株式会社Looop(ループ、英: Looop Inc.)は、電力小売事業や太陽光発電所システムの販売、再生可能エネルギー発電所の運営を行う会社である。
概要
2011年(平成23年)4月4日設立。社名は同社が目指す「循環 (loop) 型社会」から。また、3つ並ぶアルファベットの「o」の字は、同社が主な事業とする太陽光発電・風力発電・水力発電の3種を示している[1]。
事業内容は
- 太陽光発電所システムの開発・販売・設置・工事・管理・メンテナンス
- 自社再生可能エネルギー発電所の設置・管理
- 独立型太陽光発電システムと周辺機器の販売
- 自然エネルギーを使用した商品の企画・開発・販売
- 損害保険代理店事業
- 電力小売事業
再生可能エネルギーの最大普及を通じて、だれもが自由に(無料で)エネルギーを使える「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンとしている。供給電気商品名はLooopでんき[2]。
沿革
- 2011年(平成23年)
- 3月 - 東日本大震災が発生。中村創一郎が被災地入りし、太陽光発電キットを複数の施設に無償で設置して回る。会社設立の契機となる[3]。
- 4月 - ソーラーパネルの製造・販売を目的として、ソーラーバンク株式会社を設立(資本金900万円・千葉県市川市)。同月、株式会社Looopに社名変更[3]。
- 7月 - 本社を東京都文京区に移転[3]。
- 8月 - ECサイト「Looop Shop 楽天市場店」を開設[3]。
- 12月 - 一基目の自社発電所が山梨県北杜市に完成、売電開始。「Looop」を商標登録[3]。
- 2012年(平成24年)9月 - 株式会社Looopに社名変更[3]。
- 2014年(平成26年)7月 - 大阪支店を開設[3]。
- 2015年(平成27年)
- 6月 - 福島支店を開設[3]。
- 7月 - Looop電力販売サービス開始。所沢ロジスティクスセンターを開設[3]。
- 10月 - 小売電気事業者登録(登録番号はA0021)[3]。
- 11月 - 発電事業者向け情報サイト「Looop Club」をオープン[3]。
- 2016年(平成28年)
- 3月 - 日本アルファ電力株式会社(2012年4月設立)を完全子会社化[4]。
- 4月1日 - 一般家庭向け電力自由化に伴い、「おうちプラン」及び「ビジネスプラン」を受付開始。低圧向け電力を順次日本全国に提供した。
- 2017年(平成29年)
- 2月 - 株式会社Looopが日本アルファ電力株式会社を吸収合併した。
- 6月 - 長野支店を開設。
- 2018年(平成30年)
- 1月 - 本社オフィスを台東区上野に移転。
- 5月 - 北海道支店を開設。
- 9月 - 中部電力がLooopに出資し、両社が業務提携[5]。
- 2019年(令和元年)
- 10月 - 蓄電池併設型メガソーラー発電所 『Looop中標津太陽光発電所』の営業運転を開始。
- 11月 - CDエナジーダイレクトと業務提携。都市ガスと電気のセット販売を開始[6]。太陽光発電所群の発電量をAIを用いて予測するモデルを開発[7]。
- 12月 - 再生可能エネルギーの固定価格買取期間満了を迎える顧客向けプラン 「Looopでんき0」申込開始[8]。
- 2020年(令和2年)
- 3月 -「Looopでんき」の低圧契約件数が20万件を突破。新電力小売開始から4年で大台を超えた[9]。
- 10月 - 中部電力ミライズとの合弁会社である中電Looop Solarを設立(出資比率:中部電力ミライズ51%、Looop49%)[10]。
- 2021年(令和3年)
- 3月 -「Looopでんき」の低圧契約件数が30万件を突破。過去1年間で10万件以上の契約増を達成。
- 11月 - スマートシティのための分散型エネルギーマネジメントシステム「エネプラザ」が令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰(イノベーション発掘・社会実装加速化枠)を受賞[11]。
- 2022年(令和4年)1月 -「エネプラザ」が新エネ大賞で新エネルギー財団会長賞を受賞[12]。
事業
電力事業
2016年4月の電力小売全面自由化と同時に一般家庭向け低圧小売事業に参入。当初より基本料金0円、解約金0円のプランを提供。2021年3月現在の契約件数が30万件超[13]。旧・一般電気事業者やガス会社などの親会社を持たない独立系新電力としてはNo.1の供給実績。
主な料金プラン
割引プラン
環境価値サービス
その他、先進的取り組み
- スマートシティのための分散型エネルギーシステム「エネプラザ」
- 一般住宅向け太陽光0円設置「未来発電」
- 地域新電力・銚子電力株式会社に千葉県銚子市などと共同出資。
住宅用ソーラー事業(スマートライフ)
主に住宅メーカーなどを通じて、太陽光発電システムや蓄電池などをリースまたは販売する。
発電量連動型リース
発電量連動型リースは、リース料金を予測発電量に連動させることで、発電量が少ない月でも赤字になる可能性を下げるモデル。
Looopでんち(AI搭載蓄電池)
家庭ごとの電力需要、太陽光パネルでの発電量、天候などを予測・学習するAI(人工知能)を搭載することで、電気の売買電を最適化し充放電を自動で行う「Looopでんち」を販売している。
エネブロック(容量可変小型蓄電池)
太陽光発電設備の容量に応じて、2.4kWhの小型蓄電池を増設することで容量を最適化。小型なので屋内に設置できる。
自家消費事業
工場や倉庫などの屋根に太陽光発電設備を設置。発電した電力を自社で消費することによる電気代の削減や余剰電力の売電による収入を目的とする。近年、サプライチェーンマネジメントの脱炭素化を目指す大手企業の取り組みにならい、中小企業でも自家消費の導入が進んでいる。
- 2020年6月、タイのRojana Energy Company Limitedと日鉄物産株式会社と共同で、合弁会社RLN Energy Co., Ltd.(以下、RLNエナジー)を設立。第三者所有モデル(PPAモデル)の自家消費サービスの提供を主な事業内容としている。
- 2020年10月、中電ミライズ株式会社とともに、株式会社中電Looop Solarを設立。
産業用ソーラー事業
DIY型自分で作れるMY発電所キットを2011年から販売。2021年までの販売実績は259,028kWを超える[14]。特高圧・高圧・低圧の各規模の発電所の建設から、設置後の遠隔監視や保守管理(O&M)サービスをワンストップで提供し、既存発電所の改修(リパワリング)も手がける。
電源開発事業
自社発電所
国内43拠点 総出力約62.8MW
主な発電所
- 柿の木ソーラー発電所(山梨県北杜市)16.6 kW
- もくせいの木 ソーラー発電所(静岡県御殿場市)244.8 kW
- ケヤキの木 ソーラー発電所(茨城県小美玉市)142.4 kW
- イチョウの木 ソーラー発電所(大阪府泉南郡熊取町)288 kW
- 桃の木ソーラー発電所(岡山県倉敷市)2,256.48 kW
- ヤマユリの花ソーラー発電所(三重県松阪市)19.8 kW
- ツキの木ソーラー発電所(群馬県前橋市)788.4& kW
- 楓の木ソーラー発電所(広島県三次市)1023.36 kW
- やしの木ソーラー発電所(静岡県牧之原市)256.77 kW
- あすなろの木ソーラー発電所(青森県五所川原市)518.4 kW
- 紅葉の木ソーラー発電所(群馬県吾妻郡嬬恋村)529.2 kW
- 中標津ソーラー発電所(北海道中標津市)32,000 kw
商品開発
- 2020年10月より、立命館大学との共同研究としてドイツのHeliatek社の有機薄膜発電パネルを屋外の建築物へ設置する実証実験を開始。
サポート
顧客向けに下記のサービスを提供する[15]。
受賞歴
- MY発電所キットが2015年度グッドデザイン賞受賞[16]。
- 米ペガサス・テック・ベンチャーズが主催する、世界最大級のグローバルピッチコンテスト・カンファレンス「スタートアップワールドカップ2020 東京地区予選」にてファイナリスト10社にノミネートされ、最終的にグランプリを獲得。2021年夏にサンフランシスコで開催される世界決勝戦に招待され、世界優勝投資賞金約1億円を掛けてチャレンジすることとなった。
- 英国政府主催の「テック・ロケットシップ・アワード2019-20」を受賞(2020年4月)
- 自然との共生がテーマの泊まれる発電所「Looop Resort NASU」が2020年度グッドデザイン賞 BEST100を受賞
- スマートシティのための分散型エネルギーマネジメントシステム「エネプラザ」が令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰(イノベーション発掘・社会実装加速化枠)を受賞
- 「エネプラザ」が「新エネ大賞」で新エネルギー財団会長賞を受賞
産学連携
- 宮崎大学農学部(2013年10月、ソーラーシェアリングの共同研究開始)[3]
- ケニア・ジョモ・ケニヤッタ農工大学(2015年5月、ソーラーシェアリングの共同研究覚書調印)[3]
脚注
外部リンク