西田 友是(にした ともゆき、1949年1月4日[1] - )は日本の工学者、東京大学名誉教授。日本におけるコンピュータグラフィックス (CG) のパイオニアである。
人物
広島県出身。1970年から広島大学工学部電気機器研究室で中前栄八郎教授に師事し、隠線消去、隠面消去、陰影表示などのCGの研究をはじめた。光の相互反射光まで計算してリアルな画像を生成するラジオシティ法の開発者の1人である。また、影の計算法、特に境界のやわらかい影であるソフトシャドーの表示法を最初に開発した。
3次元コンピュータグラフィックスに関しての主な業績としては、3次元物体のリアルな表現法、照明シミュレーション(種々の光源、相互反射光の計算、天空光)、景観予測、自由曲面(ベジェ曲面(英語版)など)の表示法、雲などの自然物の表示、CGアニメーション、インタラクティブレンダリング等の先駆的な研究がある。特に、曲面のレイトレーシングに適用できるBezier clipping法の開発もしている。
長年のCG界への功績に対して、2005年、米国ACM SIGGRAPHからクーンズ賞を受賞し、2006年、NICOGRAPHからCG-Japan Awardを受賞している。
こうした功績から、2006年3月、画像電子学会において、CG関連の優秀論文の著者に与えられる賞「西田賞」が創設された。
長年、産業界との共同研究にも意欲的に取り組んでおり、現在は東大発ベンチャーのプロメテック・ソフトウェア株式会社の名誉顧問に就任するとともに同社が運営するプロメテックCGリサーチ(旧ドワンゴCGリサーチ)の所長を務める。
熟練したJazzキーボード奏者の顔も持つ。
経歴
書籍
- 3次元コンピュータ・グラフィックス/共著、1986年5月、昭晃堂
- コンピュータによる画像生成、1999年7月、大学教育出版
- ビジュアルコンピューティング―3次元CGによる画像生成/共著、2006年9月、東京電機大学出版局
脚注
- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.422
- ^ 『東京工科大学大学院メディアサイエンス専攻客員教授にCG界のノーベル賞といわれるCoons Award受賞者の西田友是氏が就任』(プレスリリース)片柳学園、2013年10月1日。オリジナルの2013年10月6日時点におけるアーカイブ。https://web.archive.org/web/20131006002621/http://www.news2u.net/releases/116520。
- ^ “平成29年秋の紫綬褒章受章”. 東京大学. 2023年5月9日閲覧。
- ^ “令和5年春の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 16 (2023年4月29日). 2023年5月3日閲覧。
- ^ 『官報』号外第93号、令和5年5月1日
外部リンク