築城(ちくじょう)とは、城を建築することを指す。城取り(しろとり)とも。
日本
日本の築城は、城を築く目的を明確にして城を築く土地を選定(選地)し、構(かまえ)や建物の設計と計画である「縄張」を行って土木工事の「普請」、ついで建築工事の「作事」の順で建設工事が行われた。[1][2]
選地
築城にあたっては、まず場所を定める「選地」を行う。なるべく少ない土木工事で、目的に適した城が築けることが重要であった。自然地形を利用し、守備しやすく出撃しやすい場所を選んだ。城主や城兵の居所と物資の貯蔵場所、交通路(道と河川)へのアクセスも重要であった。政庁の機能をもつ城では、市街地とのアクセスも考慮された。平地の城(平城と平山城)では、河川が天然の堀となった。山城では、山そのものの険しさや谷が利用された。
縄張
一般に、日本の城は堀と塁で区画した曲輪の組合せからなる。城の中心となる主郭(本丸)を守るように、曲輪の配置や大きさ、平面の形、高さ、堀の深さや幅などのほか、建物の位置、規模、形も設計する。この作業を縄張(なわばり)という。[2]
城跡の地図記号「⛫」はこの縄張に由来している。動物の縄張り(テリトリー)にも、この用語が転じて使われている。
普請
普請(ふしん)は、一般には土木工事のことを指す言葉であり、城の土木工事のことを特に城普請(しろぶしん)ともいう。
まず、堀や塁の計画を実際の場所に縄によって線描する。これを縄打ち(なわうち)という。現代の、日本の建築工事で行われる「遣り方」(やりかた)と目的は同じである。普請の段階では地形を整えて、各種の堀が穿たれ、土塁を盛り、ときには石垣を積む。石垣工事は、石垣職人が技術をもたない作業員に、技術的な指示を出して工事を進めた。[1]
作事
塁上に櫓を上げ、塀を掛ける。曲輪の出入り口である虎口には門を建てる。このような建築工事を作事(さくじ)という。天守や、御殿などの住宅建築も作事工事である。
縄張に基づいて、具体的な寸法を記した指図(さしず)という図面を描き、これを元に「城大工」と呼ばれる城郭建築専門の大工たちが施工を行う。平面図など施工に欠かせない指図のほか、立面図のことを姿図(すがたず)、柱や梁など骨組みの立ち上がりだけを描いたものを建地割図(たてじわりず)という。姿図と建地割図がある例は少なく、徳川氏の江戸城天守や岡山城天守などに例がある。[1]
脚注
- ^ a b c 香川元太郎著『歴群[図解]マスター 城』学習研究社 2012年
- ^ a b 三浦正幸著『城のつくり方図典』小学館 2005年
関連項目
軍事用語としての築城
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