普門寺(ふもんじ)は、埼玉県加須市にある真言宗智山派の寺院。
歴史
創建年代は不明である。ただ1515年(永正12年)に栄鑁が中興していることから、それ以前から存在していたものと推測される[1]。
かつては末寺45か寺を擁する大寺院であったが、1853年(嘉永6年)と1877年(明治10年)の火災により、仁王門以外の堂宇を失っている[1][2]。
境内には、「富永金太郎の墓」がある。金太郎は1300石の旗本の出身で、当地は旗本富永家の所領であった。金太郎が長じたときは既に明治になっており、秩禄処分で家禄を失ったため、金太郎は群馬県警察部の警察官となった。1883年(明治16年)6月9日、群馬県碓氷郡入山村(現・群馬県安中市松井田町入山)において、金太郎は賊の反撃に遭い殉職した。金太郎殉職の報を受け、旧所領の領民だった当地の住民は金太郎の遺髪を貰い受け、墓に葬ることになった。金太郎の実家の旗本富永家は善政を敷いていたことから、地域住民は維新後も富永家に対する恩義を感じていた。世が世なら「我らの殿様」だった金太郎の壮絶な最期を受け、富永家の恩義に報いようとしたのである[2]。
文化財
- 普門寺の青石塔婆(加須市指定有形文化財 昭和31年4月16日指定)[3]
交通アクセス
脚注
- ^ a b 埼玉県佛教会 監修『埼玉のお寺 埼玉県寺院全集』千秋社、2001年、396p
- ^ a b 渡辺良夫 著『古利根の寺々(さきたま双書)』さきたま出版会、1995年、62-63p
- ^ 加須地域指定文化財一覧加須市
参考文献
- 渡辺良夫 著『古利根の寺々(さきたま双書)』さきたま出版会、1995年
- 埼玉県佛教会 監修『埼玉のお寺 埼玉県寺院全集』千秋社、2001年