CM/TV

『CM/TV』
坂本龍一コンピレーション・アルバム
リリース
ジャンル
時間
レーベル ワーナーミュージック・ジャパン / WEA Japan
プロデュース 坂本龍一
チャート最高順位
坂本龍一 アルバム 年表
コミカ
(2002年)
CM/TV
US
UF
(2002年)
ファム・ファタール
(2002年)
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CM/TV』(シーエム・ティーヴィー)は、日本作曲家である坂本龍一の1枚目のコンピレーション・アルバム

2002年10月23日ワーナーミュージック・ジャパンのWEA Japanレーベルからリリースされ、プロデューサーと選曲は坂本が担当した。

本作は、坂本が1977年から2002年までに制作したコマーシャルソングテレビ番組のテーマ曲が収録されている。

リリース

2002年10月23日ワーナーミュージック・ジャパンのWEA JapanレーベルからCDのみで、ベスト・アルバムUS[2]と『UF[3]の2作同時にリリースされた。

初回プレスでは、ジャケット表記が7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」と13曲目の「西武スペシャル B-3」が逆転する誤植があり[注釈 1]、それに伴った交換処置が行われた。

本作と『US』『UF』の帯裏に印字してある応募券を貼って応募すると、非売品CDである『GEM』が進呈された『A特典』と、2002年11月札幌をはじめ仙台東京名古屋大阪福岡沖縄の全7か所で行われた「坂本龍一 トーク・セッション」に参加できる応募はがきが同封された『B特典』が初回盤特典キャンペーンとして実施された。

批評

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[4]

『CDジャーナル』は、総評として「えっ、この曲って……といった驚きも多い」としたうえで「これだけ曲数が多くてもメロディ・メイカーとしての特徴がはっきりと感じられるところはさすが」と肯定的な評価を下している[4]

収録曲

CD
全作曲: 坂本龍一
#タイトル作詞作曲・編曲備考時間
1.丸井のメガネ(1977) 坂本龍一坂本が初めて手掛けたコマーシャルソング
2.日立CI『伝統美』(1978) 坂本龍一
3.キヤノンNP5500『キャリアガール』(1978) 坂本龍一坂本は、CMとして成功しているか分からないとしたうえで「ピアノ小品として気に入っている作品」と自評している[6]
4.バルバローゼン『カプセル』(1978) 坂本龍一坂本はこの作品に関して「覚えていない」と語っている[6]
5.PARCO-フェイ・ダナウェイ『アニマル』(1979) 坂本龍一
  • アートディレクターである石岡瑛子のディレクションによる『フェイ・ダナウェイ』シリーズの1作として発表された楽曲で、坂本はこの作品に関して「自由に制作することができ、結果的に自分でも気に入った楽曲で書けたのがうれしい」と語っている[6]
  • 後に「ゴリラがバナナをくれる日」というタイトルで、ライヴ・アルバム『メディア・バーン・ライブ』(1986年)でピアノソロ、セルフカバー・アルバム『1996』ではトリオ編成としてそれぞれ発表された。
6.PARCO-フェイ・ダナウェイ『卵』(1979) 坂本龍一
  • 前曲の『アニマル』同様、PARCOの『フェイ・ダナウェイ』シリーズの1作として発表された楽曲で、アントニオ・カルロス・ジョビンの影響が前面に出ている。坂本はこのアルバムを編纂した際「改めて聞くまで忘れていたんですが、非常にいい曲ですね」と語っている[6]
  • セルフカバー・アルバム『/04』(2004年)で「Tamago 2004」として発表した。
7.西武スペシャル『ゴーマンミチコ』(1979) 坂本龍一
8.トヨタCI『燃える大地』(1979) 坂本龍一曲の途中でトロンボーンが重なって演奏されており、坂本は「きしむような不協和音が気持ちいい」と語っている[6]
9.EDWIN(1979) 坂本龍一ジャズギタリストである渡辺香津美が主宰したバンドのKYLYN[注釈 3]が演奏している。スタジオ入りする前に飲んでしまった影響で、レコーディングを行った際、メンバーはほろ酔い状態だったという[6]
10.パイロット『ジャスタス』(1979) 坂本龍一
11.XEROX 3500 ベビーライオン Part3(1980) 坂本龍一クラフトワーク調の楽曲となっている。
12.オリンパスOM-10『夏』(1980) 坂本龍一 
13.西武スペシャル B-3(1981) 坂本龍一プログレ調の楽曲だが、クライアントから「『和』を出したい」という注文でが挿入されている。坂本は「意味がないないなあ」と思いながら渋々入れたという[6][注釈 4]
14.明星 中華三昧『黄金の都』(1981) 坂本龍一この曲を気に入った高橋幸宏が坂本に頼み込み了解を取り、アルバム『WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!』(1982年)に「回想/FLASHBACK」として、ボーカルパート追加したうえでカバーした。
15.新潮社 新潮文庫キャンペーン(1982) 坂本龍一坂本にとって初のCM出演となった作品である[6]
16.FM東京 サウンドロゴ Type C(1982) 坂本龍一坂本は、このサウンドロゴをリアルタイムで聞いた記憶がないという[6]
17.日本生命CM『きみについて』(1983)糸井重里坂本龍一
  • 坂本が出演した日本生命「新・青春の保険『YOU』」のCMソングとして使用され、プロモーション用シングル「LIFE IN JAPAN」(1983年)に収録されている。
  • ベースは坂本が演奏している。
18.サントリーウィスキーオールド』「DEAR LIZ-Strings Version」(1983) 坂本龍一
  • CM映像からオーディオ・トラックを抜き出している。
  • ライヴ・アルバム『メディア・バーン・ライブ』(1986年)とセルフカバー・アルバム『/04』(2004年)ではピアノソロヴァージョンが収録されている。
19.資生堂 エリクシール『Ms.ニッポン』(1983) 坂本龍一バート・バカラックに影響されて制作した楽曲。
20.資生堂 エリクシール'84(1984) 坂本龍一ボーカルは歌手ポプラが担当している。坂本はこの楽曲に関して「すごく『ブロードウェイ』って感じがする」としたうえで「ぼくの中で一番『アメリカっぽい』かもしれない」と語っている[6]
21.NTT『ハウディ』(1984) 坂本龍一坂本はこの楽曲に関して、2002年時点で「以外にいい」としたうえで「記憶と違っている。そういうのが多いね」と語っている[6]
22.サントリー SASUKE(1984) 坂本龍一「XEROX 3500 ベビーライオン Part3」同様、クラフトワーク調の楽曲となっている[6]
23.日立マクセル「SOFT MACHINE」(1984) 坂本龍一坂本はこの楽曲を20年ぶりに聴いたとしたうえで「『けっこうおもしろいじゃん』と思った」と語っている[6]
24.資生堂 リバイタル'85「リバイタル」(1984) 坂本龍一坂本はこの楽曲を「いい曲じゃん!哀愁があるし」と称賛したうえで「新古典的な作風ですね。これはのばして一つの曲として聴きたい」と自評している[6]
25.日産 セドリック『プール編』「Floating Along」(1988) 坂本龍一
26.野村證券『Portfolio』(1988) 坂本龍一レコーディングにアンクルンが使用されている。坂本は「証券会社のCMなのに、なぜこんなにアジアっぽいのかな」としたうえで「音的に割とインパクトがありますね」と自評している[6]
27.NEC C-LIFEフェア「Strong Relax」(1990) 坂本龍一
28.鹿島建設株式会社・イメージソング「The Echoing Blue」(1990) 坂本龍一
  • ライナーノーツには、鹿島建設の社長に頼まれて制作したと記載されているが、坂本の記憶違いが原因なのか曲を間違えており、収録されている楽曲は、トキオ・クマガイの非売品CD『坂本龍一 for TOKIO KUMAGAI』(1989年)に収録されている楽曲である。
  • アルバム『エスペラント』(1985年)に収録されている「A Wongga Dance Song」や、クラフトワークのアルバム『人間解体』(1978年)に収録されている「The Robots」の効果音がサンプリングとして使用されている。
29.武田薬品アリナミンA』「Nutrition」(1990) 坂本龍一CMがおどろおどろしい画面だったため、坂本は「ちょっと『怖い』音を入れた」という[6]
30.VIVRE「Lost in a maze」(1992) 坂本龍一アコーディオン主旋律を奏でているが、全体的にジャズ調の楽曲で、サウンド的にはアルバム『ハートビート』(1991年)に近い感じになっている[6]
31.Toshiba BS-ARENA「Ominous Adolescence」(1992) 坂本龍一坂本は、商品のキャッチコピーである『昔のヴィデオがきれいに見えます』というフレーズが印象に残っているが、楽曲自体は印象にないと語っている[6]
32.キャセイパシフィック航空「The Heart of Asia(reprise)(1994) 坂本龍一キャセイパシフィック航空の搭乗者に配布された、非売品CDの収録曲。
33.アウディ A6「Whispering Green」(1997) 坂本龍一坂本は「D&Bが流行していた頃をしのばせます」としたうえで「アウディにしては、ちょっとオリエンタルすぎないかな〜、ってもう遅いか」と語っている[6]
34.マイクロソフト I.E. 4.0 Theme 1 (不採用作品)(1998) 坂本龍一マイクロソフトウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したもので、当時社長だった古川享に依頼されて制作したものだが、結果的に不採用となった。坂本は「けっこういいと思う」と自評している[6]
35.マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 1-1 (不採用作品)(1998) 坂本龍一マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
36.マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 1-2 (不採用作品)(1998) 坂本龍一マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
37.マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 2 (不採用作品)(1998) 坂本龍一マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
38.マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 3 (不採用作品)(1998) 坂本龍一マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
39.SEGA ドリームキャスト サウンドロゴ(1998) 坂本龍一セガの家庭用ゲーム機である『ドリームキャスト』を立ち上げた際に、テレビ画面にロゴと同時に流れる効果音
40.バドワイザー「Beyond」(1998) 坂本龍一CMに坂本が出演している。
41.三共リゲインEB錠』「energy flow」(1999) 坂本龍一
  • CMで実際に使われた音源で、シングル『ウラBTTB』(1999年)に収録されているヴァージョンよりも短くなっている。
  • 坂本は、ライナーノーツに「何と言っていいやら」とだけコメントしている[6]。後に「なんであんなにヒットしたのか自分でも分からない。特に良い曲だったわけじゃないですから。なんでなのか不思議でしょうがないんですけど、自分では分からない何かがあるんでしょうね」と語っている[7]
42.キヤノン e-Magic「Out of the Cradle」(2000) 坂本龍一坂本がケニアに訪問した際、その場で録音したマサイ族の歌を使用している[6]
43.サントリー・ウィスキー『山崎』「YAMAZAKI 2002」(2002) 坂本龍一
  • 坂本は「『energy flow』がヒットしたのに、これがヒットしないのが分からない」と語っている[6]
  • セルフカバー・アルバム『/04』(2004年)でセルフカバーした。
44.ランコム(不明[注釈 5]) 坂本龍一フランスのテレビCMで使われた。
45.NHKNHKニュースワイド(1980) 坂本龍一
  • レコーディングはNHK509スタジオで行われた。
  • 坂本は、NHKニュースのテーマソングに起用されるにあたり「けっこう力を入れて作った」語っている[6]
46.NHK『NHK教育 YOU オープニング』(1982) 坂本龍一ドラムは坂本が演奏している[6]
47.NHK『NHK教育 YOU エンディング』(1982) 坂本龍一 
48.日本テレビNTT DATA スペシャル「海からの贈りもの」クジラ・ヒト・地球の未来』「WHALES」(1990) 坂本龍一楽曲にクジラの鳴き声が使われている[6]
49.TBS筑紫哲也 NEWS23 オープニング』「put your hands up」(1997) 坂本龍一シングル『ウラBTTB』(1999年)にピアノ・ヴァージョンが収録されている。
50.TBS『筑紫哲也 NEWS23 エンディング』「put your hands up」(1997) 坂本龍一 
合計時間:

リリース履歴

No. 日付 国名 レーベル 規格 規格品番 備考
1 2002年10月23日 日本の旗 日本 ワーナーミュージック・ジャパン / WEA Japan CD WPC6-10244 ベスト・アルバムUS』と『UF』の2作同時リリース

脚注

注釈

  1. ^ 一部音楽サイトでは、誤植されたままの曲順で表記されている[4]
  2. ^ ライナーノーツでは7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」と13曲目の「西武スペシャル B-3」が逆転する誤植が発生しているため、13曲目の「西武スペシャル B-3」項に記載されている。
  3. ^ 渡辺香津美のアルバム『KYLYN』(1979年)のために結成されたバンド。
  4. ^ ライナーノーツでは7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」と13曲目の「西武スペシャル B-3」が逆転する誤植が発生しているため、7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」項に記載されている。
  5. ^ 1993年から1994年の間に制作したとされているが、制作年次は不明。

出典

  1. ^ CM/TV | 坂本龍一”. ORICON STYLE. 株式会社oricon ME. 2025年1月13日閲覧。
  2. ^ 坂本龍一 / ソロ・ベスト「US」 [2CD]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年1月13日閲覧。
  3. ^ 坂本龍一 / 映画音楽ベスト「UF」”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年1月13日閲覧。
  4. ^ a b c 坂本龍一 / CM・TV音楽ベスト「CM / TV」”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年1月13日閲覧。
  5. ^ a b みんなCM音楽を歌っていた。立ち読み版第13回「デビュー前の起用」”. ほぼ日刊イトイ新聞. 株式会社ほぼ日 (2007年9月12日). 2025年1月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 2002年に発売されたコンピレーション・アルバム『CM/TV』のライナーノーツより。
  7. ^ a b みんなCM音楽を歌っていた。立ち読み版最終回「CM音楽の黄金期、80年代」”. ほぼ日刊イトイ新聞. 株式会社ほぼ日 (2007年9月13日). 2025年1月13日閲覧。

外部リンク