L. plantarumでは、最初にL-乳酸が生成され、乳酸ラセマーゼの活性を誘導する。乳酸ラセマーゼはL-乳酸の不存在下では発現しない。酵素の活性が誘導されると、D-乳酸が生成されるようになり[1]、最終的にほぼ等量のD-乳酸とL-乳酸が生成し、平衡に達する。この種では、lar活性は、D-乳酸によって抑制され、larオペロン活性はL-乳酸によって正の制御を受ける。つまり、larオペロン活性は、L-乳酸/D-乳酸比によって制御されることになる。
重要性
L. plantarumにおけるピルビン酸の乳酸への代謝には、2つの経路が存在する。その1つはNAD依存性乳酸脱水素酵素によりD-乳酸を生成するもので、もう1つは乳酸ラセマーゼによるものである。乳酸脱水素酵素が不活化または阻害された場合、乳酸ラセマーゼは細菌のD-乳酸生成の救出経路として働く[1]。L. plantarumにおけるD-乳酸生成は、細胞壁の生合成と関係しているため、この働きは重要である。実際に、乳酸脱水素酵素を欠き、L-乳酸のみを生成するlarオペロンを持つ変異体では、ペプチドグリカン生合成が起こらなかった。
^ abDesguin et al. (2014). “Lactate racemase is a nickel-dependent enzyme activated by a widespread maturation system”. Nat. Comm.5: 3615. doi:10.1038/ncomms4615.
^ abcHiyama T, Fukui S, Kitahara K (1968). “Purification and properties of lactate racemase from Lactobacillus sake”. J. Biochem.64 (1): 99-107. PMID5707819.
^Cantwell A, Dennis D (1974). “Lactate racemase. Direct evidence for an alpha-carbonyl intermediate”. Biochemistry13 (2): 287-91. doi:10.1021/bi00699a009. PMID4810054.