2部マトロイド (bipartite matroid )は、サーキットのサイズがすべて偶数であるようなマトロイド である。
例
一様マトロイド
U
n
r
{\displaystyle U{}_{n}^{r}}
は、
r
{\displaystyle r}
が奇数のとき、かつそのときのみ2部マトロイドである。これは、一様マトロイドのサーキットのサイズが
r
+
1
{\displaystyle r+1}
であるからである。
2部グラフとの関係
2部マトロイドは、Welsh (1969) によって、2部グラフ のグラフ的マトロイド の一般化として定義された。グラフ的マトロイドが2部マトロイドであることと、グラフが2部グラフであることは同値である[ 1] 。
オイラーマトロイドの双対
オイラーグラフ は、すべての頂点の次数が偶数であるようなグラフだが、平面グラフ において2部グラフの双対はオイラーグラフとなる。Welsh (1969) は、これがマトロイドにも拡張できることを示した。つまり、2値マトロイド において、2部マトロイドの双対はオイラーマトロイド となる。
2値マトロイドでない場合、そうなるとは限らない。例えば、一様マトロイド
U
6
4
{\displaystyle U{}_{6}^{4}}
は2部マトロイドではないが、この双対はオイラーマトロイドである。また、一様マトロイド
U
6
3
{\displaystyle U{}_{6}^{3}}
は2部マトロイドであるが、オイラーマトロイドではない。
計算の複雑さ
与えられた2値マトロイドが2部マトロイドかを多項式時間 でテストすることが可能である[ 2] 。しかし、与えられたマトロイドがオイラーマトロイドであるかを、独立性オラクルを介してテストするには、指数回のオラクルアクセスを必要とする[ 3] 。
参考文献
^ Welsh, D. J. A. (1969), “Euler and bipartite matroids”, Journal of Combinatorial Theory 6 : 375–377, doi :10.1016/s0021-9800(69)80033-5 , MR 0237368 .
^ Lovász, László ; Seress, Ákos (1993), “The cocycle lattice of binary matroids”, European Journal of Combinatorics 14 (3): 241–250, doi :10.1006/eujc.1993.1027 , MR 1215334 .
^ Jensen, Per M.; Korte, Bernhard (1982), “Complexity of matroid property algorithms”, SIAM Journal on Computing 11 (1): 184–190, doi :10.1137/0211014 , MR 646772 .