HiLISP は日立製作所によるCommon Lispの実装である。
HiLISP は開発コード名であり、製品名としては、単にLISPとしているが、稼動するOSを並記して、日立のメインフレームであるHITAC Mシリーズでは、VOS3 LISPならびにLISP E2、日立ワークステーション2050シリーズでは、HI-UX LISP とも呼称している。
VOS3 LISPは1987年4月に日本国内初の商用Common Lisp処理系としてリリースされた。[1]
また、当初のHiLISPはCLtL1相当であったが、オブジェクト指向システムが追加されたCLtL2相当の処理系は、HiOBJ-2という開発コード名でも呼称されていた。
特徴
- Common Lisp仕様への準拠
- メモリ空間の確保。1980年代後半としては広大な2GiBのアドレス空間のサポート
- 移植性の確保。マシン非依存のL-Codeと呼ぶ中間語へ変換し、Lisp形式で表現されたアセンブリ言語であるLAPへと展開される。
- 日本語処理。シンボル(変数名、関数名)、データ (文字、文字例)及び注釈に漢字を使用でき、漢字を英・数字と全く同じように扱うことが可能である。
- 豊富なプログラミング環境。LISPの文法を意識した専用の構造画面エディタ、デバッカ、ステッパ、トレーサ、インスペクタから成るデバッギングツールを内蔵している。
- 他言語プログラムインタフェース。C言語やFORTRANで善かれたプログラムを、LISPの関数として呼び出すことができる。
- グラフィック表示機能。出力データを図や表として表示することができる。また,マルチウインドウ操作やマウス入力も可能である。
- ユーザー実行環境の保存。構築した実行環境を退避・再利用でき、応用プログラムをLISPの存在を意識させないで実行できる。
言語仕様
開発当初はCLtL1相当であったが、後にANSI規格の中間報告書であるCLtL2への準拠が進められた[2][3]
動作プラットフォーム
- HITAC Mシリーズ (M-280Hなど)
- 日立ワークステーション2050シリーズ、2020シリーズ
主な応用
- ES/KERNEL (エキスパートシステム構築ツール)
製品リリース年表
- 1987-04 VOS3 LISP[1]
- 1988-11 HI-UX LISP[4]
- 1990-01 VOS3 LISP E2[5]
- 1990-01 HI-UX LISP E2
脚注
- ^ a b http://id.nii.ac.jp/1001/00059737/
- ^ https://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1987/03/1987_03_03.pdf
- ^ http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1990/07/1990_07_06.pdf
- ^ http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1988/11/1988_11_00_sinseihin.pdf
- ^ http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1990/01/1990_01_04.pdf