「悲しきASIAN BOY」(かなしきエイジアンボーイ)は1994年2月21日に発売されたTHE YELLOW MONKEY3枚目のシングル。発売元は日本コロムビア・トライアドレーベル。
概要
- 3rdアルバム『jaguar hard pain』の先行シングルとしてリリース。自身初のオリコンチャート入りを果たした。
- アルバムの主人公であるジャガーになりきるため、このシングルのジャケットで吉井は髪を坊主にしている。また、ミュージックビデオでは鼻血を出している。
- 前作『アバンギャルドで行こうよ』同様、化粧品のCMのタイアップを狙い、歌詞に「桜色の“口唇”に」というフレーズを盛り込んだが、結果的にノンタイアップとなった[1]。
- ミュージックビデオの監督は鈴木勝夫、プロデューサーは梶田裕貴と森田空海[2]。
批評家の反応
水村達也(ライター)は、本曲を以下のように評している。
今はもう誰もそんな議論などしなくなったが、かつて「日本人(語)とロック」の関係について、ロックは外来文化だから日本語を乗せたり、大体日本人がやること自体がおかしい、日本語で独自のものを作るべきだ、いや、どこまで本場モノに近づけるかだの、かくあるべきだの、これではイカンだの、やる側も聴く側も真剣だった時代があり、ロックに限らず、物心ついたときには当然のようにコーラ、マクドナルド、セブン-イレブン、デニーズ、スピルバーグ映画、タワーレコードもあった世代に、それらは「外来文化の侵略」「武力を行使しない植民地化」という側面もあるといってもピンとこないのは当然であるが、それらが存在しない時代にアイデンティティを確立した世代では捉え方が違うのも当然であり、極端な例では、川端康成や三島由紀夫は、戦後「英語圏から来た文化」「キリスト教的価値観」に日本のあらゆる面が犯され、日本人としてのアイデンティティやプライドが喪失してゆくのに耐えかねて自殺したほどであり、「『イエローモンキー』とは古いスラングだ。第二次大戦頃から終戦後もしばらくの間、欧米人が日本人を侮辱する言葉として使っていた、はっきりいえば差別用語である」「吉井和哉は、もちろん、それを承知の上で確信犯的にそういう言葉をバンド名にしたのである」として、「“異国で戦死した若者が現代にタイムスリップ……”というストーリーのコンセプト・アルバム『jaguar hard pain』に収録されているというのがまたニクい」が、「悲しきASIAN BOY」は、ある強烈なものに犯され、しかしそれが忘れられないという、悲しい性(さが)あるいは業(カルマ)を歌ったものであり、 明らかに「異文化との衝突」「自分たちはどうしようもなくロックという異文化に囚われた。と同時に日本的な情緒に引かれもするし、誇りもある。それに、日本人であることから逃れることもできない。そうした二律背反的な事実」を歌っており、ロックとの出会いを「それまで知らなかった強烈な異文化との衝突」と捉えなかった者には、こんな切ない歌は歌えない。
— 『音楽誌が書かないJポップ批評-はやりの音楽に対するアナタの“眼差し”が、180度変わる』 (1998年12月) 宝島社 208-209頁
収録曲
- 悲しきASIAN BOY
- (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
- 吉井によると、この曲は水前寺清子「ありがとうの歌」や軍歌などの影響を受けている。ライブでは欠かさず披露されていた曲であり、吉井の「暁に果てるまで、悲しきASIAN BOY」の叫び声から始まるのが恒例であった。また、吉井が日本の国旗への敬礼を促し、観客がそれに呼応して敬礼をする場合があり、この際の敬礼を吉井がそうするようにヒジを伸ばして行う者たちもいる。ライブにより曲終わりに「We are No.1 Japanese rock'n roll band THE YELLOW MONKEY」「We are No.1 rock'n roll Asian THE YELLOW MONKEY」等の叫びが加えられる。三島事件における三島由紀夫の切腹を演じることもライブパフォーマンスとしてよく知られる。
- 2013年に行われたファン投票で16位を獲得し、『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』に収録された。
- ABCラジオ『ABCミュージックパラダイス』1994年3月度ミューパライチ押しナンバー
- 赤裸々GO!GO!GO!
- (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
- アップテンポなナンバー。ライブではサビの「GO!GO!」に合わせて観客が腕を振り上げる。
収録作品
#1. 悲しきASIAN BOY
#2. 赤裸々GO!GO!GO!
カバー
#1. 悲しきASIAN BOY
- タオルズ(2006年9月20日、アルバム『Boys and Girls』収録)
脚注
外部リンク