EMD SD60は、アメリカのGM-EMDが製造した6動軸(C-C)、出力3,800馬力(2,800kW)の電気式ディーゼル機関車である。製造は1984年から1995年まで行われ、総数はバリエーションを含めて1,140両を数える。
解説
SD50とSD60は、競合会社のゼネラル・エレクトリックが開発した3,600馬力のディーゼル機関車、Dash 7のB36-7とC36-7の成功を受け、競合機種として1970年代終盤から1980年代前半にかけて開発された。
1980年に登場したSD50は機器類の信頼性が低く、50シリーズに特徴的な電装品や制御装置の複雑さもあり、セールス的には早々に「失敗作」とされた。程なくして、EMDはSD50の問題点を改善したSD60の開発を開始した。
SD60の外観はSD50の初期車と概ね同一ながら、新たなV型16気筒の710-G3型ディーゼルエンジンとAR-11型交流発電機を採用し、マイクロプロセッサーにより空転と軸重移動を制御する装置を搭載した。機器類の信頼性向上を図り燃費も向上させたものの、一度初期のSD50が落とした機械部品・電装品の信頼の回復には至らなかった。GM-EMDは、3両のSD60で4両のSD40-2を置き換えることができると主張した。
車種一覧
下記のバリエーションが存在する。
SD60
原型車種。SD40-2等の40シリーズから続くフード・ユニットの形状を採用している。537両製造。
SD60F
通常はフード・ユニット形状であるが、カナディアン・ナショナル鉄道用に、カウル・ユニット形状とし、前面窓を4分割にしたもの。60両製造。
SD60I
ショート・フードの幅を車幅いっぱいに広げ、運転台をウィスパー・キャブとしたもの。ゴムのガスケットを使用することにより、運転台を騒音や振動から遠ざけることができる。同様の運転台は後のSD70I、SD80MAC、SD90MACにも採用された。コンレールのみが発注し、現在はノーフォーク・サザン鉄道とCSXトランスポーテーションが所有する。81両製造。
SD60M
ユニオン・パシフィック鉄道が北米セーフティ・キャブとして発注したもの。ショート・フードの幅は車幅いっぱいである。初期に製造された車両は前面窓が3分割とされ、「トリクロップス」(三ツ目)と愛称づけられた。後期に製造された車両はティアドロップ形の2枚窓となり、ショート・フードが若干短くなった。459両製造。
SD60MAC
SD60Mの主電動機を交流モーターとしたものである。4両の試作機がバーリントン・ノーザン鉄道で試用され、GM-EMDの交流発電機・交流主電動機というシステムの可能性が証明されたが、続く受注はすべてSD70MACであった。4両製造。
新製時の所有者
鉄道名
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両数
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車両番号
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備考
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SD60
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バーリントン・ノーザン鉄道(BN)
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3
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8300-8302
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GM-EMDのデモ車だが、BNの塗装であった。現在はCSXトランスポーテーション(CSXT)。
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シカゴ・アンド・ノースウェスタン鉄道(C&NW)
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55
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8001-8055
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スー・ライン鉄道(SOO)仕様。SOOが財政的に購入できなくなったため、C&NWが購入。
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コンレール(CR)
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25
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6843-6867
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CSXトランスポーテーション
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10
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8700-8709
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EMDX(GM-EMDのリース会社)
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4
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1-4
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デモ車の1,2,4はCRの6840-6842に。3はEMD 9041の代わりにBNSF鉄道にリース。
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カンザス・シティ・サザン鉄道(KCS)
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46
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714-759
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ノーフォーク・サザン鉄道
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151
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6550-6700
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オークウェイ
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100
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9000-9099
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BN(現BNSF)にリース。
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スー・ライン鉄道(SOO)
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58
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6000-6057
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SOO 6000-6020はリース業者・キャピタル・ファイナンスに返却。
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ユニオン・パシフィック鉄道(UP)
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85
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6000-6084
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UP 2155-2239に改番。UP 6014は事故廃車。
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SD60F
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カナディアン・ナショナル鉄道(CN)
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60
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5500-5563
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9900-9903はSD60Fの先行量産車。当初はSD50AFとされていた。
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SD60I
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コンレール
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81
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5544, 5575-5653
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SD60M
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バーリントン・ノーザン鉄道
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100
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1991, 9200-9298
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BNSF9200-9299に改番。のち、2007年終盤から2008年はじめにかけてBNSF8100-8199に改番。
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コンレール
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74
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5500-5574
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スー・ライン鉄道
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5
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6058-6062
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ユニオン・パシフィック鉄道
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281
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6085-6365
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2240-2399に改番。例外は6106, 6143, 6164, 6244で、事故廃車。
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関連項目