新宮 晋(しんぐう すすむ、1937年7月13日 - )は大阪府豊中市出身の彫刻家。画家の小磯良平は、遠縁の親戚に当たる[1]。
1960年代から風や水で動く彫刻を多々創作していることから、「造形作家」「風の彫刻家」[1]と紹介されることも多いが、絵本や舞台作品なども手掛けている。
経歴
作風
作風のルーツは、書物や焼き物が数多く飾られていた豊中市の生家にある。このような書物や焼き物を集めていたのが、総合商社に勤務していた実父で、海外へ頻繁に駐在していた[1]。
実父は古裂(骨董としての高い価値が認められる古い布)の収集家として名高く、石井柏亭や上村松園といった日本画の大家が、創作活動の参考にすべく古裂を生家へ借りに来るほどであった。4人兄弟の末っ子である晋も絵を描くことが幼少期から好きで、絵の習作を実父がこのような大家に見せたところ、実父から古裂を借りようと目論む大家たちから「将来は大画家になれる」と褒められてばかりいたという[1]。
遠縁の親戚に当たる洋画家の小磯良平からは、小学4年時に「(前述した大家から褒められるほど)特別じゃない」と言われたものの、本人はその後も油絵の制作に熱中。東京美術学校への在学中には、小磯教室で油絵の描き方を学んでいた[1]。
画家から彫刻作家への転機になったのは、東京美術学校を卒業してから6年間滞在していたイタリアで、画家のフランコ・ジェンティリーニに師事したことである。それまでは具象画をもっぱら描いていたが、ジェンティリーニへ師事するにつれて、抽象画の制作に着手。やがて、絵画を離れてレリーフ作品や立体作品を手掛けるようになった[1]。
日本へ帰国してからの作風は、「動く立体作品」で一貫している。高さ数メートルのスチール製の彫刻も多く、屋外に展示されているものも多い。風や水で動いたり、光を巧みに取り入れることで、自然との一体感を生む作品に特徴がある。もっとも、ゴムで動く超軽量飛行機の映像を見た小磯から1984年に「あの(飛行機の)ような彫刻を考えてみたらどうか?」と勧められたことを境に、屋内でもかすかな風で複雑に動く軽量彫刻の創作も始めている[1]。
「空気の専門家」との異名がある一方で、舞台作品の演出家や絵本作家としても多彩な活動を展開。近年では、「キッピスと仲間たち」や「ウィンドキャラバン」など、地球の素晴らしさや大切さを表現する企画にも熱心に取り組んでいる。
建築家のレンゾ・ピアノとは、関西国際空港旅客ターミナルビルでの共同制作をきっかけに意気投合し、2023年までに計10件のプロジェクトを実現させた[4]。
おもな作品
彫刻
著書
受賞歴
- 第4回吉田五十八賞(建築関連美術の部)(1979年)
- 第8回現代日本彫刻展で国立国際美術館賞(1979年)
- 第8回長野市野外彫刻賞(1980年)
- 第18回日本芸術大賞(1986年)
- 第6回ヘンリー・ムーア大賞展特別優秀賞(1989年)
- 兵庫県文化賞(1994年)
- 大阪芸術賞(1995年)
- 第43回毎日芸術賞特別賞(2002年)
- 紫綬褒章(2002年)[8]
- 第20回現代日本彫刻展大賞(2003年)
- 第4回円空大賞(2007年)
- 旭日小綬章(2010年)[9]
- 紺綬褒章飾版、木杯一組[10]。
ドキュメンタリー
注釈
備考
- ^ 神戸駅の駅前広場の再整備に伴い、2024年2月に撤去され分割して保管されることになった[5]。
出典
外部リンク