最高裁判所判例 |
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事件名 |
不動産所有権確認、所有権取得登記抹消請求本訴、同反訴、不動産所有権確認、停止条件付所有権移転仮登記抹消登記請求本訴、同反訴、当事者参加事件 |
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事件番号 |
昭和57年(オ)第164号、第165号 |
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1989年(平成元年)6月20日 |
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判例集 |
民集43巻6号385頁 |
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裁判要旨 |
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- 国の行為であっても、私人と対等の立場で行う国の行為は、個別的・具体的ながらも公権力を行使して法規範の定立を伴わないから憲法98条1項にいう「国務に関するその他の行為」に該当しない。
- 国が行政の主体としてでなく私人と対等の立場に立って、私人との間で個々的に締結する私法上の契約は、当該契約がその成立の経緯及び内容において実質的にみて公権力の発動たる行為となんら変わりがないといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けず、私人間の利害関係の公平な調整を目的とする私法の適用を受けるにすぎない。
- 自衛隊基地の建設という目的ないし動機が直接憲法9条の趣旨に適合するか否かを判断することによつて、本件売買契約が公序良俗違反として無効となるか否かを決すべきではないのであつて、自衛隊基地の建設を目的ないし動機として締結された本件売買契約を全体的に観察して私法的な価値秩序のもとにおいてその効力を否定すべきほどの反社会性を有するか否かを判断することによつて、初めて公序良俗違反として無効となるか否かを決することができる。
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第三小法廷 |
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裁判長 |
伊藤正己 |
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陪席裁判官 |
安岡満彦 坂上寿夫 |
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意見 |
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多数意見 |
全員一致 |
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意見 |
なし |
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反対意見 |
なし |
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参照法条 |
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憲法98条1項、9条、民法90条 |
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百里基地訴訟(ひゃくりきちそしょう)は、1977年に始まった、自衛隊の合憲性を争点とした訴訟である[1]。百里裁判とも。
概要
茨城県小川町(現・小美玉市)に航空自衛隊の百里基地を設置する際、基地建設予定地を所有していた住民が、建設反対派の住民に売った土地の契約を解除して防衛庁(現・防衛省)にその土地を売った[1]。このことで土地所有権の帰属に関連し、自衛隊の合憲性が争点となった[1]。
第一審の水戸地裁では統治行為論が適用され、自衛隊は裁判所の審査対象にならないとされた。第二審の東京高裁では自衛隊への憲法判断自体を本件に関しては不必要とし、最高裁も第二審を支持する判決を出した。
裁判の流れ
第一審
1977年2月17日、水戸地裁は、憲法第9条に関して、「第9条は自衛のための戦争までを放棄したものではない」とし、「自衛隊は一見明白に"戦力"だと断定できない」としたが、「自衛隊の違憲性は裁判所の審査対象とすることはできない」と判断、統治行為論を適用し、自衛隊に関して合憲とも違憲ともしなかった。したがって、自衛隊の違憲性を求めた基地建設反対派の住民は敗訴となった。
第二審
1981年7月7日、東京高裁では、「本件は自衛隊が公序良俗違反かどうかを問題にしているに過ぎず、憲法判断の必要性自体が存在しない」とした。したがって、第二審においても基地反対派の住民は敗訴となった。
第三審
1989年6月20日、最高裁でも、第二審の判断を支持、憲法判断は不必要とし、基地反対派の住民の上告を棄却した[1]。
脚注
- ^ a b c d 戸松秀典、初宿正典『憲法判例第八版』有斐閣、15-19頁。
関連項目
外部リンク