H ∞ ∞ --> {\displaystyle H^{\infty }} 制御理論(エイチインフィニティせいぎょりろん、英語:H-infinity control theory)は、外乱信号の影響を抑制する制御系を構築するための制御理論である。この制御理論は、1980年代に研究が進み、1989年頃に完成した。 H ∞ ∞ --> {\displaystyle H^{\infty }} ノルムと呼ばれるノルムによって伝達関数を評価し、それが所望の値より小さくなるようにすることにより、目的の性能を達成させる。具体的には、一般化プラントと呼ばれる制御入力、外乱入力、制御出力、評価出力の 4 つの入出力を持つ汎用的な制御モデルを対象に、制御出力から制御入力に適切なフィードバックを施すことで外乱入力から評価出力までの伝達関数の H∞ノルムを小さくするという制御系設計手順を取る。制御対象の不確定な部分を外乱信号として扱うことで、モデルの不確かさの影響を抑制する制御系となる。このように、想定していたモデル(ノミナルモデルと呼ぶ)からの誤差に対しても有効な(安定性を失わない) 性質をロバスト性(堅牢性、安定性)と呼ぶ。
それまでの現代制御論はモデルが正確であることを前提としていたため、モデル化誤差のあるシステムに対して性能を保証しなかったが、H∞制御はロバスト性により多少いいかげんな同定でも許されるようになったこと、周波数領域での設計ができるようになったために古典制御に慣れた技術者が容易に設計できることなどから、産業界で積極的に採り入れられ、理論と現場の距離を縮めたと言われている。