生命システムを自由自在にデザインして組み立て、情報処理、化学物質の操作、有用物質の生産、エネルギーや食糧の生産、健康や地球環境の維持などに役立てようとする、バイオテクノロジーの研究が盛んに行われている。合成生物学が従来の遺伝子組み換え技術と異なる点は、より信頼性を高めるために基本的な技術の確立に重点を置くことである。新たな試みの例としてTim Gardnerとジェームズ・J・コリンズらによる、遺伝的オン・オフスイッチ(engineered genetic toggle switch)、標準生物学的パーツ登録所(Registry of Standard Biological Parts)、iGEMなどが挙げられる。
これに対し、遺伝子やゲノムを合成する様々な段階をライセンス化したり、モニタリングしたりする具体的な提案も出ている。また、社会問題に対して包括的でオープンな議論もオンラインでなされている[4]。近年は、科学と社会とが相互形成的な関係を作っていこうという流れが生まれてきている。そのためには合成生物学者と倫理学者、政治家、人文学者、投資家、市民などが共同で問題に取り組まねばならない。これまでも何度も会合がなされており、ガイドラインの制定などが協議されてきている。こういった取り組みはカリフォルニア大学バークレー校のSynthetic Biology Engineering Research Center(SynBERC)などで行われている。