安里 琉太(あさと りゅうた、1994年3月23日 - )は、俳人。本名は安里恒佑。沖縄県与那原町出身。『群青』『滸』同人。俳人協会会員、沖縄県俳句協会会員[1][2]。
来歴
沖縄県立首里高等学校在学中の2010年に俳句部に入部して創作を始め、俳句甲子園全国大会にも出場した[2]。首里高等学校は2010年の第13回俳句甲子園では準優勝を果たした[3]。沖縄県立首里高等学校から琉球大学法文学部を経て[4]、法政大学大学院国際文化研究科を修了した[5]。海城中学高等学校で教鞭を取り、俳句部の指導にあたっていた[6][7]。2021年より沖縄に帰郷し、興南高等学校教諭[8]。
2012年の琉球大学俳句研究会「a la carte(アラカルト)」発足と同時に幹事となる。同年、中原道夫主宰の『銀化』に入会し、2015年に同人となる。『銀化』では第16回銀化新人賞を受賞した。2013年、『群青』創刊同人となり、2016年副編集長に就任した[1][4][5]。
2013年におきなわ文学賞の俳句部門に応募し、「県知事賞」を受賞した[9]。2019年の文章では、応募作が「沖縄」を題材とした連作であったことを明かした上で、「賞を狙って『沖縄』に寄せているような詠みぶりだ」「嬉(うれ)しい半面、自分の作品に詠まれた『沖縄』にある種の空虚さを感じてもいた」と述べている[5]。その後も「沖縄」を巡る表現や季語について度々論じている[10][11]。2014年、連作「海光」で俳句四季大賞のひとつ、第一回俳句四季新人奨励賞を受賞した。
2019年、酢橘とおる、髙良真実、西原裕美、屋良健一郎らとともに、沖縄に問いを持つ表現者による詩歌句の同人誌『滸』を創刊[2]。2020年、2月に第一句集『式日』を刊行、同著にて第44回俳人協会新人賞を当時史上最年少で受賞[12](その後、岩田奎の『膚』が第47回俳人協会新人賞にて史上最年少となる)。同年4月より、角川庭園にて俳句講座を担当した[13]。同年7月より半年間、沖縄タイムス文化面でコラムを執筆する[14]。
2021年7月より半年間、琉球新報文化面でコラムを執筆[要出典]。2022年、第55・56回沖縄タイムス芸術選賞奨励賞を受賞[15]。同年、『銀化』退会。
作品
- たそがれの雲間の凧をふと見たり
- ひいふつとゆふまぐれくる氷かな
- 摘草やいづれも濡れて陸の貝
- 竹秋の貝が泳いで洗ひ桶
- 金亀子飛ぶことごとく遺作の繪
- 夏を澄む飾りあふぎの狗けもの
- ゆかりなき秋の神輿とすこし行く
- 花を焚くけむりが西へ秋の声
著作
- 『新興俳句アンソロジー 何が新しかったのか』(共著)ふらんす堂、2018年
- 『式日』左右社、2020年
- 『教科書に出てくる歌人・俳人事典』(共著)丸善出版、2022年
- 『安井浩司読本Ⅱ』(共著)金魚屋プレス日本版、2022年
- 『なぜ書くか、何を書くか 沖縄文学は何を表現してきたか』(共著・編集委員)インパクト出版会、2023年
関連文献
- 「新・若手トップランナー(17)安里琉太」『俳壇』2018年5月号、本阿弥書店、pp.91 - 97。
脚注
- ^ a b “平和の心 俳句に 仲井真小 戦、震災学び 感性磨く”. 琉球新報 (2016年2月13日). 2020年2月15日閲覧。
- ^ a b c “26歳・安里琉太さん俳人協会新人賞 首里高の恩師「20代は快挙」”. ryukyushimpo.jp. 2021年2月6日閲覧。
- ^ 俳句甲子園の歴史 - 俳句甲子園実行委員会
- ^ a b “「平和のうた」等身大の言葉で 学生、俳句に思い込め”. 琉球新報 (2016年3月31日). 2020年2月15日閲覧。
- ^ a b c “沖縄をどう詠むか 若手俳人が訪ねた沖縄俳句の生き証人”. 朝日新聞. (2019年6月18日). https://www.asahi.com/articles/ASM6F3FKKM6FTIPE002.html 2020年2月15日閲覧。
- ^ “「敗退が決まったとき訪れたのは、安堵感だった」海城高校が見た俳句甲子園”. Livedoor NEWS (2018年10月17日). 2020年2月15日閲覧。
- ^ “【海城中学高等学校】KSプロジェクト 俳句甲子園への道 | ココロコミュEAST”. ココロコミュEAST 関東の私立中学校の魅力発信サイト (2019年1月18日). 2021年2月6日閲覧。
- ^ “俳人協会の新人賞を受賞した27歳 春から興南高校の教諭に”. 沖縄タイムス. (2021年4月11日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/735050 2021年4月11日閲覧。
- ^ “橋本さんら県知事賞 おきなわ文学賞”. 沖縄タイムス. (2013年11月27日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/34566 2020年2月15日閲覧。
- ^ “辺野古の現実、短歌でどう詠む 沖縄の歌人ら、表現めぐる葛藤を議論”. 朝日新聞. (2019年9月11日). https://www.asahi.com/articles/DA3S14174050.html 2021年2月6日閲覧。
- ^ “2020年5月/78号|現代短歌|現代短歌社”. 現代短歌社. 2021年2月6日閲覧。
- ^ “句集 式日 | 左右社”. sayusha.com. 2020年2月26日閲覧。
- ^ “令和2年度すぎなみ詩歌館(角川庭園)講座受講生募集(2年2月1日)”. 杉並区 (2020年2月1日). 2020年2月19日閲覧。
- ^ “[唐獅子]2020年下半期執筆者 | 沖縄タイムス紙面掲載記事”. 沖縄タイムス+プラス. 2021年2月6日閲覧。
- ^ “[社告]沖縄タイムス芸術選賞”. 沖縄タイムス+プラス (2022年2月4日). 2022年2月25日閲覧。