「金髪のジェニー」(きんぱつのジェニー、英:Jeanie with the Light Brown Hair)はアメリカ合衆国の作曲家、スティーブン・フォスターが1854年に作詞・作曲した楽曲である。
原題の"Jeanie with the Light Brown Hair"は直訳すると「薄茶色の髪のジニー」となるが、日本ではフォスターの訳詞を多く手掛けている津川主一が訳題を「金髪のジェニー」として以降、林宏太郎や千葉比呂志の訳詞でもこれが踏襲されている。
解説
この歌の「ジェニー」はフォスターの妻であるジェーン・デニー・マクダウェル(Jane Denny McDowell, 1829年 - 1903年)が念頭にあったと言うのが定説になっている。ピッツバーグの開業医の娘であったジェーンは1850年にフォスターと結婚し、翌1851年に娘のマリオンが生まれる。しかし、ピッツバーグと音楽出版社のあるニューヨークを往復するフォスター家の生活は困窮を極めて1860年に破綻をきたし、1864年に亡くなるまで妻子との別居状態が続いた。「金髪のジェニー」が書かれた1854年頃には既にジェーンとの不仲が始まっていたとみられ、歌詞もそれを反映するかのように「別れた元恋人への郷愁」を歌うものになっている[1]。
フォスターの生前には代表作の「故郷の人々(スワニー河)」や「ケンタッキーの我が家」、遺作となった「夢見る人」と比べて余り注目されなかった。ところが、1949年に米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)と全米の放送局が著作権契約を巡って紛争状態となった際に、放送局が著作権の消滅したパブリックドメインの楽曲を優先的にラジオで放送する防衛策を取って「金髪のジェニー」が頻繁に流されたことから全米で広く知られるようになり、実にフォスターの没後85年を経て再評価されるに至った[1]。
坂本龍一は、1989年発表のアルバム「ビューティ」に収録の楽曲「ROMANCE」にこの曲のメロディを用い、沖縄民謡風の詞と歌唱を追加する形でカヴァーを行った。
歌詞
原曲は詞・曲とも著作権保護期間満了。
- I dream of Jeanie with the light brown hair,
- Borne, like a vapor, on the summer air;
- I see her tripping where the bright streams play,
- Happy as the daisies that dance on her way.
- Many were the wild notes her merry voice would pour.
- Many were the blithe birds that warbled them o’er:
- Oh! I dream of Jeanie with the light brown hair,
- Floating, like a vapor, on the soft summer air.
- I long for Jeanie with the daydawn smile,
- Radiant in gladness, warm with winning guile;
- I hear her melodies, like joys gone by,
- Sighing round my heart o’er the fond hopes that die:—
- Sighing like the night wind and sobbing like the rain,—
- Wailing for the lost one that comes not again:
- Oh! I long for Jeanie, and my heart bows low,
- Never more to find her where the bright waters flow.
- I sigh for Jeanie, but her light form strayed
- Far from the fond hearts round her native glade;
- Her smiles have vanished and her sweet songs flown,
- Flitting like the dreams that have cheered us and gone.
- Now the nodding wild flowers may wither on the shore
- While her gentle fingers will cull them no more:
- Oh! I sigh for Jeanie with the light brown hair,
- Floating, like a vapor, on the soft summer air.
関連項目
日本でこの楽曲をモチーフとしたテレビアニメが2度にわたり作られている。
また、『トム・ソーヤーの冒険』(世界名作劇場、1980年(昭和55年))でも挿入歌として多用された。
脚注
英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。
- ^ a b 金髪のジェニー(世界の民謡・童謡)