連邦航空保安局(れんぽうこうくうほあんきょく、英語: Federal Air Marshal Service、FAMS)は、アメリカ国土安全保障省の運輸保安庁の監督下にあるアメリカ合衆国連邦政府の法執行機関(en:law enforcement agency)である。FAMSは民間航空の信頼性を挙げることを目的とし、このために連邦航空保安官(Federal Air Marshal, FAM)を配備してアメリカの航空会社・空港・乗客・乗員に対する敵性行動を察知・抑止・阻止する[5]。航空保安官は連邦政府の法執行官である。
1985年、大統領のロナルド・レーガンはスカイマーシャルプログラムの拡張を要求し、議会も国際保安開発協力法(International Security and Development Cooperation Act)を制定した。これは連邦航空保安局の根拠となる法律を拡張するものであった。運輸庁の目標声明とはうらはらに、航空保安官のプログラムは国内便でのハイジャック事件に端を発するものであり、1985年まで、航空保安官プログラムはアメリカ国内便にほぼ限定して運用されていた。1985年のトランス・ワールド航空847便のハイジャックおよび国際保安開発協力法の施行の後は、航空保安官は増員され、国際便に注意が向けられるようになった。イギリスやドイツなどの数カ国で、個人が銃器を携帯して入国することへの抵抗があったため、国際線のカバー体制にはムラがあった。銃器携帯での入国への抵抗は、双方の交渉や協定による合意や、入国した際に武器を引き渡すことによって克服され、FAMは、アメリカの航空業界をハイジャックから守るという使命を実行するため世界中で活動することができた。
元々は、ジョン・F・ケネディ大統領の必要上からの命令の下、アメリカ税関局(en:United States Customs Service 2003年に税関・国境警備局に再編された)保安官がエアーマーシャルとして任命されており、後には特別に訓練された連邦航空局職員が任に当たっていた[6]。これも運輸保安庁の目標声明とは逆に、税関局保安官は1971年から1972年にかけて廃止されてしまった。このうち多くは航空局の民間航空保安部へと異動して航空保安調査員となり、また民間航空保安部の監督する航空保安官プログラムの志願者になった者もいる。
2004年の7月より、運輸保安庁は大きなイベント・休日・祝日の際に大規模輸送システムを補助する臨時要員を派遣している。この運輸保安庁の人員は有形共同輸送保護対応チーム(Visible Intermodal Prevention and Response Teams :VIPRチーム)と呼ばれ、大規模な物資・旅客輸送においてランダム・非公開・予想不可能な高い存在感を示すことが目的である。必要とされる補助のレベルは、輸送システムの地方政治およびセキュリティの状態による。VIPRチームのメンバーには、航空保安官以外の人員が加えられる事もある。2007年7月以来、運輸保安庁はVIPRチームの人数および派遣回数を大いに増やしており、派遣頻度は1回/月から1〜2回/週へと増加した[10]。
部門等航空保安監代理(Deputy Supervisory Air Marshal in Charge (DSAC))
部門等航空保安監補佐(Assistant Supervisory Air Marshal in Charge (ASAC))
総括航空保安官(Supervisory Federal Air Marshal (SFAM))
上級航空保安官(Senior Federal Air Marshal)
航空保安官(Federal Air Marshal (FAM))
2011年以前の階級は、部門等航空保安監(Supervisory Air Marshal in Charge (SAC))から総括航空保安官(Supervisory Federal Air Marshal (SFAM))までの名称が異なっていた。部門等航空保安監(Supervisory Air Marshal in Charge (SAC))は、 部門等航空保安監代理(Deputy Supervisory Air Marshal in Charge (DSAC))及び部門等航空保安監補佐(Assistant Supervisory Air Marshal in Charge (ASAC))と同様に、担当する部門を所掌する局長の特別補佐官として、総括航空保安官(Supervisory Federal Air Marshal (SFAM))は現場の航空保安官の総括という役割を担っている。2011年の階級変更は、これらの階級間の対立をなくし、管理職と非管理職の意識的な隔絶を減少させるために行われたものである。
2003年7月29日、連邦法執行官協会(Federal Law Enforcement Officers Association FLEOA)の航空保安局執行部副代表である、航空保安局所属のロバート・マクレーンは、ホテル宿泊のコスト削減のため、航空保安官を長距離航路から撤退させることを検討していることを明らかにした[19]。この計画が命じられたのは、運輸保安庁が予算不足に陥り、また国土安全保障省が2003年7月26日の警告を出した直後であった。この警告は、テロリストがアメリカ東海岸・イギリス・イタリア・オーストラリア発の旅客機で、ハイジャックの意図を含んだ密輸計画をしているというものであった。計画は議会の反発を呼び、実行される前に中止となった。またこの計画は航空・輸送保安法(en:Aviation and Transportation Security Act)とも合致しなかった。同法の105節は「連邦航空保安官の配属は……2001年9月11日に標的となったような直行便・長距離便を優先すべきである」としている[20]。
^ ab“Survey of Federal Civilian Law Enforcement Functions and Authorities”. GAO.gov. Government Accountability Office (December 2007). May 2, 2018閲覧。 “Excluded from the total is the number of Transportation Security Administration’s (TSA) Federal Air Marshals, which is Sensitive Security Information (SSI).”
^ ab“Your daily FAA bill news fix”. politico.com. Politico (September 14, 2018). September 23, 2018閲覧。 “CHANGING OF THE GUARD: David Kohl has been named director of the Federal Air Marshal Service, [...] He and new FAMs Deputy Director Michael Ondocin will start Oct. 18.”