ローワン・ダグラス・ウィリアムズ (訪仏時、2005年5月27日撮影)
オイスターマウスのウィリアムズ男爵ローワン・ダグラス・ウィリアムズ師 (英語 : The Right Reverend Rowan Douglas Williams, Baron Williams of Oystermouth , 1950年 6月14日 - )は、イギリス のイングランド国教会 聖職者、政治家、神学者 、詩人 、大学教師。
2002年 から2012年 にかけてカンタベリー大主教 を務めた。アウグスティヌス から数えて104代目のカンタベリー大主教である。退任後の2013年 に一代貴族 オイスターマウスのウィリアムズ男爵に叙された。カンタベリー大主教として、退任後は一代貴族として貴族院 に議席を保有する。
経歴
ローワン・ウィリアムズはウェールズ のスウォンジー に生まれた。同地で教育を受けた後、ケンブリッジ大学 のクライスト・カレッジ 、その後オクスフォード大学 のクライスト・チャーチ と双方で大学教育を受け、同大のウォドム・カレッジ で博士 号を取得した。また、両大学で神学 を教えた経験を持つ。
1991年、ウィリアムズはモンマス 主教に選ばれ、1999年にはウェールズ大主教 に任命された。2002年、ウィリアムズがイングランド国教会 のカンタベリー大主教 座をジョージ・ケアリー から引き継ぐことが発表された。それは、聖公会 のリーダーになることを意味していたが、彼はイングランド国教会には属してはおらず、ウェールズ聖公会 のメンバーであった。ウィリアムズは、2003年 2月27日 にカンタベリー大主教に着座した。
ウィリアムズのカンタベリー大主教座への選定は波紋を呼んだ。多くの意見は、彼の学識を褒め称えるものであり、彼の学識をもってすれば、教養ある人々にキリスト教 が信ずるに足る宗教であることを示すことができるのではないかと期待した。他方、福音派 の聖公会員の中では、彼の女性聖職者と同性愛者 に対する意見にとまどいが見られた。ロンドンのセント・ヘレン教会 の牧師は、ウィリアムズの同性愛者の聖職者承認、また彼の大主教就任に対して抗議し、国教会からの給与を受け取らなかった。また、(聖書 に伝えられる)黙示、罪、救世などの重要な教義におけるウィリアムズの見解を異端視する者もいた。
2008年5月23日、ゴードン・ブラウン 英首相とダライ・ラマ14世 が会談した際、カンタベリー大主教公邸が会談の場として提供され、ローワン・ウィリアムズ大主教も一部同席した[ 1] 。
2009年11月29日に、ウィリアムズとローマ教皇 ベネディクト16世 はバチカン で急遽会談した。これはカトリック教会 が同年10月20日に、同性愛者 の按手 および結婚祝福、女性聖職に対して「不快感を持つ人を受け入れる」使徒憲章を公布すると発表したことに、ウィリアムズ大主教が即座に反応したものであった。大主教側と教皇側の双方がこの会談を「友好的」であり「エキュメニズムの前進の確認」であるとしたが、共同声明は行われなかった。ブルーノ・バルトローニによれば、エキュメニズム が失敗したことを双方が認め、カトリック教会 は女性司教・司祭の問題において妥協しないことが明らかになったとされる。イングランド国教会 の所属教会のうち、450の教会が国教会を離脱してカトリック教会に移ることを検討中であると伝えられており、ウィリアムズはこうした問題に対して「やっかいなことになった」と感じている旨を吐露した[ 2] 。
2012年12月末に大主教を退任した。2013年1月に後任のジャスティン・ウェルビー が着座した。
2013年1月15日に一代貴族 「オイスターマウスのウィリアムズ男爵」(Baron Williams of Oystermouth)に叙され、この爵位に基づいて改めて貴族院議員として紹介された[ 3] 。
現在、貴族院内においては中立派 である[ 4] 。
脚注