平成23年台風第2号

台風第2号(Songda、ソングダー)
カテゴリー5の スーパー・タイフーンSSHWS
最盛期の台風第2号(5月27日)
最盛期の台風第2号(5月27日)
発生期間 2011年5月22日03:00
- 5月29日15:00(JST
寿命 7日12時間
最低気圧 920hPa
最大風速
(日気象庁解析)
55m/s (105kt)
最大風速
米海軍解析)
140kts
被害総額 70億6000万円
死傷者数 死者17人
被害地域 ミクロネシアフィリピン日本
プロジェクト : 気象と気候災害
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平成23年台風第2号(へいせい23ねんたいふうだい2ごう、アジア名:ソングダー / Songda[注 1])は、2011年5月22日に発生した猛烈な台風である。後に局地激甚災害に指定された。

概要

進路図

5月20日にカロリン諸島近海で発生した熱帯低気圧はゆっくりと西進[1]。22日にフィリピンミンダナオ島の東の海上1,160kmで台風となった[1]。23日にはフィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)の監視領域(PAR)に入ったためフィリピン名チェデン(Chedeng)と命名されている[1]。26日から27日にかけて中心気圧920ヘクトパスカルまで低下[2]、カテゴリー5(猛烈な強さ)の勢力にまで発達した。針路を北寄りに変えて非常に強い勢力から強い勢力を保ったまま沖縄諸島に近づいて速度を早め、危険半円に入った沖縄では猛烈な風となった。強さのわりに強風半径の小さい台風だったため、台風が近づくと急激に風が強くなったのが特徴だった[3][4]

台風は四国沖で温帯低気圧に変わったが、活発になった梅雨前線の影響で[5][6]国内の広い範囲で5月としては平成23年台風第1号につづいて記録的な豪雨をもたらした。5月の日本本土への台風接近は珍しく[7]、温帯低気圧へ変わった後も、福井県で大雨が降る等大きな影響があった。

進路の経過

被害

フィリピンでは直撃こそ避けられたが、全土で洪水と地滑りが発生したため、約31万3,000人が自宅から避難した[9]ベンゲット州の金鉱山では大量の水が流れ込んで1人が死亡、マニラ南東のビコル地方でも2人が溺死した[9]

沖縄県では67人がけがをし、電気や通信設備などのライフラインがストップ[8]。浸水や道路の冠水も多数。農業は平成15年台風第14号の65億9800万円を上回る70億6000万円あまりの大きな被害が出た[10]。その他府県でも停電や道路の冠水・住宅などの浸水・川の氾濫などの被害が相次ぎ、愛媛県では冠水した道路でおぼれて1人が死亡し、長崎県香川県でも行方不明者が出た[8][6][11]。震災の被災地では、台風から変わった低気圧によって、本震以降では9月の台風15号が接近するまで最大の浸水・冠水となった。台風の号数としては過去最も若い番号で局地激甚災害に指定された。

記録

暴風域に入った沖縄県では、5月28日の最大瞬間風速が那覇市で55.3m/sを観測するなど5つの地点で50m/sを超えた。最大風速は名護市で観測史上最大となる36.2m/sを記録した[3]

5月としては記録的な大雨となった。5月28日に気象庁によるレーダー解析によるもので鹿児島県屋久島北部付近で1時間に120ミリの猛烈な雨を観測して記録的短時間大雨情報が発表され[8]、屋久島の24時間降水量は5月29日に観測史上最大となる457.5ミリに達した[11]福井県ではおおい町で370.0ミリを記録するなど、5月29日から30日にかけて5つの地点で24時間降水量が観測史上最大となった[12]

その他

5月23日に九州南部が、同26日に中国、四国、近畿が、同27日に関東甲信、東海地方が過去にほとんど例のない早さで梅雨入りし、観測史上3番目から2番目に早いところが多かった[13][14]

5月28日、沖縄県の第十一管区海上保安本部が海難事故に備えて非常配備態勢に。また、同県内の主要港で船舶に対して避難勧告がされた[15]

東京電力福島第一原子力発電所事故で警戒区域にある福島県内の大熊町楢葉町富岡町の3町で行われる予定だった一時帰宅が中止された[16][17]

注釈

出典

  1. ^ a b c Sitrep No.15 re:Preparedness Initiatives and Effects of Typhoon "CHEDENG" (SONGDA) - ウェイバックマシン(2011年10月4日アーカイブ分)
  2. ^ 台風201102号 (SONGDA) - 詳細経路情報”. デジタル台風. 2020年4月30日閲覧。
  3. ^ a b c 平成23年 台風第2号について” (PDF). 沖縄気象台 (2011年5月29日). 2011年6月22日閲覧。
  4. ^ 北本朝展 (2011年5月29日). “台風201102号 (SONGDA)”. デジタル台風. 国立情報学研究所. 2011年6月25日閲覧。
  5. ^ “天気大荒れ 台風2号と梅雨前線活発化 被災地に警戒呼びかけ”. MSN産経ニュース. (2011年5月28日). オリジナルの2011年5月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110531142503/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110528/dst11052814360022-n1.htm 2011年6月22日閲覧。 
  6. ^ a b “台風2号:温帯低気圧に 愛媛1人死亡、長崎1人不明”. 毎日新聞. (2011年5月30日). http://mainichi.jp/kansai/archive/news/2011/05/30/20110530ddn041040005000c.html 2011年6月22日閲覧。 [リンク切れ]
  7. ^ 北本朝展 (2011年5月27日). “台風201102号 (SONGDA)”. デジタル台風. 国立情報学研究所. 2011年6月25日閲覧。
  8. ^ a b c d “台風2号は温帯低気圧に 西日本・東日本の各地で暴風雨(05/28~)【第6報】”. レスキューナウ. (2011年5月31日). http://www.rescuenow.net/2011/05/205283.html 2011年6月25日閲覧。 
  9. ^ a b “Chedeng death toll rises to 3”. ABS-CBN NEWS. (2011年5月29日). https://news.abs-cbn.com/nation/regions/05/28/11/chedeng-death-toll-rises-3 2020年4月30日閲覧。 
  10. ^ “初の70億円超 台風2号被害”. 沖縄タイムス. (2011年6月12日). http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-06-12_19086/ 2011年6月22日閲覧。 
  11. ^ a b “台風2号、長崎で1人不明・沖縄で61人けが”. 読売新聞. (2011年5月30日). http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110530-OYS1T00156.htm 2011年6月22日閲覧。 
  12. ^ 梅雨前線及び台風第2号による大雨に関する福井県気象速報” (PDF). 福井地方気象台 (2011年5月31日). 2011年6月22日閲覧。
  13. ^ “中四国と近畿が梅雨入り 平年より10~12日早く”. MSN産経ニュース. (2011年5月26日). https://web.archive.org/web/20110601080208/http://sankei.jp.msn.com/life/news/110526/trd11052619590018-n1.htm 2011年6月22日閲覧。 
  14. ^ “関東甲信、東海地方が梅雨入り 気象庁”. MSN産経ニュース. (2011年5月27日). https://web.archive.org/web/20110528064254/http://sankei.jp.msn.com/life/news/110527/trd11052711330013-n1.htm 2011年6月22日閲覧。 
  15. ^ “台風2号:11管が非常配備体制発令”. 沖縄タイムス. (2011年5月28日). http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-05-28_18442/ 2011年6月22日閲覧。 
  16. ^ “台風のため、予定していた一時帰宅を中止”. 読売新聞. (2011年5月27日). https://web.archive.org/web/20110530220137/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110527-OYT1T01029.htm 2011年6月22日閲覧。 
  17. ^ “一時帰宅、台風で延期 福島・楢葉など3町”. MSN産経ニュース. (2011年5月27日). https://web.archive.org/web/20110714073631/http://sankei.jp.msn.com/life/news/110527/trd11052723000033-n1.htm 2011年6月22日閲覧。 

外部リンク