紀州レンジャーズ(きしゅうレンジャーズ、Kishu Rangers)は、2008年に和歌山県に発足した野球チーム。クラブチームとしてスタートし、2009年から2013年まで関西独立リーグに加盟していた。リーグ発足当初から続けてリーグ戦に参加している唯一のチームであった。しかし、他球団との方針の相違により、2013年12月12日に脱退した。
脱退の際に2014年からはクラブチームに戻る方針を表明したものの、実際には活動を休止した。運営母体はスポーツクラブを主催する形で存続したが、2017年3月末で活動を停止した。
概要
2008年に将来の独立リーグ加入(プロ化)を前提にクラブチームとして発足した。運営母体は株式会社として発足したが、のちに特定非営利活動法人(NPO)に変更された。
チーム名は、和歌山県のローカルヒーローである紀ノ國戦隊紀州レンジャーに由来している[1]。
独立リーグ時代の使用球場は、和歌山県営紀三井寺野球場を本拠とし、ほかに和歌山県内の田辺市立市民球場(2012年度に閉鎖解体[2])、御坊総合公園野球場、上富田スポーツセンター野球場、貴志川スポーツ公園野球場、湯浅城公園なぎの里球場[3]、くろしおスタジアム、そして三重県の「東紀州」に位置する山崎運動公園くまのスタジアム(熊野市)であった。
設立の経緯
有田市出身の元プロ野球選手の木村竹志(旧名・石井毅)が理事長を務める和歌山野球振興協会・夢クラブをはじめとした県内の3つのNPO法人が、木村を委員長とする設立準備委員会を設立し、2007年12月3日に記者会見を開いて構想を発表した[4]。それによると、和歌山県営紀三井寺野球場を本拠地とし、新たにNPO法人を発足させて運営に当たるとしていた。2008年は準備期間としてクラブチームで活動し、選手に対しては2009年度以降は給料として月20万円(2月~10月までの9ヶ月間)を支給する予定とされた。監督は木村委員長、和歌山市出身で元広島東洋カープの井上紘一がコーチを務めることも発表された。
チームの設立構想が表明された段階では関西独立リーグ構想が明らかになっていなかったため、四国・九州アイランドリーグもしくはベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)に加入することもあり得るとしていた[5]。
2008年6月に運営母体となる「株式会社紀州レンジャーズ」の設立とその役員人事が公表された。
歴史
前節に記したように、所属リーグ未定の状態から関西独立リーグ設立に応じて加入したが、リーグの経営危機の発覚(運営会社の撤退)から三重スリーアローズの離脱を経て、実質的にリーグ運営の中心となった。しかし、後から参入した兵庫ブルーサンダーズが、既存の高校・大学野球部の枠に縛られない選手育成(学校法人芦屋学園との連携)を進めようとしたことに木村竹志が反発し、兵庫に賛同する06BULLSも含めた全球団が脱退する形でリーグは解散した。当球団は全期間にわたってリーグに所属した唯一の球団であった。
なお、袂を分かつ形で兵庫と06が設立したBASEBALL FIRST LEAGUE(現・さわかみ関西独立リーグ)は、2017年度から田辺市を本拠とする和歌山ファイティングバーズを参入させることを2016年6月に発表し[6][7]、予定通り2017年よりリーグ戦に参加している(2022年12月に和歌山ウェイブスに改称)。
年表
- 2007年12月3日 - 木村竹志らが構想を発表。
- 2008年
- 1月9日 - 第1回のセレクションを実施。
- 2月9日 - 第2回のセレクションを実施。2回のセレクションで合計24名が合格した。うち女性2名を含む19名が契約。
- 3月6日 - 関西独立リーグの構想が発表され、紀州レンジャーズが加盟予定であることが明らかになる。
- 3月29日 - 最初の対外試合として、ベースボール・チャレンジ・リーグの富山サンダーバーズとの練習試合を実施(2-8で敗戦)。
- 6月5日 - 関西独立リーグ記者会見で代表取締役など役員体制の発表がされた。
- 11月16日 - リーグのドラフト会議にて12名を指名(うち2名が従来からの紀州レンジャーズ在籍者)。これとは別に継続契約となる選手は4名。他に2名が大阪、1名が神戸に移籍することが決まる。発足時に契約した女性選手は1名が8月に退団、残る1名も指名や継続契約の枠には含まれなかった。
- 11月25日 - 来シーズンの監督に、和歌山県出身で元阪神タイガース監督・前福井ミラクルエレファンツ監督の藤田平の就任を発表。
- 2009年
- 2010年
- 6月17日 - 経営難のため選手の給料を6月分より全額カットすることが発表された。
- 6月27日 - 前期終了。17勝15敗2分で2位。
- 9月19日 - 2位明石との直接対決に勝ち、22勝7敗3分で初の後期優勝。
- 9月25日 - チャンピオンシップで神戸に連敗し、年間チャンピオンの座を逃す。
- 2011年
- 4月17日 - スプリングカップ終了。1勝2敗1分で4位。
- 7月3日 - 前期終了。12勝9敗3分で2位。
- 7月17日 - サマーカップ決勝戦で敗れ、準優勝。
- 9月30日 - 後期終了。17勝6敗1分で2位。
- 2012年
- 2013年
- 7月12日 - 前期終了。11勝18敗3分で3位(最下位)。
- 10月28日 - 後期終了。10勝20敗2分で3位(最下位)。
- 12月12日 - 関西独立リーグからの脱退を発表した[8]。今後はクラブチームとして活動し、日本野球連盟への加入を目指すとしていた[9]。
- 2014年
- 2017年
成績
リーグ戦
年度 |
期 |
監督 |
順位 |
試合 |
勝利 |
敗戦 |
引分 |
勝率 |
ゲーム差
|
2009
|
前 |
藤田平
|
3 |
36 |
17 |
17 |
2 |
.500 |
2.0
|
後 |
4 |
36 |
13 |
20 |
3 |
.394 |
8.5
|
2010
|
前 |
石井毅
|
2 |
35 |
17 |
15 |
3 |
.531 |
1.5
|
後 |
1 |
32 |
22 |
7 |
3 |
.759 |
(注)4.0
|
2011
|
前
|
2 |
24 |
12 |
9 |
3 |
.541 |
2.0
|
後 |
2 |
24 |
17 |
6 |
1 |
.739 |
0.5
|
2012
|
前
|
4 |
32 |
13 |
17 |
3 |
.433 |
7.5
|
後 |
4 |
32 |
12 |
16 |
4 |
.429 |
7.0
|
2013
|
前
|
3 |
32 |
11 |
18 |
3 |
.379 |
7.0
|
後 |
3 |
32 |
10 |
20 |
2 |
.310 |
11.5
|
(注)2位とのゲーム差
リーグチャンピオンシップ
カップ戦
- スプリングカップ
- サマーカップ
スタッフ・選手
観客動員数など
関西独立リーグ参入初年度2009年の観客動員数は36試合15,412人(1試合平均428人)。1試合平均の入場者数はリーグ最少であった。財団法人和歌山社会経済研究所は2009年9月に、今後3年間でのレンジャーズによる経済波及効果を推計6億3300万円と算出した[12]。
2010年の観客動員数は34試合で8,444人(1試合平均248人)。昨年度より落ち込んだが、その他のチームがこれ以上に落ち込んだためリーグトップ。
これまでの1試合での最多観客動員記録は2010年9月19日に行われた明石戦で2027人。
関西独立リーグ発足以前の試合
上記の通り、関西独立リーグに加盟する前のクラブチーム時代は木村代表が監督を務めていた。社会人クラブチームのほか、独立リーグのBCリーグや四国・九州アイランドリーグのチームとも練習試合を行った。
発足直後のBCリーグ2チームとの試合には敗戦したが、2008年7月2日の徳島インディゴソックス戦には5-3で勝利し、独立リーグのチームから初めて勝ち星を挙げた[13]。
マスコット
上記の紀ノ國戦隊紀州レンジャーを公式キャラクターとしていた。
このほか、紀州犬をモチーフとした非公式マスコットが存在していた[14]。
脚注
外部リンク
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加盟球団(解散時点) | |
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中途で活動を休止した球団 | |
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脱退した球団 | |
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