紙屋敦之

紙屋 敦之(かみや のぶゆき、1946年6月24日[1] - 2019年[2])は、日本の歴史学者文学博士早稲田大学名誉教授。専門は日本近世史。特に日琉関係史を長年研究し、島津氏琉球の関係から中国へ視野を広げ、「東アジア」の枠組みで歴史的変遷の論理を組み立てた[2]。その他、梅北一揆の研究でも知られる[2]

経歴

鹿児島県薩摩川内市出身[1]1965年3月鹿児島県立甲南高等学校卒業[1][3]。同年4月早稲田大学教育学部入学、1969年3月卒業[1]

1969年4月早稲田大学大学院文学研究科修士課程に進学し1972年3月修了[1]。大学院では北島正元に師事し、深谷克己は同門[2]1974年4月早稲田大学大学院文学研究科博士課程に進学し、1981年3月に単位取得満期退学[1]。在学中の1975年に論文「梅北一揆の歴史的意義─朝鮮出兵時における一反乱─」[4]が専門誌『日本史研究』に掲載され、学界に知られるようになる[2]。また、沖縄返還という現実の影響で、日本と琉球の関係史の研究を志向するようになる[2]1991年6月に論文「幕藩制国家の琉球支配」によって早稲田大学から文学博士取得[5]

1987年4月から福岡大学人文学部助教授を務め、1992年4月早稲田大学第一文学部第二文学部助教授に転じ、翌1993年早稲田大学第一文学部・第二文学部教授に昇任[1]2004年の組織整備に伴い、早稲田大学文学学術院教授[1]。教授職の間、早稲田大学学生部長(1998年2月~2002年11月)、早稲田大学図書館長(2002年11月~2006年9月)、早稲田大学系属早稲田中学校・高等学校校長(2007年4月~2011年3月)、早稲田大学理事(2010年11月~2014年11月)、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター所長(2010年11月~2014年11月)、早稲田大学系属早稲田高等学校理事長(2010年11月~2014年11月)、早稲田大学系属早稲田渋谷シンガポール校理事長(2010年11月~2014年11月)などを歴任[1]。その他2003年4月から2年間、大学入試センター日本史部会委員・部会長を務めた[1]

2017年に早稲田大学教授を定年退職し[2]、名誉教授。その2年後に逝去[2]

著書

単著

  • 『幕藩制国家の琉球支配』(校倉書房 1990年)
  • 『大君外交と東アジア』(吉川弘文館 1997年)
  • 『琉球と日本・中国』(山川出版社・日本史リブレット 2003年)
  • 『歴史のはざまを読む 薩摩と琉球』榕樹書林 がじゅまるブックス 2009
  • 『東アジアのなかの琉球と薩摩藩』校倉書房 歴史科学叢書 2013
  • 『梅北一揆の研究』南方新社 2017

共著

  • 『日本の近世 地域と文化』斎藤善之ほか(梓出版社 1995年)

編著

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 紙屋敦之教授 年譜・主要著作目録」『史觀』第176号、早稲田大学史学会、2017年3月25日、一〇四-一〇九、CRID 1570854177817540096hdl:2065/00062381ISSN 0386-93502023年10月23日閲覧 
  2. ^ a b c d e f g h 深谷克己「紙屋敦之氏の人と業績」『早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌』第9巻、早稲田大学総合人文科学研究センター、2021年10月20日、283-284頁、CRID 1050857280112008064hdl:2065/00092811ISSN 2187-83072023年10月23日閲覧 
  3. ^ 『文藝春秋 2014年8月号』(2014年7月)「同級生交歓」
  4. ^ 紙屋敦之 1975.
  5. ^ 紙屋敦之『幕藩制国家の琉球支配』(文学博士 乙第839号論文) 早稲田大学、1991年。doi:10.11501/3061427hdl:2065/49367NAID 500000086621https://doi.org/10.11501/3061427 

参考文献

先代
浦川道太郎
早稲田大学図書館長
2002年 - 2006年
次代
加藤哲夫
先代
野嶋栄一郎
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター所長
2010年 - 2014年
次代
村上公一