青山ベルコモンズ (あおやまベルコモンズ、Aoyama Bell Commons)は、東京都 港区 青山 にかつてあった商業ビルである。いわゆるファッションビル のはしりとも言われ[ 3] 、初めは1976年 (昭和 51年)、当時の婦人服 専門店大手、鈴屋 によって企画・建設された。
概要
青山ベルコモンズは1976年 (昭和 51年)6月、婦人服飾 を中心とした専門店 型のショッピングセンター (SC) として東京都 港区 青山 に開業した[ 4] 。当初の運営者は当時の婦人服専門店大手の鈴屋 で、これは専門店が自ら本格的SCを運営した初めてのものであった[ 4] 。社内からは、過大投資であるとして反対する意見もあった[ 5] 。
所在地は青山通り と外苑西通り が交わる青山三丁目交差点であり、至近には東京メトロ銀座線 外苑前駅 がある。明るいブラウン色の建物を特徴とするベルコモンズは、この近辺におけるランドマーク となっており、内部には衣類店のほか、飲食店、家具店、デリ、ゴルフ教室、オフィスなどが入居している。最上階である11階には展示会などに使われるサロン、屋上にはテニスコートがある[ 6] 。
建物は地上11階・地下2階建で、黒川紀章 設計事務所による設計は、「アーバン・ヒル(都市の中の丘)」をコンセプトとしており、周辺の景観にアクセントをつけ、低層階においては、それぞれの階と道路とを結ぶ外部階段が設けられ、好きなフロアに直接、自由に上がって楽しめるような構造になっている[ 6] 。外観は凹凸の多い下層部と、垂直な外壁の上層部とが対照的となっている[ 6] 。内部では、ひとつの階を二つに分けた「スキップフロア 」構造が5階まで採用され、半階フロアは1階から3階まで吹き抜けとなった中央部分を取り囲む螺旋階段のように配置されている[ 6] 。この構造のため、重層のファッションビルにもかかわらずエスカレーターが存在せず、代わりに各階を見渡せるシースルーのエレベーターが設置されている[ 6] 。
沿革
1985年 (昭和 60年)、第一生命保険 が青山ベルコモンズの土地・建物を、それまで所有者だったアサヒ土地開発[ 7] から、約240億円で買収したことが報じられた[ 8] 。この買収額はバブル前だった当時において、既設ビルの売買としては日本国内で最大規模のものであった[ 8] 。
1997年 (平成9年)、それまでビルの運営管理を行っていた鈴屋 が和議申請 をして事実上倒産 、青山エイピーオー社がビルの企画運営を担当するようになった[ 9] 。
青山ベルコモンズは2000年 (平成12年)、開業以来初めての全面改装を実施、営業面積を270m2 増しの4,520m2 とし、物販34店、飲食11店のテナントのうち23店を新規に導入した[ 9] 。この際には、従来対象としていた20代女性に加え、団塊ジュニア とその母親の年代層にも対象を加える戦略がとられた[ 9] 。
2012年 (平成24年)、日米の不動産投資ファンド が共同出資した特定目的会社 が第一生命保険から青山ベルコモンズを取得[ 1] 。
2014年 (平成26年)3月30日 を以ってファッションビルとしては閉館となり、38年の歴史に幕 を下ろした[ 2] 。ビルそのものはオフィスビルとして再出発する予定[ 10] であったが、2015年12月より解体された[ 11] 。閉館に伴い、ジャックス との提携によるハウスカード「青山ベルコモンズカード」も同日付でサービスを終了し、2014年(平成26年)4月1日 以降は使用できなくなっている[ 12] 。
2020年 (令和2年)8月5日 、跡地に三菱地所 がオフィスやホテル、商業施設などを備えた地上20階建ての複合ビルとしてthe ARGYLE aoyama(ジ アーガイル アオヤマ)を建設[ 13] 。
ホテルのプロデュースはプラン・ドゥ・シー[ 14] が行い、青山グランドホテル (THE AOYAMA GRAND HOTEL)[ 15] を開業した。なお、青山ベルコモンズが青山のランドマークであった1970年〜80年頃のヴィンテージマンションをコンセプトにデザインされており、プラン・ドゥ・シーはホテルとしては東京初進出となった。
建物概要
青山ベルコモンズ
地上11階、塔屋2階、地下1階、最高高さ48.35m
完成 - 1976年 (昭和51年)6月1日
敷地面積 - 2,043m2
延床面積 - 15,164m2
立体駐車場 - 126台収容
施工 - 竹中工務店
管理 - 第一ビルディング[ 16] [ 17]
脚注
^ a b 「青山ベルコモンズ」取得のアレンジメント及びアセットマネジメント業務受託に関するお知らせ (シンプレクス不動産投資顧問、2012年7月4日)
^ a b “青山ベルコモンズ、38年の歴史に幕”. 繊研新聞 (繊研新聞社). (2014年3月17日)
^ 青山ベルコモンズ 「建築家の黒川紀章さん死去 『毎日jp』(毎日新聞 )、平成23年8月7日閲覧[リンク切れ ]
^ a b 鈴屋、東京・青山に婦人服飾中心の専門店型SC「青山ベルコモンズ」をオープン 『日本経済新聞 』 昭和51年6月3日 夕刊3面
^ 処世術捨てた革命児、組織頼らず自ら仕掛け(現場報告新企業人) 『日経産業新聞 』 昭和61年2月3日
^ a b c d e 「ビル紳士録66 青山ベルコモンズ 低層フロアと街路を結ぶ」 『毎日新聞』 平成3年7月8日 夕刊
^ アサヒ土地開発は、戸建て住宅分譲からオフィスビル開発まで手がける総合デベロッパー(本社・東京、社長・近藤修)であったが、その後1999年 (平成 11年)に倒産した。負債総額は3,226億円だった。
^ a b 「第一生命、東京・青山の大型商業ビル買収、土地代込み総額240億円」 『日本経済新聞』 昭和60年9月20日 朝刊
^ a b c 青山ベルコモンズ、初の全面改装、テナント大幅入れ替え - 団塊世代も対象に 『日本経済新聞』 平成12年10月24日朝刊17面
^ 青山ベルコモンズが閉館 38年の歴史に幕 Fashionsnap.com 平成25年12月3日(同日閲覧)
^ 建設データバンク 解体情報
^ 青山ベルコモンズカード会員の皆様へ 青山ベルコモンズ 平成25年12月3日閲覧[リンク切れ ]
^ 「青山ベルコモンズ」跡 三菱地所、建て替え着手 『日本経済新聞』朝刊2017年12月22日(東京面)
^ プラン・ドゥ・シーhttps://plandosee.co.jp/
^ THE AOYAMA GRAND HOTEL 青山グランドホテル https://aoyamagrand.com/
^ 主要間管理ビル一覧 株式会社第一ビルディングのウェブサイト、平成23年8月7日閲覧
^ 青山ベルコモンズは開業以来、鈴屋がオーナーである第一ビルディングから管理運営を受託していた。「青山ベルコモンズ、開業以来の全面改装、テナント半数新規導入」 『日経流通新聞 』 平成12年10月24日9面
外部リンク