月毛の馬
極めて白い月毛の仔馬。ただし肌は浅黒く、目は茶色である
月毛 (つきげ 、英 : palomino 、羅 : gilvus/gilvus spadix )とは、原毛色が栗毛 または栃栗毛で、変異型MATP遺伝子(クリーム様希釈遺伝子)をヘテロ で持つ馬 が発現する毛色 のこと、またはこの毛色を持つ馬そのものを指す。クリーム色から淡い黄白色の被毛を持つ。
特徴
栗毛より明るく、佐目毛 より濃い毛色である。被毛はクリーム色から淡い黄白色で、馬によっては佐目毛に近くなる場合もある。体の部位による色味の差は目立たないが、長毛は被毛と同じか、より明るい傾向がある。目は一般に茶色で、肌の色は浅黒い。佐目毛は青い目とピンクの肌を持つため、ここで区別することができる。
体毛には少量のフェオメラニン が含まれ、エウメラニン はごく少ない。
アラブ 系の品種ではまず見られず、サラブレッド でも特定家系に限られるが、クォーターホース に比較的見られる。
遺伝型
この毛色の原因遺伝子は、変異型MATP遺伝子(クリーム様希釈遺伝子)と、変異型MC1R遺伝子(栗毛遺伝子)である。前者をヘテロ で、後者をホモ で持っている。芦毛 遺伝子や白毛遺伝子など、より優先される毛色関連遺伝子は持たない。
栗毛遺伝子をホモで持つと、濃いフェオメラニンによる赤っぽい毛色になるが、これに加えてクリーム様希釈遺伝子を持つため、メラニン の濃度が下げられ、薄いフェオメラニンによるクリーム色の毛色になっている。
クリーム様希釈遺伝子については佐目毛 参照。佐目毛(クリーム様希釈遺伝子がホモ )と異なり、月毛はクリーム様希釈遺伝子をヘテロ でしか持たないため、佐目毛ほど全身白くはならない。
著名な月毛の名馬
放生月毛 - 越後の戦国武将上杉謙信 が騎乗していた愛馬。月毛の名の通りクリーム色の毛色をしていた。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
月毛 に関連するカテゴリがあります。
河原毛 - 月毛同様、クリーム様希釈遺伝子をヘテロ で持つ馬の毛色。違いは、原毛色が鹿毛 であること。
佐目毛 - クリーム様希釈遺伝子をホモ で持つ馬の毛色。
クリーム様希釈遺伝子:ドイツ語版 、英語版
百済王 - 日向国油津に漂着した百済王の愛馬が月毛だったが、ある日、王もろとも井戸に飛び込んで死亡した。
参考文献
Mariat, D., Taourit, S., Guérin, G. (2003). “A mutation in the MATP gene causes the cream coat colour in the horse”. Genet Sel Evol 35 (1): 119-33. doi :10.1051/gse:2002039 .
社団法人 日本馬事協会. 「馬の毛色及び特徴の記載要領(第6版)」 昭和51年2月1日 設定 平成22年12月1日 改訂