数学の複素解析の分野において、n-次元複素空間 Cn 内のある与えられたコンパクト集合に対する正則凸包(せいそくとつほう、英: holomorphically convex hull)は、次のように定義される。
G ⊂ ⊂ --> C n {\displaystyle G\subset {\mathbb {C} }^{n}} をある領域(すなわち、連結開集合)あるいはより一般に、 n {\displaystyle n} -次元複素多様体とする。 O ( G ) {\displaystyle {\mathcal {O}}(G)} を、 G {\displaystyle G} 上の正則函数の集合とする。あるコンパクト集合 K ⊂ ⊂ --> G {\displaystyle K\subset G} の正則凸包は、次で定義される。
この定義において f を多項式とすることで、より特殊な概念である多項式凸包(polynomial convex hull)が得られる。
G {\displaystyle G} 内でコンパクトなすべての K ⊂ ⊂ --> G {\displaystyle K\subset G} に対して K ^ ^ --> G {\displaystyle {\hat {K}}_{G}} も G {\displaystyle G} 内でコンパクトであるなら、そのような領域 G {\displaystyle G} は正則凸(holomorphically convex)であると言われる。これはしばしば holomorph-convex と略記される。
n = 1 {\displaystyle n=1} のとき、 K ^ ^ --> G {\displaystyle {\hat {K}}_{G}} は G ∖ ∖ --> K ⊂ ⊂ --> G {\displaystyle G\setminus K\subset G} の相対コンパクトな成分と K {\displaystyle K} との合併であるため、任意の領域 G {\displaystyle G} は正則凸である。またこのとき、領域が正則凸であることは、それが正則領域であることと同値であることに注意されたい(カルタン=トゥレンの定理)。これらの概念は、多変数複素函数の n > 1 の場合にはさらに重要となる。
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