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この項目では、楽譜作成ソフトについて説明しています。その他の用法については「ドリコ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
Dorico(ドリコ)はスタインバーグ社開発の楽譜作成ソフトウェアの一つ。商用。
概要
Doricoは、2012年7月にアビッド・テクノロジーロンドンの閉鎖により解雇されたSibeliusの主要開発スタッフをスタインバーグが雇用し、開発が進められてきた。その進捗状況は開発者のブログMaking Notesなどで報告されてきており、プロジェクトのスタートから約4年の年月を経て、2016年10月のリリースと同年11月の日本国内での発売を見た。スタインバーグがロンドンに立ち上げた新オフィス「楽譜作成と教育市場の研究開発センター」に、Sibelius UKでシニア・プロジェクト・マネージャーを務めていたDaniel Spreadbury氏をプロダクト・マーケティング・マネージャーとして登用し、スタッフの一人Ben Timms氏を開発責任者として登用した[1]。また2018年5月には、Dorico 2.0にバージョンアップされた。
Doricoの名前は、16世紀のイタリアのジョヴァンニ・ダ・パレストリーナとジョヴァンニ・アニムッチャの教会音楽を最初に印刷した楽譜彫版師ヴァレリオ・ドリコ(1500-c.1565)に由来する[2]。ドリコの行った単一製版プロセスは、その後イギリスとフランスで発展した楽譜印刷の先駆けとなった[3]。
特徴
- 自動浄書エンジンとBravuraフォントとによって、最少の調整で美しい譜面を作成できる。
- 設定、記譜、浄書、再生、印刷の5つのモードが用意され、さまざまな機能を迷わずに、自分のやりたいことに専念できる。
- スコアからパート譜を簡単に作れる。キュー機能で簡単にキューを入力でき、引用元の楽譜を変更すると、引用先のキューが自動で更新される[4]。
- コンデンシング機能で、簡単にコンデンススコアを作れる。
- Wallander Instruments社のNotePerformer(オーケストラ総合音源)を使うことで、細かい設定をすることなく自然なプレイバックを得られる。
- VST3音源に対応している。加えて、MIDI編集の機能は他のDTMソフトにも比肩する。
- 音符(休符)はマクシマ(全音符の8倍)音符(休符)から1024分音符(休符)までを扱え、音符(休符)の付点の数は4重付点まで扱える[5]。
- 扇形連桁に対応[5]。
- 12平均律でのトリプルシャープ・トリプルフラットや、24平均律での4分音単位の臨時記号に対応[5]。
- オクターブ線は最大3オクターブ上下まで対応[5]。
- 強弱記号はピアノ・フォルテそれぞれ6段階対応[5]。
- バージョン5.1でオーケストラ音源「Iconica Sketch」リリースされた[6]。
シリーズ
Dorico Pro
すべての機能を搭載した、プロフェッショナル版。
Dorico Elements
廉価版。キュー音符や、divisi、微分音が記譜できないなど、一部の機能が制限されている[7]。
Dorico SE
無償版で、8パートまで入力することができる。8パートを超えるファイルを読み込んだ場合は、読み取り専用モードで開かれる[8]。
Dorico for iPad
無料でダウンロードができる、iPad専用アプリ。2021年7月29日にリリースされた[9]。8パートまで作成できるが、アカウントの登録で12パートまで編集できるようになる。さらに、サブスクリプションの契約をすると、編成の制限がなくなるほか、浄書モードが使用できる[10]。
脚注
関連項目
外部リンク