CNHグローバル(CNH global, NYSE: CNH)は1999年から2013年まで存在していた農業機械・建設機械メーカー。農業機械部門ではジョン・ディアに次いで世界第2位の規模をもち、建設機械部門においてもキャタピラー、コマツに次いで世界第3位の規模をもつ企業である。創業の地はオランダ・アムステルダムであるが、本社はアメリカ・イリノイ州ブルーリッジにおかれており、株式の87.4%をイタリアのフィアット・インダストリアルが保有していた。2013年にそのフィアット・インダストリアルと合併して、CNHインダストリアルとなった。
農業機械部門においては、同社の売り上げの約70%を占めるトラクターと、そのアタッチメントやローダー、モアー、収穫機、ヘイベーラー、移植機、シーダー、スプレーヤー、耕起設備などを製造している。
建設機械部門においても、アーティキュレーテッドトラック、バックホーローダー、クローラーローダー、ブルドーザー、油圧ショベル、フォークリフト等、多種多様な機種を生産している。
CNHグローバルのディーラー網は160カ国に12000店以上を数え、アメリカ、中国、インドを含む16カ国に31の工場を現在保有している。また、研究開発施設も12カ国に26施設を保有している。
CNHグローバルが保有するブランド
- 建設機械
- ケースCE - 住友建機から油圧ショベルの供給を受け、Caseブランドで米州および欧州で販売している。なお、ミニショベルに関してはコベルコ建機から供給を受けている。
- ニューホランド- コベルコ建機から油圧ショベルの供給を受け、NEW HOLLANDブランドで販売。
- コベルコ建機 - 株式の20%をCNHグローバルが保有。またニューホランド建機部門へ油圧ショベルの技術供与を行っている。
歴史
- 1907年
- フォード・モーター傘下のヘンリー・フォード・アンド・サン社が世界で初めて大量生産されることになるフォードソン・トラクターのプロトタイプを製作。
- 1917年
- フォードソン・トラクターF型の大量生産開始。
- 1919年
- フィアットが702型トラクターの大量生産を開始。
- 1947年
- 牧草機械メーカー・ヘストンがアメリカ・カンザス州で創業。
- スペリーがニューホランドを買収、スペリー・ニューホランドとなる。
- ハイドロリック・エンジニアリング・カンパニーがカナダ・トロントで創業。バーサティルブランドの農機具の製造開始。
- 1963年
- ハイドロリック・エンジニアリング・カンパニーがバーサティルと改名。
- 1964年
- スペリー・ニューホランドが、当時ヨーロッパ最大のコンバインメーカーとなったクレイスを買収。
- フォードトラクターの工場がイギリス・エセックス州バシルドンに移動。
- 1977年
- フィアット・トラットーリが北米市場重視戦略からへストンを買収。
- フィアット・トラットーリが中・小型トラクターを生産していたアグリフィルを買収。
- バーサティルがバーサティル農機と改名。
- 1984年
- フィアット・トラットーリがフィアットアグリと改名。
- フィアットアグリがラベルダを通じブラウドの株式の75%を買収。
- 1986年
- フォードがスペリー・ニューホランドを買収、フォード・ニューホランドと改名。
- 1988年
- フィアットアグリとフィアット・アリスが業務統合、農機・建機メーカー・フィアットジオテックを創出。
- ヘストンとブラウドがフランスに合資会社・ヘストン・ブラウドを創立。
- 1991年
- フィアットがフォード・ニューホランドを買収、フィアットジオテックと統合し、NHジオテックと改名。
- バーサティル農機がフォード・ニューホランドの一部門となる。
- 1993年
- NHジオテックがニューホランドと改名。
- FH建機がフィアット日立建機と統合、ニューホランドの建機部門の製造を担当する。
- 1994年
- ニューホランドが新デザインのコーポレート・マークを公表。
- 1996年
- イヴェコ、カミンズの間で欧州エンジン協定が結ばれ、ニューホランドへのエンジン供給の中心となることが決定する。
- ニューホランド、アメリカ・フロリダ州オーランドで開催された農機展で24のニューモデルを発表。
- ニューホランドNVがニューヨーク証券取引市場に上場。
- 1997年
- ニューホランドがフォード・モーター・クレジット社を買収、ニューホランド製品のアメリカ・カナダでのファイナンス・リース業務を開始する。
- ニューホランド、マニトー[1]との業務提携によりテレハンドラーの製造開始。
- 1998年
- ニューホランドがインドに工場新設、35~75馬力のトラクターの生産を開始。
- ニューホランド、カナダのフレキシコイル社と業務提携、播種・耕起機器の製造を開始。
- ニューホランド、トルコのトルク・トラクターと業務提携、持ち株比率を35%に拡大。
- ニューホランドファイナンス、従来のイギリスのみでの活動からイタリア、フランス、ドイツでも活動を開始。
- 1999年
- ニューホランドNVとケース社との統合によりCNHグローバル創立。
- 2000年
- CNHグローバルが世界のトラクター、コンバイン市場で売上台数1位を記録。建機においても世界第3位となる。
日本におけるCNHグローバル
一時期クボタがフィアットブランドのトラクターを輸入販売していた。
現在、日本ニューホランドがニューホランドブランドの農業機械とケースIHブランドのトラクターを、三菱農機(三菱重工傘下)がケースIHブランドのトラクターを輸入販売している。
日本のIHI子会社のIHIシバウラは、ニューホランドブランドの農業機械をOEM生産していた。
現在はクボタからトラクターを調達している。
また、コベルコ建機(神戸製鋼子会社)と住友建機(住友重機械子会社)が業務提携を結んでおり、一部製品のOEM供給を行っている。
関連項目
外部リンク