国鉄ホキ5100形貨車(こくてつホキ5100がたかしゃ)は、1960年(昭和35年)から製作された、燐酸ソーダ専用の 30 t 積 私有貨車(ホッパ車)である。
本形式と同一メーカーにて同時期に製造されたホキ5000形及び本形式より改造され別形式となったホキ5800形についても本項目で解説する。
ホキ5100形
ホキ5100形は燐酸ソーダ輸送用として1960年(昭和35年)6月13日から1962年(昭和37年)3月14日にかけて東洋工機にて9両(オホキ5100 - オホキ5108)が製作された。
記号番号表記は特殊標記符号「オ」(全長12mをこえるホッパ車)を前置し「オホキ」と標記する。
落成当事の所有者は、日本化学工業、東北肥料の2社であった。
1966年(昭和41年)9月22日に、日本化学工業所有車4両(オホキ5100 - オホキ5103)が電気化学工業へ名義変更された。
残り4両(オホキ5104 - オホキ5107)は複雑な変遷を辿った。オホキ5107は1967年(昭和42年)9月23日に燐化学工業、さらに1970年(昭和45年)4月11日に住友化学工業に名義変更が行われた。一方、オホキ5104 - オホキ5106の3両は1968年(昭和43年)9月20日に住友化学工業に名義変更された。最終的にはこれら4両の名義は1973年(昭和48年)11月6日に日本石油輸送に移された。
東北肥料所有のオホキ5108は、生涯変更されることなく羽後牛島駅を常備駅として運用されたが、1971年(昭和46年)5月25日に廃車となった。在籍期間は9年間という短い期間であった。
外観は、真横からみると長方形であり、国鉄のホッパ車の中では3番目に大きなサイズである。(最大はホキ5500形、次点はホキ6900形)エアスライド式有蓋ホッパ車であり、荷役方式はホッパ上部の積込口より上入れ、エアスライドの垂直シュートによる下出しであった。
全長は14,300mm、全幅は2,706mm、全高は3,827mm、台車中心間距離は10,200mm、実容積は20.5m3、自重は20.5tで、換算両数は積車5.0、空車2.0、台車は12t車軸を使用したベッテンドルフ台車のTR41Cであった。
1981年(昭和56年)7月17日に最後まで在籍した4両(オホキ5104 - オホキ5107)が廃車になり形式消滅した。
年度別製造数
各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)
- 昭和35年度 - 4両
- 東洋工機 4両 日本化学工業 (オホキ5100 - オホキ5103)
- 昭和36年度 - 5両
- 東洋工機 4両 日本化学工業 (オホキ5104 - オホキ5107)
- 東洋工機 1両 東北肥料 (オホキ5108)
ホキ5000形
国鉄ホキ5000形貨車 |
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基本情報 |
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車種 |
ホッパ車 |
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運用者 |
日本国有鉄道 |
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所有者 |
燐化学工業→住友化学工業→日本石油輸送 |
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製造所 |
東洋工機 |
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製造年 |
1960年(昭和35年) |
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製造数 |
2両 |
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消滅 |
1981年(昭和56年) |
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常備駅 |
稲荷町、新居浜駅、郡山駅他 |
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主要諸元 |
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車体色 |
黒 |
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専用種別 |
燐酸ソーダ |
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軌間 |
mm |
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全長 |
11,300 mm |
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全幅 |
2,706 mm |
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全高 |
3,827 mm |
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ホッパ材質 |
普通鋼(一般構造用圧延鋼材) |
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荷重 |
30 t |
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実容積 |
40.0 m3 |
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自重 |
17.2 t |
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換算両数 積車 |
5.0 |
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換算両数 空車 |
1.8 |
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台車 |
TR41C |
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車輪径 |
860 mm |
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軸距 |
1,650 mm |
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台車中心間距離 |
7,200 mm |
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最高速度 |
75 km/h |
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ホキ5000形は、1960年(昭和35年)6月1日に東洋工機にて2両(ホキ5000, ホキ5001)が製造された。ホキ5100形と同一メーカー、同一専用種別、同時期の製造であった。
落成当時の所有者は、燐化学工業であり、富山地方鉄道の稲荷町駅を常備駅とした。
1970年(昭和45年)4月11日に、住友化学工業へ名義変更され、常備駅は新居浜駅とした。
1966年(昭和48年)11月6日に、日本石油輸送へ名義変更され、常備駅は東高島駅とした。
ホキ5100形とは所有者(落成時)が異なるため、別形式にしたものと思われるが、前述の様に所有者が同一となってしまいホキ5100形と共通運用された。
外観は、真横からみると台形であり、ホキ5000形がデッキなしであったのに対して当形式は、ホッパ車では一般的なデッキ付きであった。エアスライド式有蓋ホッパ車であり、荷役方式はホッパ上部の積込口より上入れ、エアスライドの垂直シュートによる下出しであった。
全長は11,300mm、全幅は2,706mm、全高は3,827mm、台車中心間距離は7,200mm、実容積は40.0m3、自重は17.2tで、換算両数は積車5.0、空車1.8、台車は12t車軸を使用したベッテンドルフ台車のTR41Cであった。
1981年(昭和56年)7月17日に全車(2両)が廃車になり形式消滅した。これもホキ5100形と同一日であった。
ホキ5800形
1966年(昭和41年)10月27日に1両、同年11月9日に3両の合計4両(オホキ5100 - オホキ5103)の電気化学工業所有車が東洋工機にて改造され、新形式であるホキ5800形(オホキ5800 - オホキ5803)が誕生した。
記号番号表記は特殊標記符号「オ」(全長12mをこえるホッパ車)を前置し「オホキ」と標記する。
改造要点は、専用種別をリン酸ソーダから塩化ビニールに変更したことにあり、主な改造内容は、ホッパ内面全体を半硬質塩化ビニルで被覆、被覆不可能箇所のステンレス鋼による作り変え、積込口の変更(角型より円型にした)等である。
所有者は、電気化学工業から生涯変更されることはなく、青海駅を常備駅として運用した。
種車であるホキ5100形より長寿であったが、1985年(昭和60年)12月26日に全車4両(オホキ5800 - オホキ5803)が一斉に廃車になり形式消滅した。
参考文献
関連項目
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「ホラ」級 | |
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「ホサ」級 | |
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「ホキ」級 | |
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新幹線用 | |
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「*」印はJR貨物に引き継がれた形式/「**」はJR貨物以外の旅客鉄道会社に引き継がれた形式/斜体は国鉄所有形式
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