"Un Autre Monde (1895)"「もう一つの世界」は、無限に平たく不可視である二種類の生物(地上に束縛されたムーディヘンおよび空中のヴューレン)と人類が地球を共有しており、常人離れした視覚を持つミュータントだけがそれを見ることができる、という着想である。"Le Cataclysme (1896)"「大異変」[注 3]では外宇宙から謎の電磁気学的存在が降着した結果として、フランスの全地方が自然の変化という物理法則を目の当たりにする。
ロニーの短い長編"La Mort de la Terre (1910)"(大地の死[2])は、地球が乾燥し切った未来を舞台にしている。作中では、人類の最後の末裔が、金属製の新種族「鉄磁族」(Ferromagnetals)が自分たちに取って代わろうとしている危機に気付く。『大地の死』は人類絶滅を描いた小説の一つである。
別の長編"La Force Mystérieuse (1913)"(謎の力[2])では、謎の力(恐らくは外宇宙からの異星人)によって電磁スペクトルの一部が破壊され、人類の生存圏がたちまちに侵食される事態を描いている。これにより世界は徐々に、そして潜在的に死へつながる冷却に晒される。本作は、アーサー・コナン・ドイルの同年の中長編『毒ガス帯』との類似性から、両者の非難合戦を惹き起こした[3]。
"L'Énigme de Givreuse (1917)"(ギヴルズの謎[2])はもう一つの注目すべき小説で、人間の完璧な複製(どちらの個体も自分が本物だと信じてしまうほど完璧な複製)を扱っている。(→クローニング)
中編の"La Jeune Vampire (1920)"「吸血美女」[注 4]は吸血鬼を、誕生で伝染する遺伝的突然変異として描いた初めのものである。
ロニーの代表作は、"astronautique"[注 5]という新語を作り出した"Les Navigateurs de l'Infini (1925)"(永遠を航海する者[2])である。この作品中で、ロニーの主人公は"Stellarium"(人工重力で駆動され、破壊不能かつ透明な物質で作られた宇宙船)で火星へ行く。火星では、人類の探検家が、温和で平和的で六つ眼・三本足の種族"Tripèdes"と接触を図っていた。彼らは『謎の力』の鉄磁族と少し似た"Zoomorphs"に徐々に取って代わられ、死滅しつつあるのだった。後半で、若い火星人女性(単為生殖によっていつでも子供が作れる)が地球人探検家と恋に落ちて子供を産む(明らかにこれは人類と異星人女性の関係を描いた初めの恋愛小説である)。このことは、地球人の手助けによる火星人の再生、すなわち火星人の火星奪回の前触れであった。
ロニーはまた力強い先史時代小説の古典を五編も書いている。すなわち"Vamireh (1892)"(ヴァミレ[2])、"Eyrimah (1893)"(エイリマー[2])、むしろ映画版「人類創世」で知られる"La Guerre du Feu (1909)"(火の戦争)、"Le Félin Géant (1918)"(巨大猫[2])、"Helgvor du Fleuve Bleu (1930)"(青い河のエルヴォル[2])である。彼は、現代的な劇の概念を用いて、色彩豊かかつ信用できる流儀で古代人の生活を描き出した。