野沢 協(野澤 協、のざわ きょう、1930年(昭和5年)2月1日[1] - 2015年(平成27年)11月18日[2])は、日本のフランス文学者、翻訳家。17・18世紀フランス思想史を専攻。
略歴
1930年、神奈川県鎌倉市生まれ。旧制浦和高等学校で学び、高等学校時代からの友人に出口裕弘、澁澤龍彦がいる。1953年、東京大学文学部仏文科を卒業。
1962年、(旧)東京都立大学人文学部仏文科助手に就いた。後に助教授、教授に昇進。1990年から2001年まで、駒澤大学外国語部教授をつとめた。2015年に死去。
受賞・栄典
- 1997年:第34回日本翻訳文化賞を受賞。『ピエール・ベール著作集』の翻訳に対して。
研究内容・業績
- 1960年代には白水社・文庫クセジュなどで、社会科学方面の著作翻訳を多く手がけたが、1970年代以降、フランス啓蒙主義の研究に邁進。ポール・アザールの大著『ヨーロッパ精神の危機』(クローデル賞受賞)やグレトゥイゼン『ブルジョワ精神の起源』などを次々に訳した。
- 1970年代後半からライフワークともいえる『ピエール・ベール著作集』の個人全訳(法政大学出版局)に着手。1997年に完結し、第34回日本翻訳文化賞を受賞した。
家族・親族
- 兄:野澤謙は動物学者。1歳年上で東京大学農学部を卒業し、元京都大学名誉教授。したがって、謙の長男である脚本家野沢尚は甥に当たる。
- 母方の祖父は田邊新之助、母方の伯父は田辺元。
著作
- 著書
- 翻訳
- 『英米哲学入門』セルジュ・ユタン著、白水社・文庫クセジュ 1959
- 『ファーブル伝』ジョルジュ=ヴィクトール・ルグロ著、平岡昇共訳、白水社 1960
- 新版復刊 1990年
- 文庫化 講談社文庫 1979
- 『アフリカの未来像』(正・続) セク・トゥーレ著、小出峻共訳、理論社 1961
- 『わが生涯』トロッキー著、栗田勇・澁澤龍彦・浜田泰三共訳、林茂名義、現代思潮社 1961
- 『死海写本』ラペルーサ著、白水社・文庫クセジュ 1962
- 『心臓 この未知なるもの』リヒャルト・レヴィンゾーン著、中山毅共訳、理論社 1963
- 『知識人』ルイ・ボダン著、白水社・文庫クセジュ 1963
- 『黒アフリカ史 その地理・文明・歴史』シュレ=カナール著、理論社 1964
- 『インターナショナルの歴史 1864-1943年』アニー・クリジェル著、秋沢勝共訳、白水社・文庫クセジュ 1965
- 『"ベトコン"の戦士たち』マドレーヌ・リフォ著、理論社 1965
- 『アメリカの黒人』クロード・フォーラン著、山口俊章共訳、白水社・文庫クセジュ 1967
- 『中央アジア自動車横断』(西域紀行探検全集) ジョルジュ・ル・フェーヴル著、宮前勝利共訳、白水社 1967
- 新版 1981年
- 世界探検全集 河出書房新社 1978
- 世界探検全集 新版 2023
- 『トロイの木馬』ポール・ニザン著、新日本出版社 1967
- 『キリスト教暴露』ドルバック、現代思潮社) 1968
- 『革命と反革命』アンドレ・ドクフレ、白水社、文庫クセジュ) 1969
- 『妻への手紙』(ポール・ニザン著作集 9) ポール・ニザン著、高橋治男共訳、晶文社 1969
- 『フランスの左翼 1789年から今日まで』ジャン・ドフラーヌ著、白水社・文庫クセジュ 1972
- 『ヨーロッパ精神の危機 1680-1715』ポール・アザール著、法政大学出版局・叢書・ウニベルシタス 1973
- 『デカルト著作集 4』白水社 1973
- 共訳者は大出晁, 所雄章, 塩川徹也, 森有正, 三宅徳嘉, 川俣晃自, 伊東俊太郎ほか
- 『幽閉者 ブランキ伝』ギュスターヴ・ジェフロワ、加藤節子共訳、現代思潮社 1973
- 『コスモスの崩壊 閉ざされた世界から無限の宇宙へ』アレクサンドル・コイレ著、白水社 1974
- 『ブルジョワ精神の起源 教会とブルジョワジー』ベルンハルト・グレトゥイゼン著、法政大学出版局 1974
- 『シャトレ哲学史4 啓蒙時代の哲学』監訳、白水社 1976
- 『現代教育科学 2』モーリス・ドベス, ガストン・ミアラレ編、波多野完治・手塚武彦・滝沢武久監訳、共訳、白水社 1977
- 『1848年 二月革命の精神史』ジャン・カスー、監訳、法政大学出版局 1979
- 共訳者は上田睦子, 大津真作, 加藤節子, 倉沢充夫, 小杉隆芳, 沢崎浩平, 西川直子, 前田祝一
- 『ディドロ著作集2』共訳、法政大学出版局 1980
- 『十八世紀社会主義』アンドレ・リシュタンベルジェ著、法政大学出版局 1981
- 『ディドロ著作集 3』共訳、法政大学出版局 1989
- 『ピエール・ベール伝』ピエール・デ・メゾー著、法政大学出版局 2005
- 『ドン・デシャン哲学著作集』法政大学出版局 2007
- ピエール・ベール著作集
- 『ピエール・ベール著作集1 彗星雑考』 1978
- 『ピエール・ベール著作集2 寛容論集』 1979
- 『ピエール・ベール著作集3 歴史批評辞典1』 1982
- 『ピエール・ベール著作集4 歴史批評辞典2』 1984
- 『ピエール・ベール著作集5 歴史批評辞典3』 1987
- 『ピエール・ベール著作集6 彗星雑考 続』 1989
- 『ピエール・ベール著作集7 後期論文集1』 1992
- 『ピエール・ベール著作集8 後期論文集』 1997
- 『ピエール・ベール著作集 補巻 宗教改革史論』 2004
- 「ピエール・ベール関連資料集」全4巻 編訳、法政大学出版局 2010 - 2015
- 『抵抗と服従』上
- 『抵抗と服従』下
- 『寛容論争集成』
- 『補巻 良心の自由』
- 「啓蒙のユートピア」
- 「啓蒙のユートピア Ⅰ」法政大学出版局 1996
- 『セヴァランブ物語』ドニ・ヴェラス、田中良知共訳
- 『カレジャヴァまたは合理人の島の物語』クロード・ジルベール著、小林浩共訳
- 『ジャック・マッセの旅と冒険』シモン・ティソ・ド・パト著
- 「啓蒙のユートピア Ⅲ」法政大学出版局 1997
- 『啓蒙のユートピアⅡ』法政大学出版局 2008
- 『しあわせ王国記』ラッセ侯爵著
- 『フォシオン対談』マブリ著、貴田晃共訳
- 『ガリジェーヌ物語またはダンカンの覚書』ティフェーニュ・ド・ラ・ロッシュ著、橋本克己共訳)
- 『啓蒙の地下文書』1・2 監訳、法政大学出版局 2008 - 2011
- 共訳者は藤原真実, 寺田元一, 逸見龍生, 大津真作, 三井吉俊, 楠本重行, 飯野和夫
参考
外部リンク
脚注