黒崎 政男(くろさき まさお、1954年11月3日 - )は、日本の哲学者。東京女子大学教授。
東大在学中に、のちの妻、歌人・ファンタジー小説家の井辻朱美と出会う。東大大学院哲学専攻博士課程修了。専門はカント哲学。古典的な認識論研究を主軸に、人工知能、電子メディア、生命倫理など、デジタル化された現代社会の諸問題を考察。骨董コレクションを紹介しながら時間や美を論じる『哲学者クロサキの哲学する骨董』(2011年)など、哲学的随想も好評を博す。
人物
宮城県仙台市生まれ。1979年東京大学文学部哲学科卒。1984年、同大学院博士課程単位取得満期退学。在学中にオーケストラでのちに妻となる井辻朱美と出会う。後に井辻や林あまりとともに短歌同人誌「かばん」の創刊に参画する。東京女子大学現代教養学部人文学科哲学専攻教授。カントが専門だが、コンピューターにも詳しく多様な主題で著作をなす。
主張
二十一世紀はデジタル・テクノロジーによるパノプティコン(一望監視装置)の時代である。二十世紀まで人間は意志を持つ主体的な存在と考えられていたが、現在では、デジタルの眼によって蓄積されたデータベースとしての存在となった。デジタルの眼は<私>を身体=モノとして捉え、人間を管理・監視する。そして、そこでの権力は特定の個人にあるのではなく、すべての人間がデジタルの眼によって支配されているのである[1]。
著書
- 『哲学者はアンドロイドの夢を見たか 人工知能の哲学』(哲学書房、1987年)
- 『ミネルヴァのふくろうは世紀末を飛ぶ テクノロジーと哲学の現在』(弘文堂、1991年)
- 『哲学者クロサキのMS-DOSは思考の道具だ』(アスキー、1993年)
- 『カオス系の暗礁めぐる哲学の魚』(NTT出版、1997年)
- 『となりのアンドロイド 哲学者クロサキの憂鬱』(日本放送出版協会、1998年)
- 『カント『純粋理性批判』入門』(講談社選書メチエ、2000年)
- 『哲学者クロサキの写真論』(晶文社、2001年)
- 『デジタルを哲学する 時代のテンポに翻弄される〈私〉』(PHP新書、2002年)
- 『身体にきく哲学』(NTT出版、2005年)
- 『哲学者クロサキの哲学する骨董』(淡交社、2012年)
- 『今を生きるための哲学的思考』(日本実業出版社、2012年)
- 『哲学者クロサキの 哲学超入門』平凡社新書 2016
共編著
翻訳
- ヒューバート・L.ドレイファス『コンピュータには何ができないか 哲学的人工知能批判』(村若修共訳 / 産業図書、1992年)
- ジェイ・デイヴィッド・ボルター『ライティングスペース 電子テキスト時代のエクリチュール』(産業図書、1994年)
メディア出演
脚注