悪魔の代弁者(あくまのだいべんしゃ、英語: devil's advocate、ラテン語: advocatus diaboli)[1]とは、ディベートなどで多数派に対してあえて批判や反論をする人、またその役割。
概要
ディベートのテクニックのひとつである。
同調を求める圧力などで批判・反論しにくい空気があると、議論はうまく機能しなくなり、健全な思考ができなくなることが往々にしてある。それを防ぐ方法として、自由に批判・反論できる人物を設定することがある。
三省堂『新グローバル英和辞典』電子版ではdevil's advocateの意味が「列聖調査審問検事」「(議論のために)わざと本心と反対の意見を述べる人」となっている。
語源
語源は、かつてカトリック教会において設けられていた、列聖や列福の審議の際にあえて候補者の至らぬ点や聖人・福者たる証拠としての奇跡の疑わしさなどを指摘する職の名称。人間の悪徳を神に告げる天使としてのサタンの側面にちなむ。
歴史
1587年に教皇シクストゥス5世によって設立された。礼部聖省(英語版)の重役の1人に与えられた役職(Promotor Fidei)の通称である[2]。
1983年に教皇ヨハネ・パウロ2世によって廃止された。
脚注
- ^ 児玉 聡 「悪魔の代弁者 - 哲学・倫理学用語集」、SATOSHI KODAMA'S OFFICIAL WEBSITE 2010年12月10日閲覧。
- ^ Burtsell, Richard (1907). "Advocatus Diaboli". The Catholic Encyclopedia. Vol. 1. New York: Robert Appleton Company. OCLC 875120339. 2021年9月30日閲覧。
関連項目