|
この項目では、奥田英朗の小説について説明しています。選挙制度一般については「選挙」を、日本の地方選挙については「日本の選挙」をご覧ください。 |
『町長選挙』(ちょうちょうせんきょ)は、奥田英朗による日本の短編小説集、およびその表題作。
概要
「精神科医・伊良部シリーズ」の3作目。収録作品は以下の4作品。
- オーナー(『オール讀物』2005年1月号)
- アンポンマン(『オール讀物』2005年4月号)
- カリスマ稼業(『オール讀物』2005年7月号)
- 町長選挙(『オール讀物』2006年1月号)
単行本が2006年4月に文藝春秋より刊行され、2009年3月に文春文庫に収録された。
2009年10月、フジテレビ「ノイタミナ」枠で『空中ブランコ』のタイトルでシリーズがアニメ化される。本作からは「オーナー」が第10話でアニメ化される。
登場人物
- 伊良部 一郎(いらぶ いちろう)
- 伊良部総合病院の神経科医師。「カリスマ稼業」の時点で37歳。伊良部総合病院は戦前から名門として知られており、病院の裏手で幼稚園も経営している。神経科は病院の地下にある。デブで、注射が好き。『いらっしゃーい』と甲高い声で患者を招き入れる。性格は5歳児並である。両親を「おとうさん」「おかあさん」と呼び、一度拗ねて引きこもると、母親が出てくるまで直らないマザコンであるが、「母親を呼ぶ」と脅されるとすぐに部屋から出てくるなど畏怖の対象でもある。
- マユミ
- 伊良部の助手の看護師。ミニの白衣を身にまとったスタイルの良い若い女。伊良部のことなら大抵知り尽くしている。
- 「オーナー」で初めてまともなセリフが登場し、「アンポンマン」ではギターのローンがある、パンクバンドを始めたと語るなど私生活の一面が垣間見える。
- 田辺 満雄(たなべ みつお)
- 「オーナー」主人公。78歳。あだ名はナベマン。「大日本新聞」の代表取締役会長で、プロ野球球団「東京グレート・パワーズ」のオーナー。死への不安を抱いており、棺桶を連想させる暗闇と狭い場所が怖く不眠症に悩まされる。神経科の専門医として伊良部を紹介され、受診する。医師会の理事である伊良部の父親とは知り合い。
- 安保 貴明(あんぽ たかあき)
- 「アンポンマン」主人公。小太りの体型から、あだ名はアンポンマン。東大在学中に、インターネットのホームページ作成サービスの会社「ライブファスト社」を立ち上げ、瞬く間に急成長し、IT長者に成り上がった。プロ野球チームの買収騒動で一躍有名になり、著書「稼いで悪いか!」がベストセラーとなった。文字を書く習慣がないので、平仮名がどんなだったか思い出せず、症状を心配した秘書により神経科を受診する。
- 白木 カオル(しらき カオル)
- 「カリスマ稼業」主人公。女優。44歳。元・東京歌劇団員。若さと美貌をいつまで維持できるか気に病んでいる。カロリーを抑えた食事を取っているが、周りに見栄を張ってつい脂っこいものを食べてしまった時など、一刻も早く消費しなければ落ち着かない。付き人の久美はマユミとバンド仲間。
- 宮崎 良平(みやざき りょうへい)
- 「町長選挙」主人公。東京都庁職員。9カ月前に、離島研修のため伊豆半島沖合の島・千寿島に出向してきた。任期は2年。役場の職員は全員二つの派閥にきっぱり分かれており、互いを罵り合う勢力争いに辟易する。熾烈な争いを繰り広げる町長選挙が繰り広げられ、両陣営から支持者になるよう迫られる。食欲不振と胃痛に悩まされ、島に来た伊良部に相談する。
オーディオブック
2011年10月14日発売、ダイスクリエイティブ。キャストはつきねこ座のメンバー。
声は、左がつきねこ座でのキャラクター名、右の括弧内が声優名。
CDという媒体のみならず、オトバンクの『FeBe』で配信されている。「オーナー」はCDには収録されておらず、『FeBe』でのみ視聴購入可能である。
- 伊良部
- 声 - J太(CV:坂巻学)
- マユミ
- 声 - しのぶ(CV:森谷里美)
- 語り
- 声 - サトシ(CV:市来光弘)
アンポンマン
- 貴明
- 声 - うみぶた劇団員(CV:寺井智之)
- 美由紀
- 声 - さつき(CV:阿久津加菜)
カリスマ稼業
- カオル
- 声 - ジュリア(CV:山本綾)
- 奈緒
- 声 - のぞみ(CV:五十嵐裕美)
- 久美
- 声 - バーバラ(CV:桑門そら)
- こと美
- 声 - 加藤優里
町長選挙
- 良平
- 声 - ガイネ(CV:越田直樹)
- 磯田課長
- 声 - 佐々健太
- 岩田社長
- 声 - 菊本平
- 小林課長
- 声 - 山口翔平
オーナー
- 満雄
- 声 - 山本兼平
- 木下
- 声 - 金子森
関連項目