『雪中の狩人』(せっちゅうのかりゅうど, 蘭: Jagers in de sneeuw, 英: The Hunters in the Snow)は、ルネサンス後期の風景画家、ピーテル・ブリューゲルの代表的な油彩画[1]。ウィーンの美術史美術館所蔵。
概要
1565年にアントウェルペンの銀行家で美術収集家だったニコラース・ヨンゲリンク(英語版)からの依頼で描かれた。一年の季節の移り変わりを描いた連作6作品の一つで、そのうち『暗い日』(早春)、『干草の収穫』(夏)、『穀物の収穫』(秋)、『牛群の帰り』(晩秋)、『雪中の狩人』(冬)の5枚が現存している。春を描いたと思われる絵は失われている[2]。
『雪中の狩人』は、雪の山間集落や岩山を背景に3人の狩人が猟犬を引き連れて歩く情景を描いた作品である。左下に近景の狩人を配置し、眼下に広がる村では凍った池でアイススケートやバンディ、カーリングに興じる村民、右上に遠景の山岳を配し、遠近法を巧みに用いている[3]。
狩人たちは疲れ果ててとぼとぼと歩き、一人の男はキツネ1匹を運び、獲物の少なさを物語っている。上部にはカラスとカササギが描かれ、オランダの文化ではカササギは悪魔と関連付けられているため、ブリューゲルは時々これら2種の鳥を不吉さを示すために描いている(『絞首台の上のカササギ』『ゴルゴタの丘への行進』など)[4]。
美術史家のマーティン・ケンプ(英語版)はクリスマスカードの人気の題材であると指摘し、「おそらく世俗的な題材としては『雪中の狩人』ほど人気のあるものはない」と述べている[5]。
アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』『鏡』、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』、アラン・タネール監督の『白い町で』、アッバス・キアロスタミ監督の『24フレーム』などの映画に登場する[6]。
同名の息子が模作を描いている(東京富士美術館所蔵)。父の絵と比較すると異なっている点が多く、父の絵が117×162cmという大型の画面に対し、子の絵は25.5×32.5cmという小型の画面で描かれている。父の絵には「季節画」連作の1点として遠景の雪山など冬を表すモチーフが丁寧に描き込まれているが、子の絵では簡略化され、ほとんど形式的な描写に留まっている。
この景色が特定の場所を描いたものかどうかについては、ジュネーヴ湖の東端からの眺望とする説や、インスブルック近郊の村の景観とする説が提唱されている[7]。
書籍
脚注
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関連項目
外部リンク