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北沢浮遊選鉱場(きたざわふゆうせんこうば)は、かつて新潟県相川町(現・佐渡市)で稼働していた、佐渡金山(相川金銀山)の選鉱所である。2012年(平成24年)に文化財保護法の国指定史跡「佐渡金銀山遺跡」に指定され、2015年には重要文化的景観「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」の構成要素にも選定された。遺構は「佐渡島のラピュタ」と呼ばれ、観光スポットとなっている[1]。
概要
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相川北沢地区では1937年(昭和12年)の日中戦争開始に伴う国策の増産体制の一環として同年から1940年(昭和15年)にかけて大規模な選鉱施設が整備され[2]、当時としては最新の技術である浮遊選鉱を行う選鉱場のほか、シックナー(濃縮器)が建設された[2]。月間5万トンの原鉱を処理する大選鉱場として操業され、1940年には佐渡鉱山史上最高産出量を実現した[2]。
しかし1952年(昭和27年)の鉱山大縮小に伴い施設は廃止[2]。その後は跡地の一部にプールやゴルフ練習場が建設されたこともあった[3]。
現在では浮遊選鉱場は階段状のコンクリート躯体のみが残され、シックナーは50mのものが1基残っている[2]。また、明治期から整備された旧北沢青化・浮選鉱所や旧北沢火力発電所の遺構も隣接して残っている[2]。
2010年には広場が整備され、グッドデザイン賞を受賞している[3][4]。
2018年からは期間限定で夜間ライトアップが行われるようになった[5]。
2022年(令和4年)7月には選鉱場前にあった市保有の倉庫をリノベーションして交流拠点「KITAZAWA KICHI」(キタキチ)がオープン[6]。2階にはカフェ「北沢Terrace」が設置され、選鉱場前の広場にはテラス席も設けられた[1]。
2010年11月に佐渡金山が世界遺産の正式候補となり、紆余曲折を経て、2022年にユネスコに対し正式に推薦され、「鎖国下で独自に発展した手工業(鉱業)技術」が評価されるため史跡「佐渡金銀山遺跡」としては江戸時代の範囲のみを対象としたが、重要文化的景観の「相川鉱山町」としては北沢浮遊選鉱場がある北沢地区も含まれていた。しかし、2023年に行われたユネスコ諮問機関による現地視察を経て、2024年6月6日に調査結果が公表され、「相川鉱山町の中で明治時代以降の影響が強い北沢地区は除外すべき」と指摘。結局、地元(市・県)も国も登録実現のため北沢地区を候補から削除することを決めた[7]。
なお、北沢という地名は、相川の南を流れる間切川が南沢と呼ばれたことに対して、浮遊選鉱場内を流れる濁川が通称として北沢と呼ばれたことに由来し、正式な町名ではない。濁川は選鉱作業で使った廃水処理に利用された。
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佐渡金山・北沢地区全景。手前が火力発電所と選鉱場
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インクライン
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シックナー
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鋳造工場跡
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トロッコ軌道跡
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ライトアップの様子
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敷地の中央を流れる濁川
脚注
関連項目
外部リンク
座標: 北緯38度2分12秒 東経138度14分30秒 / 北緯38.03667度 東経138.24167度 / 38.03667; 138.24167