『Florence[注 1]』(フローレンス)は、オーストラリアのインディーゲームスタジオMountainsが開発しアンナプルナ・インタラクティブより発売されたゲームソフト。
概要
25歳の女性フローレンス・ヨー(Florence Yeoh)の恋と成長の物語が展開される。平凡で退屈な日常を送っていたフローレンスは、ある日、屋外でチェロを演奏する男性クリシュ・ヘムラジャニ(Krish Hemrajani)に惹かれ、間もなく交際が始まる。音楽家になる夢を持つクリシュに対して後押しするフローレンスだったが、その夢に刺激されるように、彼女は幼少期に抱いていた画家への夢を膨らませていく。作品内では台詞や説明文がほとんどなく、手書き風イラストを用いたアニメーションや色彩の変化、様々なBGMにより状況が表現される。
ゲームの中で随所に挿入されるシンプルなミニゲームをクリアしていくことで物語が進行するが、これらはフローレンスたちの心情を表すメタファーにもなっている。例えば、フローレンスとクリシュの会話シーンでふきだしを組み立てるジグソーパズル形式のミニゲームでは、交際当初はピース数が多く時間がかかるが、交際を重ね会話が弾むようになるにつれてピース数が減り簡単になっていく[1]。
開発
開発元のMountainsは、イギリスのソフトウェア開発スタジオUstwo Studio(英語版)で『Monument Valley』等に携わったKen Wongが独立して故郷のオーストラリアに設立したスタジオで、本作は開発第1作目として2年をかけて制作された[2][3]。開発チームは、普段ゲームをしない人を対象に、スマートフォンとタブレットの操作を用いたパズルをメタファーと結び付けて情緒的な物語を伝えようと考え、そこから、ラブストーリーの枠組みを持ち込もうという発想に至った[3]。
フローレンスは中国系オーストラリア人でクリシュはインド系オーストラリア人の設定となっている[2][4]。フローレンスという名前について、Wongは、自身のように両親がオーストラリアに移住し英語が母語でない人々は古風な名前を選びがちとの考えから、オーストラリアで古風に聞こえる「フローレンス」にしたとし、一方で「フローレンス」は「開花」の意味もあるため、若い女性が経験を積み重ねることのメタファーとして完璧と語っている[2]。また、片方の親が日本人であるプロデューサーのKamina Vincentは、オーストラリアは多文化なので私たちの経験を反映したかったとしている[4]。
受賞・ノミネート
脚注
注釈
- ^ タイトルロゴは、先頭も小文字表記の『florence』
出典
外部リンク