副統監

副統監(ふくとうかん、英語: Deputy Lieutenant, デピュティ・レフテナント)は、イギリスの官職名である。イングランドの典礼カウンティ、ウェールズの保存カウンティ英語版、スコットランドの統監任命地域英語版、北アイルランドのカウンティ・バラ英語版カウンティなどの統監任命地域英語版における統監の副官である。

副統監に任命された者は、ポスト・ノミナル・レターズ"DL"を追加することができる(例:John Brown, CBE, DL)。より重要な称号を多数持っている場合は、DLを省略することができるが、これはまれである。

副統監は、必要とされる職務を補佐するために、統監(ロード・レフテナント)によって指名される。副統監は、国王(女王)の命令により、政府の該当する大臣を通じて任命される[1]イングランドウェールズでは、2001年11月以降、ランカスター公領大臣などの例外を除き、副統監の任命を担当する大臣は大法官である[2]スコットランドでは、1999年7月以降、スコットランド首相が担当している[3]

数十年前には、各カウンティの副統監の数は3人程度であった。しかし現在では、カウンティの人口に応じて副統監の数が変わるため、1つのカウンティで十数人の副統監が任命されることもある。副統監は、地域のコミュニティに貢献してきた人や、他の分野で公職に就いた経験のある人が選ばれる傾向にある[4]

統監が不在の時には、副統監がその代理として、地方の式典や公式行事(展覧会の開会式や英国国教会からの要請による牧師の任命など)に出席する。副統監は、自分の担当するカウンティ内か、その境界から7マイル(11キロメートル)以内に居住していなければならない[5]。統監が交代しても副統監の任期は終了しないが[6]、法律の規定により75歳で引退することになっている。

現役の副統監のうちの1人は統監代行(vice-lieutenant)に任命される[7]。統監代行は、統監が不在の時にその代わりを務める。統監代行への任命は、任命した統監の引退とともに失効する。一般的には、統監代行はその後、副統監に戻ることになる[8]

国王から任命される統監とは異なり、副統監の役職は国王の被任命者の任命であるため、厳密には国王の直接の任命ではない。

脚注

  1. ^ Lieutenancies Act 1997 (c. 23), section 2(4). Retrieved 2010-02-01.
  2. ^ The Transfer of Functions (Miscellaneous) Order 2001 (SI 2001/3500).
  3. ^ The Scotland Act 1998 (Transfer of Functions to the Scottish Ministers etc.) Order 1999 (SI 1999/1820).
  4. ^ Lieutenancies Act 1997, section 2(2)(a).
  5. ^ Lieutenancies Act 1997, section 2(2)(b)
  6. ^ Lieutenancies Act 1997, section 2(5).
  7. ^ Lieutenancies Act 1997, section 3.
  8. ^ Lieutenancies Act 1997, section 3(2).

関連項目

外部リンク