遠距離航空コマンド(えんきょりこうくうコマンド、ロシア語:Командование Дальней Авиации, ДА、英語:The Long-Range Aviation, LRA)は、ロシア航空宇宙軍中央司令部隷下の主要なコマンドの内の1つ。その前身は第37航空軍である。爆撃機を運用し、核弾頭搭載型巡航ミサイルによる核攻撃、並びに通常弾頭を搭載した空対地ミサイル及び精密誘導爆弾等による攻撃を任務とする。
編制
遠距離航空コマンドは、2008年のロシア軍の大規模な軍事改革により、2009年に第37航空軍から改編され設立された。2個航空基地[2]及びコマンド司令部直轄部隊から成る[3]。2015年末時点で、爆撃機(Tu-22M3/MR×63機、Tu-95MS/MSM×60機、Tu-160×16機)×計139機、空中給油機(Il-78×5機、Il-78M×10機)を装備する。Tu-95MS/MSMおよびTu-160は核巡航ミサイル(Kh-55/SM)を発射する能力がある。2015年現在、核巡航ミサイルはステルス性を高めたKh-102に更新中である[4]。
司令部
遠距離航空コマンド司令部(Штаба командования дальней авиации)は、モスクワに所在する。
司令部直轄部隊
第6950ドンバス親衛航空基地
第6950ドンバス親衛航空基地(6950-я гвардейский авиационная база)は、サラトフ州エンゲリス飛行場に本部を置く。隷下に3個航空群と3個保管・修理工場をもつ。
第6952航空基地
第6952航空基地(6952-я авиационная база)は、アムール州ウクラインカ飛行場に本部を置く。隷下に2個航空群と2個保管・修理工場をもつ。
司令官
- アレクサンドル・エフゲニービッチ・ゴロヴァノフ(1942年 - 1948年)
- パヴェル・ジガレフ(1948年 - 1948年)
- セルゲイ・イグナチエビッチ・ルデンコ(1950年 - 1953年)
- アレクサンドル・ノビコフ(1953年 - 1955年)
- ウラジーミル・アレクサンドロヴィッチ・スデッツ(1955年 - 1962年)
- フィリップ・アレキサンドロビッチ・アガルツォフ(1962年 - 1969年)。
- ワシリー・レシェトニコフ(1969年 - 1980年)
- イワン・ゴルブノフ(1980年 - 1985年)
- ピョートル・デイネキン(1985 - 1990年)
- イーゴリ・ミハイロヴィッチ・カルーギン)(1990年 - 1997年)
- ミハイル・ミハイロビッチ・オパーリン(1998年 - 2002年)
- イーゴリ・イワノビッチ・フボロフ(2002年 - 2007年)
- パベル・アンドロソフ(2007年 - 2009年)
- アナトリー・ドミートリエヴィチ・ジィハーレフ(ru)、(2009年‐2016年)
- セルゲイ・コビラシュ(2016年9月 - 現在)
- 2022年ロシアのウクライナ侵攻において、マリウポリ爆撃を指揮したとみられる。「ロシアの軍事的および政治的指導者の指示に従ってウクライナの都市を破壊し」「ウクライナの民間住宅・病院・重要なインフラ施設に対して大規模なミサイル攻撃を実行する命令を下した」ため、ウクライナで不在起訴された[5]。
脚注