小売(こうり、英: retail、リテール)とは、生産者や卸売業者からロット単位で仕入れた商品を、最終消費者に販売すること。小売を行う業者を小売業者(こうりぎょうしゃ、英: retailer リテーラー)と呼ぶ。また、Eコマース上や消費者行動においては「business-to-consumer」と呼ばれる概念となり、BtoC や B2Cと表記される。卸売業と違い単品で販売を行う場所。
概要
小売業態では、顧客が要求する物品を扱うことはもちろんのこと、買物をするのに来店した顧客への利便性の提供や商品の性質や品質を認知するための情報提供(情報発信拠点)も行い、それらサービスの対価も物品の販売価格に上乗せされる形となる。このため、廉価に販売する業態ではセルフサービスの導入で価格を下げる一方、それほど値引きはしないが品質維持に注力したりアフターサービスなど付加価値サービスを提供するなどの差別化戦略を展開している業者もあり、そのいずれもが商品を消費者に提供する流通の最後の段階を担っている。
小売という表現は、各々の消費者向けに最小単位(単体の製品)に「小分け」して販売することを意味している。英語で小売りを示すretail(リテール)も、re【再び】+tail【切る】(端から切り分けて販売する・切り売り)から生まれた言葉であり、販売者の規模が小さいという意味は無い。
一方で、生産者側や問屋・卸売り側ではロットやパレットないしカートン(輸送用の箱のような容器を基準とする単位)などの、ある程度のまとまった流通単位でやり取りされる。
なお、産業革命以降の製造業は大量生産で廉価に安定した品質の商品を広く大衆にも供給しているが、直接的に商品が消費者に販売されるのは小売業者の店頭などである。通信販売では商店と顧客を仲立ちする宅配便や郵便を介在させるが、いずれにせよ直接消費者と接するのは小売業者である。このため、消費者の動向や意向を把握したい製造業では、この小売業者に接触してこれらの情報を得ようとする活動(マーケティングの一種)も見られる。学術団体については、1951年4月21日、日本商業学会が慶應義塾大学教授向井鹿松を初代会長として設立された[1]。
小売業の分類方法
- 業種: 扱う商品や仕入れ先の卸売業者による分類である。
- 業態: 顧客の年齢・性別・職業やその来店頻度による分類である。
なお、商業統計や、証券コード協議会における業種分類では、一般的な物品の小売(物販)業のほか、レストランや居酒屋などの飲食店、ファストフードチェーンといった外食産業も、小売業として分類されている。特にチェーン展開する外食産業の場合、立地戦略など小売業と共通する部分も多いので、ここでは基本的に物販と外食産業の両方を含む説明とする。
小売業の立地
出店形態
出店地区
小売業の業態・販売品目
※外食産業を除く
- 有店舗販売
- コンビニエンスストア
- 各種総合小売
- 売店 : キヨスクなど
- 各種専門店
- よろずや (ゼネラル・ストア)
- 衣服・靴・身の回り品小売 衣料品店(実用衣料、紳士服、婦人服、カジュアル)
- 呉服・服地 : 着物店、生地屋など
- 寝具販売 : ふとん屋
- 男子服小売
- 紳士服小売 : テーラーショップ、紳士服専門店(注文服は別)
- 作業服店など(白衣は別)
- 学生服専門店
- 婦人・子供服小売:ブティック、洋裁店等
- 靴・履物小売:くつ屋、下駄屋など
- その他織物・衣服・身の回り小売 :
- かばん屋など
- 下着屋・ランジェリーショップなど
- 洋品雑貨・小間物(ネクタイ、帽子、扇子など)等
- 和・洋傘屋、かつら店、ステッキ類等、ファッション用水着ほか
- 飲食料品関係小売
- 飲食料品:牛乳屋、ミネラルウォーター販売、製茶店(茶葉店)・コーヒー(豆)専門店など
- 酒類小売店 : 酒屋など
- 各種食料品小売:食料雑貨、食材店(和・洋・エスニック)など
- 氷屋、麺専門、乳製品、冷凍食品専門、レトルト食品,チルド食品、健康食材店、調味料店等
- 食肉小売 : 精肉店、卵屋など
- 鮮魚小売 : 鮮魚店など
- 乾物小売 : 乾物店など
- 野菜・果実小売 : 八百屋、フルーツ屋など
- 米穀類小売 : 米屋など
- 豆腐かまぼこ等加工食品小売業:豆腐屋、練り物屋など
- 料理品小売 : 総菜屋、持ち帰り弁当、ピザ屋など
- 菓子・パン小売 : 菓子店、パン屋・ベーカリーなど
- 自動車・自転車関係小売
- 機械移動器具小売:携帯ショップなど
- 家具・家電・家庭用品関係小売
- 家庭電器機械器具小売 :電器店 - 家電量販店(白物家電製品、AV機器、電気器具、パソコン等)
- 中古電気製品小売:中古パソコンショップ、中古家電販売
- ミシン、編み機専門店
- ガス器具店、水道器具店、金庫屋、太陽電池パネル店など
- 家具・インテリア小売 : 家具店・家具等ホームセンター、絨毯屋、建具屋、畳屋、仏壇屋など
- 金物・荒物小売 : 金物屋、荒物屋
- 陶磁器・ガラス器小売 : 食器店など
- 家庭用品小売 : 調理器具店など
- その他の什器小売
- 日用品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売
- 無店舗販売
ほか
小売業の経営・運営形態
脚注
- ^ “学会HP”. 日本商業学会. 2022年1月23日閲覧。 個人会員1,072名,賛助会員11社・団体,購読会員32件 (2019年7月現在)
関連項目
外部リンク