杉崎 光世(すぎさき みつよ、Dr. Sugisaki Kawase Mitsuyo, 1929年(昭和4年)4月19日 - 2018年(平成30年)6月12日[1])は、日本の法学者(博士)。フランス語学者。教育者。九州国際大学名誉教授。専門分野は家族法。板垣退助の曾孫[2][3]。IQ140[4]。旧姓は川瀬で、婚姻により杉崎姓を名乗るが、のち川瀬に復姓。川瀬光世。
来歴
昭和4年(1929年)4月19日、日本福音ルーテル八幡教会牧師・川瀬徳太郎の二女として、福岡県八幡市大字槻田1194番地に生まれる。母は乾正士の長女 美世子(みよし)[2][3]。教育家・乾一郎は叔父にあたる。
西南女学院を卒業後、八幡大学法経学部に進み、さらに九州大学大学院で博士課程の単位を取得した。杉崎哲生との婚姻により杉崎姓を名乗る。
昭和49年(1974年)1月、福岡家庭裁判所家事調停委員小倉支部に奉職し、1976年(昭和51年)1月、福岡家庭裁判所参与員に任ぜらる。昭和52年(1977年)8月、「北九州いのちの電話」の運営委員となり、昭和56年(1981年)4月、同上の社会福祉法人化に伴い評議員となる。昭和55年(1980年)8月より10年に渡って北九州市立公民館運営審議会の委員を務める。
また、北九州市婦人問題懇談会委員、北九州市地方港湾審議会委員、北九州コミュニティ研究会委員、北九州市青少年問題協議会委員、北九州市公害健康被害認定審査会委員[5]、北九州市社会福祉審議会委員などを務め、昭和59年(1984年)9月、福岡家庭裁判所より表彰を受ける。
その後、北九州市婦人問題推進会議委員、小倉調停協会理事、北九州市生涯学習の推進会議委員、北九州市福祉サービス協会理事を務め、平成元年(1989年)10月、北九州港開港100年にあたり、北九州市長より功労者として表彰を受け、さらに平成4年(1992年)11月、福岡高等裁判所より表彰、また平成6年(1994年)2月の北九州市制31周年記念日には北九州市より永年勤続表彰を受けた。
その他、北九州市国民保険運営協議会委員、小倉調停協会理事、北九州市障害者施策推進協議会委員、北九州市障害療育事業団理事、北九州市精神保健福祉審議会委員を歴任し、平成10年(1998年)4月には、小倉調停協会副会長、小倉女性調停委員懇話会会長、福岡県女性調停委員懇話会副会長、福岡調停協会連合会会報編集委員を務めた。
遺著は『板垣薨去百年とルーテル八幡教会百年』で、板垣退助薨去百回忌の記念書籍編纂に合わせて執筆したが、同書の出版を待たず平成30年(2018年)6月12日逝去。享年90歳。翌平成31年(2019年)2月11日に出版された『板垣精神』に収録された[1][6]。
2009年頃、脳梗塞により意識不明の重体となり、言葉を話すことも困難となるが、その後半年以上かけてリハビリを繰り返した結果、突発的に英語を思い出し、その後、日本語、フランス語も通常会話が可能なまでに回復した。歩行は困難であったが、亡くなる直前まで意識は明瞭であり、平成30年(2018年)3月には、母校の九州国際大学へ寄附の献金を行っている[7]。
学歴
職歴
学術論文
- 『英国私法における妻の地位』九州大学大学院修士論文、1955年(昭和30年)
- 『英国における既婚婦人の財産上の地位-その歴史的過程-』九大法学第1号、1957年(昭和32年)
- 『イギリスの妻の権利義務』西南女学院短期大学研究紀要 第6号、1960年(昭和35年)
- 『詐害行為と詐害の意思』西南女学院短期大学研究紀要 第7号、1961年(昭和36年)
- 『イギリスの離婚原因』西南女学院短期大学研究紀要 第9号、1963年(昭和38年)
- 『家庭生活の指導原理』九州家政学会誌(要旨集)第18巻、1971年(昭和46年)
- 『重婚的内縁事案に対する女子短大生の反応調査』九州家政学会誌(要旨集)第18巻、1971年(昭和46年)
- 『へそくり金の法的性質』近畿大学女子短期大学研究紀要 第4号、1973年(昭和48年)
- 『老人の私的扶養に関する一考察』九州女子大学紀要 第13巻第1号、1977年(昭和52年)
- 『夫婦財産制の類型』八幡大学社会文化研究所紀要 第5号、1979年(昭和54年)
- 『家庭生活の理念』八幡大学社会文化研究所紀要 第6号、1980年(昭和55年)
- 『老親扶養に関する家事審判例』八幡大学論集 第36巻第2、3合併号、1985年(昭和60年)
- 『遺言について(1)』八幡大学論集 第37巻第3号、1986年(昭和61年)
- 『遺言について(2)』八幡大学論集 第37巻第4号、1987年(昭和62年)
- 『遺言の取消』九州国際大学法学論集 第4巻第3号、1998年(平成10年)
- 『老親の扶養をめぐる紛争』九州国際大学法学論集 第6巻第3号、2000年(平成12年)
その他研究著書
- 『家庭教育に関する調査 第二次報告』北九州市教育委員会、1973年(昭和48年)
- 『老人をめぐる法律問題-老人扶養に関する審判例-』北九州老年問題研究会誌第1号、1985年(昭和60年)
- 『婚姻法改正をめぐって』杉崎光世著(所収『ジェンダーを学ぶ』堤かなめ、窪田由紀編、海鳥社、1998年(平成10年)5月)
学会報告
- 『夫婦財産制に関する一考察』第15回日本家政学会九州支部大会、1968年(昭和43年)
- 『臍繰金の法的性質』第16回日本家政学会九州支部大会、1969年(昭和44年)
- 『家庭生活の指導原理』第18回日本家政学会九州支部大会、1971年(昭和46年)
- 『わが国における老人の扶養と福祉』第48回九州法学会、1973年(昭和48年)
翻訳
- 『イギリスの婚姻方式(第一部)』八幡大学論集 第39巻第3号、1988年(昭和63年)
- 『イギリスの婚姻方式(第二部)』八幡大学論集 第39巻第4号、1989年(平成元年)
- 『無効な婚姻(イギリス法)(第一部)序論』九州国際大学法学論集 第2巻第1号、1990年(平成2年)
- 『無効な婚姻(イギリス法)(第二部)婚姻の無効原因』九州国際大学法学論集 第2巻第2号、1990年(平成2年)
著書・共著
補註
参考文献
- 『杉崎光世先生略歴および主要著作目録 (後藤巖教授・大路博美教授・杉崎光世教授退職記念号)』九州国際大学法学論集 6(3) 巻末1-7 (2000年3月)
- 『折尾女子学園五十年史』折尾女子学園記念史編纂委員会編、1985年(昭和60年)11月1日
- 『卵塔物語』乾常美編(所収『南国史談』第22号)