CLS (コマンド)

CLS (シーエルエス、clear the screen、日本語で「画面消去」の意味) はMS-DOSOS/2Microsoft WindowsCOMMAND.COMcmd.exeで使われる、画面やコンソールウィンドウの出力(表示)内容を消去するコマンドである。ユーザーのコマンド実行履歴を消去するものではない。このコマンドはDEC RT-11オペレーティングシステムでも同様の意味で使用された。他の環境を挙げると、LinuxやUnixでは同等の機能をclearコマンドとして実装している。

元来マイクロソフトがCLSの3文字を画面消去のコマンドとして使用しており、同社のMS-DOSより前の事例として、TRS-80 Color BASIC英語版といった8ビットパソコン用に開発された内蔵ROM BASICの方言が存在する。BASICのMS-DOSへの移植としてBASICAGW-BASIC英語版が存在するが、これらもBASICのキーワードとしてCLSコマンドを搭載している。また、マイクロソフト以外によるBASICへの実装としてはBBC MicroのBBC BASICが存在する。CLSコマンドはMicrosoft Windowsの現行のBASICにおいても、フォームの画面やコントロール、それ以上にフォーム上のテキストを消去することに使われる。

BASICであっても必ずしも画面の消去が "CLS" コマンドであるとは限らない。例えばApple IIApplesoft BASIC英語版では、テキストの消去はHOMEコマンド、グラフィックの消去はGRコマンドで行う[1]HP BASIC英語版ではCLEAR SCREENコマンド[2]パナファコム LKit-16 BASICではERASEコマンドで同等の機能を持つ[3]

また、同じ "CLS" コマンドでも引数の解釈が異なる場合がある。WindowsのCLSコマンドでは引数は解釈されない。GW-BASICではCLS 1でグラフィック画面を消去するが[4]N88-BASICではCLS 1はテキスト画面を消去するコマンドであり、CLS 2でグラフィック画面を消去する[5]

出典

  1. ^ Applesoft BASIC Reference”. 2016年11月13日閲覧。
  2. ^ HP-BASIC入門 : リファレンス C”. 2016年11月13日閲覧。
  3. ^ 原田雅英『マイコンキット活用マニュアル : アセンブラ,BASIC早わかり』誠文堂新光社、1979年、155頁。 
  4. ^ CLS Statement : GW-BASIC User's Guide”. 2016年11月13日閲覧。
  5. ^ 『N88-BASIC(86)(Ver6.2)リファレンスマニュアル』日本電気、1991年、49-50頁。 

参考文献