KSTAR (ケイスター、大韓民国超伝導トカマク先進研究装置、K orea S uperconducting T okamak A dvanced R esearch)は、現在大韓民国 大田広域市 に所在する核融合 研究装置である[ 1] [ 2] 。未来創造科学部 傘下の韓国基礎科学支援研究院に附設された国家核融合研究所 (National Fusion Research Institute, NFRI) が運営している。
KSTAR
概要
同装置は磁気核融合の諸側面を研究することを目的としており、将来的にITER(国際熱核融合実験計画)参加国の分担として同核融合計画の一翼を担うことになる。本計画は1995年に承認されたが、建設は韓国の経済を衰退させた東アジア経済危機の影響を受け遅れることになった。しかしながら建設計画については2007年9月14日に竣工している。最初のプラズマは2008年7月15日に観測されている[ 3] [ 1] [ 2] 。
装置
KSTARは完全な超電導 化を実現する世界で最初のトカマク実験装置である。このことは超伝導電磁石 を用いる予定のITER (国際熱核融合実験炉)計画にも多大の貢献をもたらすことが予想されている。KSTAR磁石装置は16のニオブ スズ 直流トロイダル磁場 コイル、10のニオブスズ交流電流ボロイダル磁場 コイルと4つのニオブチタン 交流電流ボロイダル磁場コイルから構成される[ 1] [ 2] 。なお、KSTARで使用されているプラズマ発生装置は日本原子力研究開発機構 (JAEA) から無償貸与されたものである[ 4] 。
実験計画
本計画では2011年までに反応装置で20秒間のプラズマ・パルスを観察することが目論まれている。そして将来的には5分間にまで延長させる計画である。原子炉容器は最大1.8m、最小0.5mの半径で、最大3.5テスラのトロイダル磁場と最大2メガアンペアのプラズマ電流を発生させることが出来る。他のトカマク装置と同様に、加熱・カレント・ドライブは中性ビーム照射、イオンサイクロトン共鳴加熱 (ICRH)、高周波加熱、電子サイクロトン共鳴加熱 (ECRH) によって開始される[ 5] [ 2] 。
出力
初期熱は中性ビーム照射(将来的に24メガワットまでアップグレートが可能)によって8メガワットに、ICRHからは6メガワット(同様に12メガワットまでアップグレード可能)になる予定で、さらにECRHとRF加熱による初期熱は目下のところ未知数である[ 1] [ 2] 。
燃料
実験は燃料として水素と重水素の両方を使うことになる。しかしITERにおいて用いられることになる重水素・トリチウム混合燃料は用いられない予定である[ 1] [ 2] 。
現状
2012年、同装置は17秒間にわたる5000万度の高温プラズマの維持に成功[ 1] 。2016年に55秒[ 6] 、2018年に90秒[ 7] にわたるプラズマの維持に成功。
また、2018年に1億度の高温プラズマを達成(維持時間:1.5秒)し、2019年には同温度で8秒、2020年には20秒の維持に成功している[ 8] 。
ITERへの技術協力
現在、大韓民国 、中国 、欧州連合 、米国 、ロシア 、インド 、日本 の7か国でフランスに国際核融合実験炉 (ITER ) を建設している。1.6兆円の分担金については参加国で折半することになるが、大韓民国に対しては知的な能力の貢献が求められており、将来的にKSTARで培われるであろう超電導磁石 などの高度な技術の提供を行う予定である[ 1] 。
脚注
^ a b c d e f g 대덕 시험용 핵융합로 ‘KSTAR’ 가동 『중앙 데일리 뉴스』2011.04.02
^ a b c d e f G.S. Lee et al. Design and construction of the KSTAR tokamak . Nuclear Fusion, Vol. 41, No. 10 (2001) (written in English)
^ § 국가핵융합연구소 - 또 하나의 태양을 찾아서 §
^ 「核融合研究所、日本からプラズマ発生装置を貸与 」聯合ニュース 2008年6月27日
^ 「実験用核融合炉「KSTAR」の試験稼働始まる」『中央日報』2011.4.3
^ http://media.daum.net/digital/others/newsview?newsid=20160224120133704
^ “대표 연구성과 | 국가핵융합연구소 ”. www.nfri.re.kr . NFRI. 2020年4月18日 閲覧。
^ “韓国の「人工太陽」、1億度で20秒運転…再び世界新記録を更新” . 朝鮮日報 . (2020年11月25日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/11/25/2020112580088.html
参考文献
Progress in the Operation of KSTAR. Kim W. Proceedings of International Workshop «Innovation Project on Creation of Kazakhstani Tokamak for Material testing. Scientific Research and International Cooperation». September 05-07, 2011.
関連項目
JT-60 - 目標として6分40秒間の高温プラズマの維持を目指す日本の核融合実験炉
外部リンク