古森重隆

古森重隆 デュッセルドルフ 2015年撮影

古森 重隆(こもり しげたか、1939年9月5日 - )は、日本実業家。元日本放送協会(NHK)経営委員会委員長。2016年9月より内閣府規制改革推進会議委員[1]

経歴

長崎県出身。長崎県立長崎西高等学校東京大学経済学部卒業。東京大学運動会アメリカンフットボール部出身(ポジションはOL/DL)。

1963年、当時の富士写真フイルムに入社し、主に営業畑を歩む。1995年取締役営業第二本部長、96年フジフイルムヨーロッパ社長などを経て、2000年に社長就任。2003年から日独協会会長。2006年、グループ再編により、富士フイルムホールディングス株式会社と、傘下の富士フイルム株式会社代表取締役社長・CEO就任。2012年、富士フイルムホールディングス株式会社と、傘下の富士フイルム株式会社代表取締役会長・CEO就任。2009年旭日重光章[2]2013年毎日経済人賞。2009年に3億6100万円の役員報酬を、2011年に4億3000万円の役員報酬を、2012年に4億1700万円の役員報酬を、2013年には3億9000万円の役員報酬を受けたと報じられた[3]

2004年、写真フィルム事業からの事実上の撤退を決断。一方で、フィルム技術を応用した、化粧品や医薬品、医療機器、液晶用フィルムなど他分野に事業を転換した。同時に大規模な人員整理をおこなう事で、会社の業績を立て直す事に成功した[4]

NHK経営委員長

2007年6月、NHK経営委員に任命され、委員の互選により委員長に選出される[5]この人事は、当時の首相だった安倍晋三の強い意向によるものとされる[6][信頼性要検証]

同年10月、経営委員会は、当時の執行部が作成した5ヵ年経営計画に対して、「抽象的、部分的な改善策ではなく、抜本的に踏み込んだ改革策が求められる。問題を先送りすることなく、正面から取り組まなければならない」として計画を承認せず、再提案を要請。また、新会長として福地茂雄の起用を提案。新たな執行部体制の構築を進めた。

2008年3月、国際放送に関して、「利害が対立する問題については日本の国益を主張すべきだ。国際放送をただ強化するだけでなく一歩踏み出せ」と発言した[7]

経営委員会における古森の活動や発言に対しては、強権的・政治的との批判があり、日本ジャーナリスト会議は2008年5月12日、古森の委員長辞任を要求する声明を出した[8]。「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」などの市民団体は、2008年5月9日に、当時の首相・福田康夫に古森の委員長罷免を要求する文書を送付[9] し、同年11月16日には、12月に任期満了となる古森の再任に反対する内容の申し入れ書を、麻生内閣の首相・麻生太郎宛てに送付した[10]

2008年11月11日の会見で、「私としてやれることは大体やれた」と発言[11]。その後委員長の任期満了とともに経営委員自体も退任した[12]。古森の任期は、本業の不祥事が原因で退任した前任者の残り期間であり、2008年12月21日で終わった。

テレビ出演

書籍

著書

  • 『魂の経営』(2013年11月2日、東洋経済新報社)ISBN 9784492502556
  • 『君は、どう生きるのか 心の持ち方で人生は変えられる』(2014年6月20日、三笠書房)ISBN 9784837925194

脚注

  1. ^ “規制改革推進会議、大田弘子議長ら委員決定”. 日本経済新聞. (2016年9月2日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS02H3N_S6A900C1PP8000/ 2017年2月12日閲覧。 
  2. ^ 政府が09年「秋の叙勲」を発令-旭日重光章に青木氏”. 薬事日報 (2009年11月4日). 2023年6月2日閲覧。
  3. ^ 「ゴーン社長を抜いた1位は誰?「報酬1億円以上の役員ランキング」」 dot.朝日新聞出版2014/7/1
  4. ^ 本業のフィルムもあきらめた“55年富士マン”、ゼロックスまでのみこむ(2) 2018年2月6日、中央日報
  5. ^ “NHK経営委員長、当面空席に 後任人選は難航も”. 日本経済新聞. (2012年6月5日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD050HO_V00C12A6TJ0000/ 2020年4月2日閲覧。 
  6. ^ “財界が後押しする“安倍総理” 経済ブレーンの面々”. Business Journal (サイゾー). (2012年11月29日). https://biz-journal.jp/company/post_1080.html 2015年7月7日閲覧。 
  7. ^ “「国際放送で国益主張を」 NHK経営委員長、執行部に”. 朝日新聞デジタル. (2008年3月25日). http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200803240414.html 2015年7月7日閲覧。 
  8. ^ JCJ声明:古森重隆氏はNHK経営委員長を辞任せよ”. 日本ジャーナリスト会議 (2008年5月12日). 2013年1月11日閲覧。
  9. ^ “NHK委員長の罷免要求 「政治的」と市民団体”. 共同通信社. 47NEWS. (2008年5月10日). https://web.archive.org/web/20140201184704/http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008050901000813.html 2013年1月11日閲覧。 
  10. ^ “市民団体が不再任申し入れ NHK経営委員長”. 共同通信社. 47NEWS. (2008年11月16日). https://web.archive.org/web/20140201184806/http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008101601000954.html 2013年1月11日閲覧。 
  11. ^ “古森委員長が12月退任示唆 「やることはやった」”. 共同通信社. 47NEWS. (2008年11月11日). https://web.archive.org/web/20140201184659/http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008111101000939.html 2013年1月11日閲覧。 
  12. ^ “NHK古森委員長ら3人が退任へ 経営委、当面欠員に”. 共同通信社. 47NEWS. (2008年12月9日). https://web.archive.org/web/20140201184701/http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008120901000834.html 2013年1月11日閲覧。 
  13. ^ 奇跡の構造転換で復活 「攻め」の経営とはこういうことだ! - テレビ東京 2012年5月10日
  14. ^ ピンチをチャンスに変えるSP 〜どんな危機も乗り越える!変幻自在のスゴい企業〜 - テレビ東京 2020年5月14日

外部リンク

退任はしたものの、在任中の記者会見要旨が掲載されている。
先代
宗雪雅幸
富士フイルムホールディングス(旧富士フイルム)社長
2000-2012
次代
中嶋成博
先代
山本忠人
富士ゼロックス(のちの富士フイルムビジネスイノベーション)会長
2017-2021
次代
玉井光一
先代
樋口廣太郎
日独協会会長
2003年 - 2022年
次代
東原敏昭
先代
石原邦夫
日本放送協会経営委員会
委員長
2007-2008
次代
小丸成洋